マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
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パターナリズムのくびきから解放されるために
マインドファースト通信編集長 花岡正憲
「君らの望む人間になる必要はない。自分がなりたい自分になるんだ」モハメド・アリ(1942・1・17~2016・6・3)
5月10日,衆議院厚生労働委員会で障害者の自立を支援するための障害者総合支援法改正案を巡る参考人質疑で,ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の出席が拒否された。報道によれば,裏で与野党間の駆け引きがあったと言われるが,表向きの理由は,コミュニケーションに時間がかかるため,体調が悪化する,質問に耐えられるか,議論が深まらないのではないか,というものであった。これには,与野党に対する批判が広まり,5月23日,同法改正案の審議に人工呼吸器をつけ車いすに乗って出席,意見陳述が行われた。
日頃よく利用する施設の障害者用トイレの中の光景である。呼び出しボタンの周りには,「緊急用」「緊急の場合は,これを引っ張って下さい。(水は流れません)」「こちらは緊急用です。水は流れません」「気をつけてね!緊急時用のヒモです」といった施設側が作った注意書きが張り巡らされている。そして,水レバーの上には,「トイレの水はこちらです。」とある。障害者に対する認識不足からくるこうしたパターナリズムは,いたるところに見られる。
パターナリズムは,父権主義と訳されるが,強い立場にある者が,弱い立場の者の利益になるようにと,当人の意思や事情に関わらず干渉したり,世話を焼いたり,生き方まで決めてしまうことを言う。裏を返せば,あなた方には自分のことを決める自由もなければ,やったことへの責任を取れる能力もないという見方である。医療現場では,医者任せの医療パターナリズムの弊害が大きいことから,インフォームド・コンセント(説明と同意)の大切さが言われるようになって久しい。しかし,知識や経験において医療者側が圧倒的に優位な立場にあることから,必ずしも同意を前提とせず,インフォームド・チョイス(説明と選択)であるべきだという考え方もある。
東日本大震災や熊本地震など,救援活動のあり方に不満を覚える被災者は少なくないはずだ。しかし,マスメディアは,被災地では,略奪や窃盗が起こらず,整然と順番を待つ被災者の姿を日本人の我慢強さとして報道する。閣僚の被災地訪問では,握手を求められた避難所の高齢女性が,「ありがとうございます」と深々と頭を下げる場面が映し出される。被災者は,それぞれの事情の中で被災し,それぞれの被災の姿があって当然であるにも関わらず,マスメディアによって体制側に都合が良い定型化された
被災者像が作られ,災害救助に対する不満を語りにくい空気感が醸成されて行く。
日本は,「出る杭は打たれる」という言葉に象徴されるように,同調圧力が強い国である。自己主張がない方が人格的に優れているとの神話は,人々に他者からの賞賛や評価を受ける目標行動をとらせがちである。しかし,個人の感情的成熟度は,感情と知性がほどよく分化した状態であると言われる(Bowen, M.)。発達した自我意識を持ち合わせている人は,多少のストレスがあっても,他者に融合して感情中心になってしまうことはない。分化度が低い人は,他者の事情に巻き込まれやすく,こちらの事情や感情をうまく伝えられないために,ストレスに影響されやすいと言われる。フィッティングルームで試着して,気になるところがあっても,店員に「ピッタリです」と言われると,断れず買ってしまい,後で後悔するという経験をした人は少なくないであろう。
カウンセリングでも,クライエントは,必ずしもカウンセラーの助言を聞き入れて行動を変化させるわけではない。本来,人は,自分にとって必要だと思うことは,自分で考え,自分で選び,自分で決めたがるものである。その起源は,親の干渉や過保護に反発する第一次反抗期に見られる。気になる行動をしている2,3歳の子どもに対して,親がやめるように注意しても,すぐには止めず,しばらく同じ行為を続けた後に,あたかも自分の意思で止めたかのようにやめるのが,一般的である。
パターナリズムへの服従は,知らず知らずに,他者に感情的に融合し,エンパワーメントとは程遠い生き方の連鎖に入りやすい。社会サービスも,マスメディアも,利用する側がコントロールできないとき,国民をコントロールする手段に使われてしまいかねない。
「Nothing about us without us.(私たちのことを,私たち抜きに決めないで)」は自立生活運動のスローガンである。自分の人生を自らが選択し,自らが決定することが許されなかった障害者共通の経験を背景としている。
災害や事故などで大きな喪失を経験した人たちのエンパワーメントには,次のようなことが役に立つかもしれないので,参考までに掲げておきたい。
にを言って良いかわからないようであれば,あなたがして欲しいことをはっきり伝えましょう。
(参考資料:マインドファースト・ファクトシート「大切な人を自殺で亡くされたあなたのために」)
第140回理事会報告
日 時:2016年5月2日(月)19時00分~21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第 1号議案 2016年度総会に関すること:下記の審議事項について確認・訂正作業ないし承認が行われた。5月16日の第141回理事会において最終確認を行なう。
①2015年度事業報告:詳細の確認作業の後,概ね承認された。
