地道にこつこつ…
    「認定NPO法人」としての決意
認定NPO法人マインドファースト理事長
島津昌代
私どもNPO法人マインドファーストは,去る4月28日付で「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)」として香川県の認定を受けることができました。これまでの「NPO法人」と,今回認定された「認定NPO法人」は何が違うのか?まず,その点についてご説明したいと思います。
そもそもNPOとは“Non‐Profit Organization(非営利組織)”で,営利を目的としない民間の組織や団体を指します。これら団体に「特定非営利活動法人法(NPO法)」に基づいて都道府県知事による認証を受けて法人格が与えられたものが「NPO法人」で,この認証を受けた「NPO法人」のうち,公益性が高いと所轄庁の「認定」を受けたものが「認定NPO法人」です。
「NPO法人」と「認定NPO法人」は,どちらも行政にも企業にも属さず,自由な社会貢献活動を行うものとして認められた市民団体ですが,両者の一番の違いは,寄付に関する税制です。つまり、「認定NPO法人」に寄付した場合,寄付した側は税額控除や所得控除といった税制上の優遇が受けられるのです。いわば“このNPO法人は,公益性の高い活動をきちんと行っているところです。だから,安心して寄付して活動を応援してあげてください”と公的に認められたことを意味します。
では,何をもって公益性が高いと判断されるのか?「認定NPO法人」となるためには,以下の8つの基準を満たしてい
ることが求められます。①ある程度以上社会から必要とされていることを証明する基準(パブリック・サポート・テスト:略称PST)をクリアすること,②事業活動において,共益的な活動(会員等に対するサービスや会員相互の交流会など内輪向けの活動)の占める割合が50%未満であること,③運営組織および経理が適切であること,④事業活動の内容が適正であること,⑤情報公開を適切に行っていること,⑥事業報告等を所轄庁に提出していること,⑦法令違反や不正の行為,公益に反する事実等がないこと,⑧設立の日から1年を超える期間が経過していることです。そして,一度認定されたら終わりではなくて,5年後には継続して条件がクリアされていることを示して更新の手続きを行わねばなりません。
社会の中で何かを行おうとすれば,そのためには人の力,時間,そしてお金が必要です。それが単発のものではなく,息の長い活動ともなれば,その活動を支えるための人とお金はさらに重要なものになります。私たちが取り組んでいるメンタルヘルスに関わる活動は,ストレスの多い現代社会の中でますます必要とされてきています。もっとも,それだけに心の問題を取り扱う人や団体も増えてきて,一見しただけではそれがどういう存在なのか計りかねることも少なくありません。だからこそ,私どもマインドファーストは 「認定NPO法人」としての認定を受けることにより,怪しい団体ではなく,地道にメンタルヘルスの問題に取り組んでいる団体であることを広く知っていただき,メンタルヘルスに関する普及啓発や相談支援,それらに携わる人材育成などの活動をこつこつ行っていきたいと思っています。ご支援のほど,どうぞよろしくお願いいたします。←




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セミナーのお知らせ:2015年度 ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コース(若者と家族)
精神的健康問題は,家族の関わり方に関係していることが少なくありません。今日,若者は,仕事への移行期間が長くなり,より長期間を半依存状態で過ごすようになっています。子どもの社会化と家族員の情緒的精神的安定を支える唯一の社会組織でもある家族の絆の弱体化が指摘されて久しい中,精神的健康の増進や不健康の予防と解消のために,家族機能の回復という視点に立ったヘルスケアスキームの構築は急務といえます。今回は,「若者と家族」をテーマに,地域で家族に支援を提供できる立場にいる人たちを対象に下記の要領で本講座を開催いたします。
開催日時 テーマ
7月26日(日) Ⅰ.家族システムモデルにおける家族支援
8月9日(日) Ⅱ.家族カウンセリングの理論と実際Ⅰ
8月23日(日) Ⅲ.家族カウンセリングの理論と実際Ⅱ
8月30日(日) Ⅳ.児童思春期問題からみた家族
9月6日(日) Ⅴ.家族の危機と危機介入
9月13日(日) Ⅵ.家族の機能の再生とエンパワーメント
6回シリーズ いずれも13:30~15:30
