私たちが目指すもの ~新年に寄せて

NPO法人マインドファースト理事長 島津昌代

新年あけましておめでとうございます。昨年は,私たちマインドファーストにとって「認定NPO法人」の認証を得るという記念すべき年でした。そこで,あらためて私たちが何を目指し,どこに進もうとしているのかというビジョンをお示ししたいと思います。

私たちが目指しているのは,「生きている中で遭遇するさまざまな困難にあっても,地域で自分らしく暮らすことを支え合える社会」の実現です。

人が生きていくことの中には,平和な時ばかりではなく,つらく苦しい困難な時があります。健康上の問題や人間関係の問題,職場や学校のストレス,家族の中で起こるさまざまな問題,中には突然の災害など,まったく想定していなかったような事態に見舞われることもあります。生老病死や愛別離苦に伴う喪失のいたみもあります。世の中の変化により,過去にはなかったストレスが生み出されるようにもなってきました。人々の孤立の問題は,その最たるものかもしれません。こうしたそれぞれの事情を抱えて生きていくことは,時として心の健康に多大な影響を及ぼします。

ただ,健康と不健康は対立するものではなく,連続しており,一見,健康な状態に見えてもその中に不健康な事態が潜んでいる一方,不健康と思われる状態の中にも健康な面があります。

困難な事態の中で,その人が本来持っている健康な力が発揮できるには,周囲の理解と協力が必要です。そして,

より生き生きと暮らすためには,地域社会の多くの人々の理解と協力が不可欠です。ただ,一方通行の関係では誤解が生じ,ともすれば相手の自己決定権を脅かしたりもしかねません。双方向の理解と協力,そうした支え合い=互助の力で,マインドファーストは,それぞれの事情をもった人々のメンタルヘルスの向上を図ること(トータルメンタルヘルス)によって,すべての人が地域で生き生きと暮らせる社会を目指す所存です。

マインドファーストでは,このビジョン実現のためのミッション(使命・活動目的)として,以下の4つを活動の柱に掲げて活動しています。

①家庭,学校,職場など,社会生活場面におけるメンタルサポートを大切にします。
②精神的不健康状態の予防とプライマリケア(初期ケア)段階における健康の回復を大切にします。
③適切なメンタルヘルスケアを受けるための情報を提供するとともに,効果的で利用しやすい社会資源の開拓に努めます。
④家族や関係者の負担の軽減を図るとともに,メンタルサポートに取り組んでいる人々への助言や技術支援を行います。

国連は『精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則』の中で「すべての人は,可能な最善のメンタルヘルスケアを受ける権利を有する。」と述べていますが,今の世の中で社会的・経済的に格差を実感している人は少なくなく,そうした状況が大きなストレスとしてのしかかるのみならず,ストレスがドミノ倒し←




→のように押し寄せた結果,「いじめ」やハラスメントが起こっていることも多々見受けられます。精神的に疲弊し追い込まれている人は決して少なくないのです。

私たちの名前が,なぜ「マインドファースト」なのか。名付けるという行為の中には,その対象に対するさまざまな思いや願いがこめられているもので,「マインドファースト」の名には「なによりもこころ」を大切にしていこうという決意が込められています。

私達の活動に対して,ぜひともご支援くださいますよう,よろしくお願い申し上げます。


第134回理事会報告

日 時:2015年12月14日(月)19時00分~21時00分
場 所: 高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 次期事務局体制に関する事項:三好事務局長より,12月7日現在の財務状況についての説明がなされた。未払い金,未収金の処理について,監事にコンサルテーションをうけることが承認された。続いて,引き継ぐ仕事についての説明がなされた。理事の中から事務局長をたて,会員の中から事務局員を配置し,仕事を分担することが承認され,どのような体制,実務についての分担が望ましいかについて,監事にコンサルテーションを受け,決定することが承認された。