②2016年度事業計画案並びに事業方針:事業名称と予算金額の一部訂正作業の後,概ね承認された。また,事業方針については理事長が作成することで了承された。5月16日の第141回理事会において最終確認作業を行なう。
③2016年度通常総会会議次第並びに審議事項:審議事項について確認作業が行われた。5月16日の第141回理事会において最終確認を行なう。
④定款の変更:総会に諮るための定款の変更案(新旧対照表)が示され,確認作業を行なった。
⑤総会出欠の回答方法について:はがきでの返信については,保護シールを貼付することで了承された。
⑥総会案内の対象者について:表決権を有しない賛助会員にも総会案内を届けることで了承された。
⑦総会資料の作成について:原稿を作成し,資料作成を外注することも選択肢としておくことで了承された。
第 2号議案 ユーザーの居場所作り事業に関すること:審議未了
第 3号議案 平成28年度募金(29年度事業)香川県共同募金会の広域助成事業の募集に関すること:担当の花崎理事から標記助成金申請に向けて,案が示された。5月10日の申請締め切りに向けて,共同募金側の担当者とも予め協議を行ない,詰めの作業を進めることで了承された。
第 4号議案 グリーフワークかがわからのオフィス本町使用に関する照会に関すること:NPO法人グリーフワークかがわから,年間契約でのオフィス本町の時間レンタルの照会があり,「オフィス本町」管理運営規則,同使用規則並びに使用細則に則り,今後グリーフワークかがわと調整を進めることで了承された。
第 5号議案 事業の広報に関すること,第 6号議案 寄付金プロジェクトに関すること,第 7号議 案家族精神保健相談員資格制度施行細則に関すること,第 8号議案 マインドファーストの登録商標に関すること及び第 9号議案 ストレスチェックの義務化を受けた新規事業に関すること:審議未了
第141回理事会報告
日 時:2016年5月16日(月)19時00分~21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第 1号議案 2016年度総会に関すること:6月20日の総会に向けて,①2015年度事業報告書,預貯金等の残額確認並びに損益計算書の確認作業が行われた。②2016年度事業計画書の確認作業が行われ,2016年度の事業実施の方針が原案通り承認された。6月2日に監査を受け,6月3日までに,総会資料の最終原稿を整えることで了承された。
第 2号議案 ピアサポートラインの記録並びに相談記録の保管及び新規相談従事者への対応に関すること:相談記録の保管キャビネットの鍵は,金庫にて管理することが了承された。新規相談従事者の実務場面における初期支援を柾副理事長が行なうことで了承された。
第 3号議案 相談業務担当表に関すること:花崎理事が集約中の相談業務担当表については,定期的に登録カウンセラーに呼びかけ更新して行くことで了承された。
第 4号議案 オフィス本町のインターネット接続料金の支払い方法に関すること:口座引落の方法を取ることで了承された。
第 5号議案 平成29年度香川県共同募金会広域福祉助成金事業並びに平成29年度赤い羽根共同募金テーマ募金申請に関すること:5月10日申請の広域福祉助成金事業については,後日ヒヤリングを受けること,また, 5月11日のテーマ募金意見交換・研修会を踏まえ,5月31日の申込期限に向けて,テーマを募ることで了承された。
第 6号議案 ユーザーの居場所作り事業に関すること:6月5日,本事業メンバー6名が,「おへんろの駅こくぶ」へ出向き,コーヒー浸出方法やカフェ運営等について指導をうけること,並びにそのための必要経費については,予め見積りを取ることで了承された。
第 7号議案 グリーフワークかがわからの施設見学に関すること: NPO法人グル―フワークかがわが,オフィス本町の賃借を希望し,5月29日午前10時,同所の見学を希望している。島津が対応することで了承された。
第 8号議案 28年度自殺対策補助金の申請に関すること: 現段階では,特に期限は明記されていないが,県から示された今年度地域自殺対策強化事業実施要綱(案)(取扱注意)を踏まえ,同補助金の申請準備を行なうことが了承された。
第 9号議案 事業の広報に関すること:審議未了
第10号議案 寄付金プロジェクトに関すること:3月21日の記念シンポジウムで暫定的に配付された募金のためのブロシュールを原稿として,正式のブロシュールを印刷することで了承された。
第11号議案 家族精神保健相談員資格制度施行細則に関すること,第12号議案 マインドファーストの登録商標に関すること及び第13号議案 ストレスチェックの義務化を受けた新規事業に関すること,以上審議未了
編集後記:北海道七飯町で,しつけの一環として置き去りにされた7歳の男児が行方不明になり,6日後無事保護されました。今回のことを巡っては,他の親でもこうしたことが起きたかも知れない,子育ての悩みを気軽に相談できない社会が問われているのではないかと言った,冷静な受け止め方が大半でした。先日,保護されていた男児が病院から退院する姿がテレビで放映されました。当人は,やや緊張はしているものの,明るく笑顔を振りまき,そうした姿を見て安堵する人たちも少なくなかったでしょう。しかし,まったく気がかりがないわけではありません。これから心のケアがはじまると聞きますが,心のケアとは,親に対しては子どもが行方不明になった時点から,子どもに対しては保護された時から,親子双方に対して行われるものです。マスコミのカメラの放列と問いかけに晒されることについて,その判断を7歳の当人だけに委ねるわけには行かないでしょう。行方不明になっていた子どもが発見されたときに,大人やマスメディアの対応はどうあるべきかなど,関係者の間でどのような議論と判断があったのか,気になります。(H.)