会場:サンポートホール高松
本養成講座の詳細は,下記ホームページをご覧ください。
http://www.mindfirst.jp/kouza14.html
モノローグとリスク社会
古来,真理の探求は,ダイアローグ(dialogue 対話)をもってなされてきました。古代ギリシャ哲学(ソクラテス哲学),孔子の『論語』,仏教の経典にしてしかりです。人類の歴史にとって必要な発見のほとんどが,既にプラトンの時代までに行なわれたとも言われ,その後の知の更新もダイアローグによってなされてきたことは言うまでもありません。
このところ,ヘイトスピーチ,テロリズム,ナショナリズム,解釈改憲など,国内外でモノローグ(独語)の自己目的化が急速に進みつつあります。原発再稼働,他国での武力行使,新基地建設など,人々の生活や命の営みに関わるダィアローグが軽視されるところには知の更新は起こりえず,モノローグは,社会のリスクを高め,リスク社会はさらにモノローグを促進するという悪循環を生みます。
今日,若者にとって,不安定な移行過程からくるストレスとアイデンティティの個人化が,精神的健康に否定的な影響を長期的に
もたらすと言われます。A.ファーロングとF.カートメルは,『若者と社会変容 リスク社会を生きる』(大月書店2009)の中で,「強力な相互依存の鎖の存在に気づかぬまま,若者たちは多くの場合,集団的問題を個人的行動で解決しようと試み,避けがたい失敗の責任を自分で負おうとしてもがいている」と述べています。
若者のアイデンティティの個人化は,ダイアローグなき社会からから隔絶されていくという不安やリスク感覚と深く結びついているため,社会的紐帯の弱体化という主観の世界から出てくることをますます難しくしています。ひきこもり,自殺,自殺類似行動など心の危機の解決の第一歩は,身近な人々との開かれたダイアローグの回復でしょう。
(マインドファースト通信編集長 花岡正憲)
第124回理事会報告
日 時:2015年5月11日(月)19時00分~21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡並びに報告に関する事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 2015年度地域自殺対策強化事業(新事業)に関する事項:県の担当者よりメールにて,今回申請の普及啓発事業のファクトシートは対象としないこと,団体構成員は報償費の支払い対象としないとの指摘があり,再度申請書を提出することとした。これをうけて,対面型相談の報償費は相談回数を15回に変更し,旅費にガソリン代として走行距離1キロ当たり20円の基準で予算をたて,相談室使用を1か月15日として計上すること,また,その他の事業の報償費は削除し,旅費を計上すること,発送作業の委託料を役務費に計上した申請書を提出することが承認された。
第2号議案 2015年度予算案に関する事項:2015年度予算として,寄付金収入は50万円,支出の部では電話相談は3時間の実施で1日3,000円の予算で合計204,000円を計上し別紙のとおり収入の部2,969,200円支出の部3,124,200円の2015年度予算が承認された。
第3号議案 2015年度事業計画,相談料の減免措置に関する事項:自殺の危機の相談(CSC)の相談料は3回まで3,000円とすることが承認された。
第4号議案 総会に関する事項:2015年度総会は6月22日(月)19時から高松市男女共同参画センターにて行われることが承認された。
第5号議案 2015年度役員改正に関する事項:杉岡理事,松岡理事,藤澤理事より今期で退任の意向であること,並びに後任については総会で自薦及び他薦で選出を行なうことが確認された。
第6号議案 役員報酬規程に関する事項:役員報酬規程を作成するにあたり,事務局で原案を作成し,メーリングにて確認の上,次回理事会で決定することが承認された。
第7号議案 香川県共同募金会の助成事業に関する事項:5月25日のファミリーカウンセラー会議の議題とすることが承認された。
第8号議案 活動費規定に関する事項:審議未了
第9号議案 家族精神保健相談員資格制度施行細則に関する事項:審議未了
編集後記:2005年6月,マインドファースト通信第1号が発刊されました。爾来,通信は毎月1回刊行され,本号120号で,ちょうど10年になります。マインドファーストは,4月28日付で,認定NPO法人を取得しました。これをランドマークとして,今後とも,know-all(知ったかぶり)ではなく,「無知の知」を大切に,人々や地域社会との開かれた対話を大切にして行きたいと思っています。(H)