物事の決め方

-「勝手に決めるな!」と言われないための作法-

マインドファースト通信編集長 花岡正憲

一般に法人格をとり,業を営むところでは,会則ないし定款が設けられており,これに則って運営が行われている。認定NPO法人,我がマインドファーストも例外ではない。例えば,理事会や総会の招集にあたっては,開催日時,場所,議題などを一定の期日前に告知することが定められている。やむを得ない理由のため総会や理事会に出席できないとき,正会員や役員は,あらかじめ通知された事項について書面をもって表決できるように平等性も担保されている。

会議では,議事録を残すことも大切なルールである。議事に先立ち,議長を選出した後,書記や議事録署名人を定める。議事録には,委任状提出者や書面表決者を含め,会の成立要件を満たす定足数や,日時,場所なども明記しておくことが必要だ。議事録の未定稿は議長と議事録署名人によって点検され,書記の聞き漏らしや聞き違いなど,軽微な加筆訂正は,議長や議事録署名人によって加筆訂正される。

英語では議事録をminuteと言い,語源的には,「”小さな“手書き文字で口述筆記されたもの」という意味がある。議事録には,決まったことだけでなく,審議の過程でどのような文言が重ねられたかも記録される。意思決定までの過程は妥当であったかなど,こうしたことも含め検証できるよう後世に残しておくためのものだ。したがって,基本的に議事録は,逐語録であるべきだ。

いずれが欠けても議事運営上の瑕疵があったとみなされ,瑕疵の性質と大きさによっては,結論だけでなく,議事そのものが無効になる場合だってある。物事を決定するさいに,due process(適正手続き)を踏むことは欠かせない。

話は,9月17日に行われた平和安全法制に関する参議院特別委員会の強行採決である。実力行使という尋常ではないやり方で,何かことが行われようとしていた場面である。誰が見ても,あれを採決場面だったとするには無理があろう。日本国憲法第4章「国会」の第57条第2項には,「両議院は,各々その会議の記録を保存し,秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は,これを公表し,且つ一般に頒布しなければならない」とあり,同第3項には,「出席議員の5分の1以上の要求があれば,各議員の表決は,これを会議録に記載しなければならない」とある。この日の委員会で,書記が残した議事録の未定稿には,「発言する者多く,議場騒然,聴取不能」としか記録されていない。

未定稿とは言え,この議事録を採決が行われ,法案が可決されたと,大幅に書き換えることはできない。それをすれば,なかったことをあったかのようにする公文書の改ざんである。この辺りのことは,法人などの総会や理事会の運営に少し関わった者にとっては常識だ。

デモクラシーは,民主主義だが,社会的平等という意味もある。自分が不自由や不利益を蒙るかも知れないことが予想されても,相対的弱者に優位性を与え,相手がそれを受けいれること,これが社会的平等と言うものだ。国政の場では,フィリバスター(長時間演説による議事進行妨害)は,相対的弱者であるopposition(反対勢力,野党)に認められている権利でもある。私たちの身近なところで持たれる会議の場では,フィリバスターまで行使されることはないが,時間切れとなり,審議未了ないし継続審議となることは,少なからずあることだ。結論を急ぐあまり,何時間議論したから結論を出すとか,異議を唱える側の発言時間を制限するとか,相対的弱者を縛るようなことはしない。←




→大義がなく,目的も曖昧で,動機に不純なものが含まれるとき,意思決定のプロセスが歪んでしまいがちだ。為にする議論は,収束の方向が見えてこない。こうした中で採決を強行しても,決定された事柄を実施する段階でトラブルが多くなる。運用上のミスは,ヒューマン・エラーではなく,当初のルールづくりの段階で誤謬がインプットされていることによる必然である。

そもそも自分たちにとって不都合で不利益になるイデオロギー(価値や信念の体系)の発生を力の論理で,封じ込めようとするのは,マッチョ思想に他ならない。相対的弱者を力尽くで,支配しようとする発想は,ネグレクト(他者に対する配慮の無視)を生む土壌にもなる。この点では,児童虐待,DV,いじめ,ハラスメントなどと同根である。

「じゃんけん」は,勝ち負けを決める手近な方法だが,子どもも,後出しは認めないというルールを守っている。結論以前に,そこに至るまでの手順を大切にしているからだ。力尽くで,勝手に決めてしまうやり方は,彼らが教育現場に求める道徳教育や子どもたちの道徳心の向上と,どこでどうつながっているのだろう。「弱い者いじめはやめよう」喧嘩やいじめの場面で,多くの大人が子どもに教えることだ。相対的強者には,寛容と忍耐が求められる。

