活技能の習得を前提とするのは,欺瞞としか言えない。患者から大切な生活時間を奪っておきながら,何を訓練し,どのようなスキルを身につけさせようというのか。これでは退院促進のハードルを高くしてしまうだけだ。患者にしてみれば,何かと言いがかかりをつけられて退院を先送りされるとしか思えない。まず,病院の外に住む場所を確保し,地域での一歩を踏み出すことからはじめるべきだ。道に迷えば,人に道を尋ねたらよい。転んだ時は,助けを呼べばよい。散歩や外出の前に,練習など無用である。受け皿とは,物理的器ではない。患者が望んでいる方向で地域での生活を支えて行くという明確な意思を持った人との関わりのことだ。入院の長期化で,家族,友人,職場,地域社会との断絶が起きることは事実だ。この喪失を越えて患者がエンパワーされる人間関係が大切である。
精神科病院増設の歴史は,精神保健対策,入院制度,精神医療,地域社会の問題など,いくつかの要因が複雑に絡み合ったものだ。ここにも病める日本的システム,ムラ社会の姿が見え隠れする。社会的入院者の解消については,これまでにも何度も話題になりながら,実現にいたっていない。問題の本質は,過去の反省と被害者補償の観点が欠落していることだ。収容政策によって発生した多くの長期入院者の社会復帰は,国と都道府県の責任において,恒久救済事業として取り組んでいくための特別立法措置が必要であろう。「過去に眼を閉ざす者は,未来に対しても盲目となる」とは,ドイツの政治家リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッガーの言葉である。積年の課題は,過去の過ちに誰も責任を取ろうとしないこの国の姿を変えていくことでしか,解決の道はない。
日 時:2014年4月23(水)19時00分〜21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第4会議室
事務連絡並びに報告に関する事項:なし
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 柾氏不在の対応に関する事項:相談について,クライエントに今しばらく再開出来ない旨を伝える。ファミリーカウンセラー養成講座の講師については,柾氏からの意向を待つことが承認された。
第2号議案 2014年度(2015年度事業)香川県共同募金会の広域福祉助成事業に関する事項:「おどりば」の申請並びに相談事業について助成の対象となるのかについて,情報収集も行うことが承認された。
第3号議案 2014年度事業計画に関する事項:新規事業として,会員の参加できる事業として定例会開催の議論の中でセミナー開催の案が出された。これについては,引き続きファミリーカウンセラー会議の議題として取り上げることで承認された。また,会員に向けて,事業に関するブロシュール等の印刷物を配布することが承認された。
第4号議案 相談事業の財源に関する事項:2015年度からの相談事業の財源について厚生労働省の助成事業についての情報収集を行いメーリングで紹介することが承認された。
第5号議案 高松市からの委託事業に関する事項:高松市からの委託事業,地域生活支援センター事業など,当会の事業として考えられるものについての情報収集を行っていくことが承認された。
第6号議案 事務局体制に関する事項:現在の体制で今年度はスタートすることが承認された。