|
|
講師 マインドファースト理事 臨床心理士
島 津 昌 代 |
「思春期」は,人が子どもから大人になっていく過渡期である。その時期は,人の一生のうちで最も感受性豊かな,その分,不安定な時期であろう。子どもが大人になるというのは,どういうことであろうか。生物としてみた場合,大人になることは生殖機能をもった存在になることを意味する。つまり,第2次性徴に象徴される性的機能が活発になってくる時期が「思春期」である。この時期は,心理的には,一体自分になにが起きているのだろうと戸惑い不安定になりつつも,親からの自立を図ろうと試みる時期である。
この時期,子どもの心理社会的成長を促す上で大切なのは,仲間づくりと大人の役割である。身体的成長とそれに伴う「性」という異質なものが入ってくる中で,子どもは秘密を持つようになり,親からの心理的距離をとりはじめる。これが親離れの第一歩であるが,自分の中だけで秘密を持っているのは苦しいので,秘密を共有できる仲間をつくりたがる。また,親の価値観に何の疑問ももたずに従っていた状態から,自分の考え・意思で行動しようと試み始める。これが,ともすれば親の目には「反抗」と映るのだが,それは子どもにとっては親からの独立戦争ともいえる事態である。
この時期に仲間をもつことは,親の価値観に飲み込まれまい,すなわち,親の言いなりになるまいと自分達を支えあう側面が強い。したがって,仲間という横のつながり(人間関係)を持つことができないと,孤立し劣等感を抱え,孤独な戦いがはじまることになる。そのために,中には引きこもりや心の病といえる状態に陥る者もいる。こうした事態を緩和する存在として,友達・仲間という横つながりの関係とも親子という縦関係とも少し異なる,言わば「斜めの関係」とも言えるような対人関係が役に立つことも多い。
子どもが自分らしさを獲得し,社会へ巣立っていくために大人が果たす役割は重要である。「反抗」という形で親や大人にぶつかりながら,子どもは自分と社会とのあり方を知る。大人に好きにしろと突き放されたり,逆にあまりにも簡単に要求を受け入れられると,軸が定まらなくなるので,大人には子どもの反発を受けて立つ覚悟が求められるのである。こうした子どもからの揺さぶりは,特に親との関わりにおいては,自分をどれだけしっかりと受け止めてくれているかを確認するような側面を持っている。こうした信頼感を心のなかで確認することによって子どもは心理的に安定し,親からの独立も確立されていく。 |
|
|
「思春期」の子どもとのつき合いは,このように,大人がその生き方を試されることでもあるが,子どもが成長して大人になるために「胸を貸す」ということなのである。(本文は7月の心の健康オープンセミナーの講師による要約です) |
|
あなたは,自殺をしたがっている人が抱えている問題について,ストレートに尋ねることができますか? それを話題にすると自殺の危険性を高めてしまうというのは間違いです。自殺の意図についてストレートに尋ねられると,人は不安や死にたい気持は隠さなくても良いのだと思って表現しやすくなり,それだけ自殺の危険性が少なくなります。
マインドファーストは,7月18日からホームページ上で自殺予防キャンペーンを開始しました。
トップページに,“大切な人を自殺から守るために・・・・・「それほど,あなたを落ち込ませていることが何なのか,聞かせてくれませんか」 このひと言からはじめてみよう。”のテロップを流しております。 |
|
プログラム
開 催 日 |
テ ー マ |
講 師 |
2008年
7月 9日(水) |
思春期のメンタルヘルスについて |
臨床心理士
島津 昌代 |
9月17日(水) |
やさしい統合失調症の話 |
精神科医
花岡 正憲 |
11月12日(水) |
精神病の早期発見と回復のために |
保健師
中村 照江 |
2009年
1月14日(水) |
生活習慣病とメンタルヘルス |
糖尿病専門医
冨岡 幸生 |
3月11日(水) |
心の病と社会参加 |
保健師
中添 和代 |
・ |
主 催:マインドファースト |
・ |
後 援:高松市 |
・ |
場 所:高松市男女共同参画センター |
・ |
日 時:奇数月第2水曜日18時30分〜20時30分
(ただし,9月は第3水曜日) |
・ |
事前申込は必要でありませんが参加費として500円が必要 |
|
|
|
|
|
|
|
編集後記:後期高齢医療や高齢運転者標識表示義務などageism(年齢による差別)が強まるこの社会は,高齢者以外の人にとっても住みづらい社会になっていくようです。(H) |
|
|
|
|
|
|
|