2015心の健康オープンセミナーのご案内 メンタルヘルスユーザーの快適空間

~「私たちは,ここにいたい」と言える居場所づくり~

メンタルヘルスユーザーをはじめ,地域で孤立した若者,ひきこもりの人たちが,健康相談,生きがい,仲間づくり,就労など多様なニードを持ち寄り,仲間同士で支えあい,利用者が主体的に運営できる居場所づくりの可能性を考えます。

日時:2015年11月28日(土)13時30分~15時30分
場所:高松市男女共同参画センター第7会議室
講師:NPO法人Csクリエーションおへんろの駅こくぶ

中山末美 ・ 久保晶代

参加費:500円(メンタルヘスルユーザーは無料)
連絡先:マインドファースト(☎090‐2828‐7021)
主催:認定NPO法人マインドファースト

第131回理事会報告

日 時:2015年10月5日(月)19時00分~21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡並びに報告に関する事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 高松市への要望書に関する事項:9月29日にグリーフワークかがわより4名,当会からは島津,三好,花崎の3名の計7名で高松市議会議長と,先に市民政策局へ提出している「市民活動への支援と活動拠点の確保について」の要望書に対する意見聴取を行なった。この件について,今後ホームページ上に公開することが承認された。

第2号議案 相談事業のブロシュールに関する事項:相談事業のブロシュール2000部を印刷発注するにあたり,香川県の自殺対策補助事業の決定通知が未定であることから,作成作業にとりかかることについて県担当者に照会することで了承された。

第3号議案 報償費並びに委託料支払い規定に関する事項:先に示されている報償費並びに委託料支払い規定の第6条(報償の額)について,相談員,ファシリテーター,技術援助,コンサルテーション,外部講師の金額を定め,平成27年10月5日を施行日とした。また,相談員,コンサルタント,スーパーバイザーには寄付を依頼することが承認された。

第4号議案 認定NPO法人取得記念事業に関する事項:北條理事より,改訂された認定NPO法人取得記念事業講演会の趣旨が示された。日程は3月21日を確定とし,基調講演及びシンポジストの講師料,並びに交通費等について支給額を決定し承認された。基調講演は近県の学識経験者,シンポジストにはNPO法人子どもの虐待防止ネットワークかがわ,小児精神科等の医師,県内の高校の養護教諭への依頼交渉を始めることが承認された。

第5号議案 心の健康オープンセミナーに関する事項:講師依頼の状況について,本日欠席の柾理事に確認をすること,講師が確定次第,チラシ作成にとりかかること,チラシの発送先については昨年度に準じて,AIYAシステムに事前照会することで了承された。

第6号議案 ピアワークスのファシリテーターに関する事項:現在ピアワークスのファシリテーターに花崎理事が担当しているが今後の居場所つくりを考えていく上においても,1名の増員が必要であることが承認された。人選については継続審議とする。

第7号議案 マインドファーストの登録商標に関する事項:登録商標に関しての情報収集することが承認された。

第8号議案 事業の広告に関する事項:タウンページに当会の電話番号を掲載するという案が出された。このことについてさらに,情報収集することが承認された。

第9号議案 家族精神保健相談員資格制度施行細則に関する事項,第10号議案 ストレスチェックの義務化を受けた新規事業に関する事項,第11号議案 寄付金の依頼に関する事項並びに第12号議案 ビジョンの作成に関する事項,以上審議未了。

編集後記:南京大虐殺の記録がユネスコ世界記憶遺産へ登録されました。これに対して,ユネスコへの分担金や拠出金を見直すという日本政府の発言が波紋を呼んでいます。今回のことをめぐっては,南京事件の犠牲者数は,30万は多すぎる,2,3万ではないかとか,大虐殺自体なかったことだといった発言まで飛び出しています。日本は,史実を矮小化し,最後はなかったことにしようとする,そんな意図があると誤解されかねません。大勢の中国市民が旧日本軍によって殺害されたことは,国も認める事実です。むしろ,日本は,負の遺産を記憶に留める作業に,積極的に関与していくことが求められるのではないでしょうか。かつてのハンセン病強制隔離政策も,いぜん解消されていない精神病者収容政策についても同じことが言えるでしょう。国策として行われた原発推進によって多くの犠牲者を出したこともしかりです。国際社会から指摘されるまでもなく,負の遺産を国民が共有することにお金を出し惜しまない。こうしたことこそ,国際社会における信頼を高めることになると思います。(H)