|
マインドファーストの今年度事業「心の健康オープンセミナー」第2回目の9月12日は,精神科医の花岡正憲氏が「やさしい統合失調症の話」と題して話をされました。以下は講演の要約です。
統合失調症の発症率は,どの国も概ね1パーセントであるが,有病率は国によって大きな開きがある。WHOの報告では,統合失調症の平均有病率は約0.5パーセントとなっている。このことは,適切な医療や精神保健のサービス次第で,統合失調症の有病率を引き下げることが可能であることを意味している。
今日,統合失調症は,生物学的要因をもつ疾病とされており,病気になりやすい体質を持った人が,思いがけない生活上の変化などによるストレスで発症または再発するとされている。脳内神経伝達物質の一つであるドーパミンの過剰が統合失調症の症状のもとであるとされてきたが,最近では複数の神経伝達物質のアンバランスが問題なのではないかと考えられている。また近年,統合失調症の症状に効果的ないくつかの薬物が開発されているが,環境調整にもよく反応する病気であることから,生活場面におけるストレスの軽減を図ることも大切である。さらに,発症に先立ち必ず前兆が見られるため,この前触れの症状は,早期対応や再発予防という点からも重要である。
統合失調症は,かつて考えられていたように長期間にわたる入院を要する病気ではなく,早期に適切な対処をおこなえば病気の回復もそれだけ早く,したがって学校生活や就業の中断を極力避けることが可能になる。今日,世界各国で,不必要な入院を回避するとともに,薬物の使用量をできるだけ少なくするための各種のプロジェクトが試みられており,一定の成果を収めつつある。
質疑の中で,統合失調症は薬物療法が中心なのではないかという質問があった。これについては,内服だけでなく,当人の自尊感情を高めるために,社会的スキルの向上やストレスマネジメントもあわせて必要であること,また,薬物療法によって症状の改善が充分得られない場合には,認知行動療法的なアプローチや家族のストレスの軽減を図ることも有効であるとの説明が行われた。(T.S.) |
|
9月18日,マインドファーストNPO認証取得記念シンポ |
|
|
ジウム第4回企画会議が開催されました。
テーマは,先月号でもお知らせしましたように「がん患者と家族−がんと心のケアを考える−」ですが,今回の企画会議で日時と場所が決まりました。
日時:2008年3月15日(土)13:00〜16:00
場所:香川県県民ホール 多目的大会議室
今後,さらに具体的なことが決まり次第,順次通信等でお知らせしていきます。
|
|
プログラム
開 催 日 |
テ ー マ |
講 師 |
2007年
7月11日(水) |
思春期のメンタルヘルスについて |
高松赤十字病院カウンセラー
島津 昌代 |
9月12日(水) |
やさしい統合失調症の話 |
精神科医
花岡 正憲 |
11月14日(水) |
精神病の早期発見と回復のために |
保健師
中村 照江 |
2008年
1月 9日(水) |
生活習慣病とメンタルヘルス |
糖尿病専門医
冨岡 幸生 |
3月12日(水) |
心の病と社会参加 |
保健師
中添 和代 |
|
・ |
場 所:高松市男女共同参画センター |
・ |
日 時:奇数月第2水曜日18時30分〜20時30分 |
・ |
事前申込は必要でありませんが参加費として500円が必要 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
編集後記:向精神薬「リタリン」の適応症からうつ病が除外されることになりました。日ごろから,安易にリタリンが処方される医療現場に対して疑問を感じておりましたが,うつ病患者へのリタリン使用を認めていたのは日本だけというのも驚きです。(H) |
|
|
|
|
|
|
|