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3月15日,香川県県民ホールにおいて,「マインドファーストNPO認証取得記念プライマリケア・シンポジウム」が開催されました。テーマは,「がん患者と家族-がんと心のケアを考える-」でした。
マインドファーストの本丸真実理事長の挨拶に続き,第1部の基調講演では,国立がんセンター東病院 精神腫瘍学開発部特別研究員藤森麻衣子氏が,「がん医療におけるコミュニケーション」と題して話をされました。がんなど「悪い知らせ」に関するインフォームドコンセントでは,説明と同意の過程における患者の精神的苦痛に共感できる心の機能が大切であり,そのためには,医療者のコミュニケーションスキルの向上を図るためのトレーニングが必要であると述べられました。
このあと,第2部シンポジウム「がん患者と家族−がんと心のケアを考える−」は,香川県立保健医療大学の准教授で,当NPOの理事でもある中添和代氏がコーディネーターをつとめ,進められました。
香川県立中央病院副院長渡邊精四郎氏,がん患者の会「さぬきの絆」会員大谷智子氏,香川県立中央病院緩和ケア推進室西山美穂子氏,高松赤十字病院医療社会事業課島津昌代氏の4人のシンポジストが,医師,家族,看護師,臨床心理士の立場から,それぞれのご経験を踏まえ,問題提起や実践報告が行われました。
本事業は,2006年12月,マインドファーストが,特定非営利活動法人の認証を取得したことを記念して,その開催に向けて,この1年間準備を進めてきたものです。香川県と高松市をはじめ,33の団体からの後援があり,参加者は,115名で,県外からの参加もありました。
皆様方のご協力,ご支援により,本シンポジウムが無事開催できましたことを心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。なお,詳しくは,本シンポジウムのをご覧下さい。(M.H.) |
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3月12日(水),第5回「心の健康オープンセミナー」が開催されました。今回は,保健師の中添和代さんが,「心の病と社会参加」と題して話をされました。以下はその要約です。
日本の精神医療は,長年社会防衛を目的として行なわれてきた。1950年代から精神科病床が急増してきた背景に,民間が精神科病院をつくりやすくし,また入院患者を確保しやすくするために,国が制度 |
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的に後押しするなど,わが国特有の経済的要因,治療的要因,社会的要因があった。入院者は劣悪な医療環境にとどめ置かれ,多くの長期入院者を発生させた。日本では精神障害者の社会復帰は,長年大きなテーマとはならなかった。こうした中で,1984年(昭和59年),入院患者が看護職員にリンチ殺害をうけるという宇都宮病院事件が起きた。これがきっかけで,1987年(昭和62年)精神衛生法が精神保健法に改正され,このときはじめて精神障害者の社会復帰が法律に明記された。
しかし,その後も社会復帰は遅々として進まず,長期入院者の問題は手つかずの状態であった。1995年に導入された精神障害者保健福祉手帳制度についても,全国一律の利用制度は少なく,雇用制度においても,身体障害と知的障害の2障害に大きく遅れをとっている。いまだに,制度的にも精神障害者の社会参加を阻んでいるものは少なくない。
2002年,精神保健福祉対策本部により「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が示され,社会的入院者の退院促進にようやく手がつけられるようになった。香川県でも,2003年度から退院促進支援事業が開始されたが,全国的にみれば微々たる動きにすぎない。この事業のキーコンセプトは,退院に向けての自立支援員のマンツーマンの関わりであるが,退院後も継続支援ができるシステムになっておらず,また再入院例や中断例,さらに複雑困難例などについては,行政責任を果たせているとは言えない。
2006年には,障害者自立支援法が施行されが,利用料の発生や施設の経営困難から,行き場を失った精神障害者の自殺や再発など,現場では深刻な事態が起きている。
出席者からの意見と感想には,障害者自立支援法は,本当に障害者のためになっているのか疑問である。予算規模としても貧弱で,国の意欲が伝わってこない。さらに,このところ地域社会において精神障害者に対する差別的扱いが目立つようになっている。たとえば,マスメディアの事件報道にも,精神科治療歴や精神鑑定申請に関することなど,捜査段階での予断を持った報道が目につくようになったというものがあった。
5回シリーズで行われました心の健康オープンセミナーは,ひとまず今回で終了いたしますが,最終回は,マインドファーストにもずっしりと重たい課題が残されるものになりました。(M.H.)
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編集後記:今年度のメインイベント「プライマリケア・シンポジウム」も無事終了し,これからは総会に向けての準備です。そして,息をつくまもなく,4月からは,「」と「」,2つのグループワークがスタートです。(H) |
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