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| マインドファースト通信編集長 花岡正憲 |
オーストラリア政府の「男性と家族問題に関する主管部局」は，民間への財政的支援により男性を支援するサービスとプログラムを提供している。そのひとつが，2001年9月に開始された （以下「 」）である。
は，家族，子育て，離別，人間関係，仕事などで悩みやストレスを抱える男性のための電話によるカウンセリング，情報提供，関係機関紹介を行うサービスである。このサービスは，オーストラリア国内であれば，どこからでも市内通話料金で，24時間，週7日利用可能である。男性問題について経験の深い有給の専門カウンセラーが担当している。
のビジョンは，健康な家族関係と職場や地域社会における健全な人間関係を構築し維持することを目的として，男性とその関係者に対して積極的に参加を促すためのエンパワーメントを行うことにある。次のような人が対象になる。
・妻やパートナー，子供，仕事仲間や隣人などとの関係の改善や強化を望んでいる男性。
・父親になることの不安を抱える男性や子育てのスキルを向上させたいと思っている男性。
・家族との離別や崩壊に直面し，こうした深刻な時期をどう乗り切ったらよいか困っている男性。
・家族，パートナー，または友人との関係において，ある男性のことを心配している家族メンバー。
では，男性に受け容れられやすいカウンセリングが用いられる。一般に，離婚や離別のプロセスはだれにとっても心理的外傷となり負担が大きいものであるが，特に男性の場合，その対処方法（coping）が限られているため困難をきたしやすい。また，男性は問題に直面したとき，情緒や内面的問題よりも，結果や実際的な解決に重点を置くことが多い。こうした男性に共通した傾向を踏まえ，は，深刻な情緒的精神的問題については適切な方法での対処をすすめるとともに，実際的かつ実用的なアプローチでカウンセリングを行なっている。
は，以下のようなミッションを掲げている。
(1)家族関連問題を抱えた男性のための電話，電子メール，その他のメディアを介したカウンセリング，情報提供及びサービスの紹介をおこなう。
(2)男性クライエントとの個別の関係を構築し，クライエントとの協働作業を大切にしたサポートを行う。 |
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(3)男性が望んでいるサポートを政策や社会サービスにつなげてゆくための活動をリードする。
(4)家族，職場，地域社会において，男性の役割や仕事が理解され成功する方向で，男性の積極的関与を促して行く。
このようには，目的明示性が高いことからアクセスしやすく，迅速で信頼できる匿名での丁寧なサポートを提供するとともに，個々の男性が抱える願望や懸念や困難に対して信頼度の高い研究成果や情報を提供することにより，コミュニティの啓発を図り，政策やサービスの展開に影響を与えること，さらに，男性，女性，家族，職場，地域社会に対するコンサルティング，教育，訓練などをとおして，個人レベル，対人関係レベル，文化レベルでの変化を促すことを重視している。
2001年の開設以来，には，オーストラリア全土から50万件を越える相談があり，2007年の相談内容の内訳は，およそ60％がパートナーや元パートナーとの関係に関するものであった。この他，親権や面接交渉に関すること，精神的情緒的な健康に関すること，育児不安に関することなどがあった。のコーラーは，25から54歳が84％を占め，中心年齢階層は35から44歳で，コーラー全体の37％であった。
は， 45年にわたる電話カウンセリングサービスの歴史がある非営利組織Crisis Support Services（危機サポートサービス）によって運営されている。Crisis Support Servicesは，オーストラリアの主要なプロの電話カウンセリングやトレーニングも行なっている団体である。（このコーナーは随時掲載いたします） |
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編集後記：今年も1年間「マインドファースト通信」をご愛読いただきましてありがとうございました。来年も，地域の課題を地域住民が主体的に解決することを大切にしてゆきたいと思っております。（H） |
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