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マインドファーストの今年度事業「心の健康オープンセミナー」がスタートしました。初回の7月11日は,臨床心理士の島津昌代さんが,「思春期のメンタルヘルスについて」と題され話をされました。今回は13名の参加者がありました。以下はその要約です。
まず,思春期と青年期の違いである。前者は,第2次性徴に象徴される性的機能が活発になってくる時期で,一体自分になにが起きているのだろうと,子どもが戸惑い不安定になる時期である。後者は,子どもが大人社会へ参加して行くためのいわばモラトリアム(猶予期間)とも呼ばれる時期で,こうした時期が社会経済的要請によって時代とともに長くなっている。
次に,この時期の子どもの心理社会的成長を促す上では,仲間づくりと大人の役割が大切である。
身体的成長とそれに伴う「性」という異質なものが入ってくる中で,子どもは秘密を持つようになり,親からの心理的距離をとりはじめる。これが親離れの第一歩でもある。自分の中だけで秘密を持っているのは苦しいので,秘密を共有できる仲間をつくりたがる。仲間ができないと,孤立し劣等感を抱え,孤独な戦いがはじまる。そのために,中には引きこもりや心の病といえる状態に陥る者もいる。
大人の役割は,子どもが自分らしさを獲得し,社会へ巣立っていくために重要である。大人に好きにしろと言われたり,あまりにも簡単に要求を受け入れられると軸が定まらなくなる。子どもは,限界(枠組)がないと,かえって動けない。反発することをとおして自分と社会とのあり方を知るからである。こうした子どもとの関わりあいの中では,親自身の未熟な部分が刺激され,これでもかこれでもかと,大人の生き方が試される。家庭内暴力は,その典型ともいえる。
島津さんは,子どもから大人への変化は質的変化を伴い,思春期を幼虫が成虫になる過程での「蛹(サナギ)」に喩えられました。人も外見だけでなく,心理社会的に「変態」する存在として理解することが大切だとの感想を持ちました。(文責:花岡) |
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香川県精神保健福祉センター主催の「自立支援員等養成講座」がはじまりました。
初日の7月12日は,マインドファーストから講師を派遣し,45名の受講者を対象に,「新しい精神保健の動き」というテーマで講義とグループワークを行ないました。
この事業は,精神障害者の退院促進がクローズアップされる中で,地域におけるサポート体制の充実を図るために,将来,精神障害者の自立支援や地域での精神保健福祉の援助活動に従事できる人材の育成を目的に企画されたものです。11月29日が最終日で,7回シリーズで行なわれます。 (M.H.)
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プログラム
開 催 日 |
テ ー マ |
講 師 |
2007年
7月11日(水) |
思春期のメンタルヘルスについて |
高松赤十字病院カウンセラー
島津 昌代 |
9月12日(水) |
やさしい統合失調症の話 |
精神科医
花岡 正憲 |
11月14日(水) |
精神病の早期発見と回復のために |
保健師
中村 照江 |
2008年
1月 9日(水) |
生活習慣病とメンタルヘルス |
糖尿病専門医
冨岡 幸生 |
3月12日(水) |
心の病と社会参加 |
保健師
中添 和代 |
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場 所:高松市男女共同参画センター |
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日 時:奇数月第2水曜日18時30分〜20時30分 |
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事前申込は必要でありませんが参加費として500円が必要 |
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編集後記:7月の心の健康オープンセミナーのテーマは思春期でした。思春期は幼虫から成虫へのサナギのステージに喩えられるとか。してみると,私たちの周りに,幼虫のまま大きくなっている人たちがいかに多いことか。参議院選が近づいています。この時期,人や地域社会が成長するためのサナギとなれば良いのですが。(H) |
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