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2008年2月14日と15日の両日,琴平町において,香川県精神障害者家族連合会とNPO全国精神保健福祉連合会の主催で,四国ブロック精神保健福祉促進研修会が開催されました。
今回の研修は,四国四県の精神障害者家族が一堂に会し,1年後の障害者自立支援法の見直しを見据え,各地における実践活動の報告や今後の課題について意見交換をとおして,精神障害者の住みよい地域づくりにつなげて行くことを目的としたものです。今回の研修テーマは,「精神障害者の誰もが地域であたりまえの暮らしを」でした。
2日目には,マインドファーストの花岡理事が「偏見の解消に向けて私たちには何ができるか−これからの家族会活動を展望するために−」と題して基調講演を行いました。以下は,その要約です。
精神疾患を有する人たちに対する偏見は,より良いサービスと生活の質の向上にとって最大の障害であり,とりわけ統合失調症に対する偏見は,患者やその家族に対する疎外と差別の悪循環を生み出している。また,こうしたスティグマは,社会的孤立,失業,アルコールや薬物の乱用,長期入院,過度の施設収容,居住問題など,病気の回復と社会参加を妨げる主な原因となることもある。
メンタルヘルスケアのあり方は,それを必要としている人たちのアイデンティティや自尊感情に与える影響が少なくないため,その生き方を左右しかねない。このような視点から,精神疾患を有する人とその家族が置かれた現実を踏まえ,「あたりまえの暮らし」を阻んでいるスティグマの解消に向けて,どのようなことができるか,具体的行動計画を持っておくことが大切である。
精神障害者に対する偏見と差別と戦うためには,次のようなことが考えられる。
(1)メンタルヘルス・リテラシー:教育をとおして心の健康に関する知識や教養を高める。
(2)スティグマ・ウォッチ:日ごろから,地域社会のそこここに見られる偏見に目を向け,異議申し立てによりこれを追放する。
(3)パブリック・コンタクト:役割をとおして精神障害者と一般との接点を増やすことで,否定的な固定観念をなくす。
(4)アドヴォカシー(権利擁護活動):精神障害者に対する差別的な政策や医療をなくす。
一方,最近の社会不安と共同体におけるリスク管理の風潮が,こうした活動の障害になっていることも否定できない。こうしたことから,偏見の解消は,単なるスローガンや一時的なキャンペーンではなく,関係者の不断の意図した営為を抜きにしてはありえない。その意味で,行政,教育,マスメディアのみならず,メンタルヘルスケアを必要としている |
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人たちに直接関わりがある保健医療関係者の役割と責任は,とりわけ重たいものがある。さらに,偏見や差別の解消には,差別されている人自身が,「これは差別だ」という認識を持つことが不可欠といえる。 |
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プログラム
開 催 日 |
テ ー マ |
講 師 |
2007年
7月11日(水) |
思春期のメンタルヘルスについて |
高松赤十字病院カウンセラー
島津 昌代 |
9月12日(水) |
やさしい統合失調症の話 |
精神科医
花岡 正憲 |
11月14日(水) |
精神病の早期発見と回復のために |
保健師
中村 照江 |
2008年
1月 9日(水) |
生活習慣病とメンタルヘルス |
糖尿病専門医
冨岡 幸生 |
3月12日(水) |
心の病と社会参加 |
保健師
中添 和代 |
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場 所:高松市男女共同参画センター |
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日 時:奇数月第2水曜日18時30分〜20時30分 |
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事前申込は必要でありませんが参加費として500円が必要 |
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編集後記:マインドファーストでは, 3月15日のNPO記念シンポジウム「がん患者と家族 −がんと心のケアを考える−」の開催に向け,一人でも多くの方に参加していただくために,関係各方面へ,精力的に呼びかけを行っております。関係各位のご協力をよろしくお願い申し上げます。(H) |
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