第2号議案 介護労働安定センターに関する事項:介護労働安定センターと技術援助の依頼を2013年度まで受けていたが,その後連絡が途絶えた。そのことについて北條理事より,2015年度に入り介護労働安定センターより直接連絡があったため,北條理事が直接契約をし,実施しているとの説明があった。しかし,北條理事は2014年度からの契約,実施している事実について事務局長から指摘があった。当会の技術援助事業のうち,2014年度より介護労働安定センターからの技術援助依頼による収入が途絶えている。三好理事が北條理事に,「介護労働安定センターより連絡があった時点で,当会の技術援助事業のことは考えなかったのか」という質問に北條理事は「その時は考えなかった」との回答であった。制限時間となり継続審議とすることが承認された。

第3号議案:認定NPO法人取得記念事業に関する事項,第4号議案 寄付金の依頼に関する事項,第5号議案 フォークス21のブロシュールの発送に関する事項,第6号議案 心の健康オープンセミナーに関する事項及び第7号議案 理事の名刺作成に関する事項,以上は審議未了。


第135回理事会報告

日 時:2016年1月4日(月)19時00分~21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第4会議室
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 認定NPO取得記念関連事業に関すること:理事長から進捗状況の説明があった。今後の予定として,以下の内容が了承された。①使用物品を確認後,サンポート高松に申請を行う。②企画運営会議で,講師及びシンポジストとの打ち合わせ,配布原稿・資料,役割分担などを決める。講師及びシンポジストの使用機材の確認を理事長が行う。③チラシの配布作業は1月10日に行うが,マインドファースト通信の送付先は除く。マインドファースト通信の送付先には,1月号を作成後に11・12月号及びチラシを同封発送する。チラシ発送先リストにある手渡し分(コミュニティセンター他)も発送とする。④申し込みFAXについては,事前に送信できるか確認をしておく。

第2号議案 次期事務局体制に関すること:理事長から事務局マニュアルが示された。総会及び理事会に関する事務は,適宜,理事が協力しながら行うことで了承された。年度末までの家賃,スタッフ費,認定NPO取得記念関連事業に関する支払いは中添理事が担当するが,会計に関する後任については,事務処理(会計ソフトなど)を三好前事務局長にレクチャーを求め検討することで了承された。

第3号議案 寄付金プロジェクトについて:柾プロジェクトリーダーから次回会議を1月17日(日)10時から本町事務所において開催すると説明があった。

第4号議案 介護労働安定センターに関すること:理事長から年末に北條理事と話し合ったことの説明があった。北條理事からは,介護労働安定センターとの契約が理事になる前のことで今年度2年目になること。1年目が1回,2年目が講演など30回行ったが,直前の依頼もあり, マインドファーストですべてに対応することが難しいという判断から,北條氏が個人として対応した。そのために,私的な業務を行なう時間をそちらへ振り向けるという事情もあった。個人なので柔軟に対応することができたこと,技術援助料についての説明があった。

第5号議案 ボランティア役務の評価に関すること,第6号議案 家族精神保健相談員資格制度施行細則に関すること,第7号議案 心の健康オープンセミナーに関すること,第8号議案 マインドファーストの登録商標に関すること,第9号議案 事業の広告に関すること及び第10号議案 ストレスチェックの義務化を受けた新規事業提案に関すること,以上は審議未了。

編集後記:現政権の目玉政策として掲げられた「一億総活躍」の担当大臣の英訳は,Minister in Charge of Promoting Dynamic Engagement of All Citizensです。英訳では一億と言う数字は使われていませんが,Engagementとは,「従事・約束・仕事」,そして軍事用語として,「戦闘・交戦」という意味もあります。先の太平洋戦争では,戦局が絶望的になったときに,本土決戦に備え軍部が,「一億総玉砕」を掲げ,国民を道連れにしようとした歴史があります。「一億」と聞くと,国民は運命共同体だから,身を挺してもっと頑張れと言われているように感じる人も少なくないでしょう。本来,政治の役割は,格差是正,富の偏在の解消や所得再分配にあるとされます。「一億総活躍」などと,言わずもがなのスローガンを掲げざるを得なくなったのは,政治としての手詰まり感に他なりません。因みに,マインドファーストのスローガンは,「トータルメンタルヘルス」,すなわち,それぞれの事情をもった人々のメンタルヘルスの向上を図ることによって,すべての人が地域で生き生きと暮らせる社会を目指すことです。(H)