マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファースト事務局:
〒760-0032 香川県高松市本町9-3白井ビル403
本誌に関するお問合せは下記へお願いします。
☎ 090-2828-7021
http://www.mindfirst.jp/
2016年度通常総会を開催いたしましたので,下記の通り報告いたします。
記
開会の挨拶
2015年度は,認定NPOの認証を取得しての初年度であった。認定NPO取得記念シンポジウムを開催するとともに,関係諸団体に出向き連携を取ることもあった。認定NPOとしての社会的信頼を広げていくことが今後の課題である。昨年度は,任期半ばで,それぞれの事情により,2名の理事の退任があった。新しい体制を作っていくための変革の時期を迎えているとも言え,そうした中での今回の総会でもあるとの認識を持っている。会員各位におかれては,当法人の活動に積極的な参加をお願いしたい。
議長選任
理事長挨拶の後,議長の選任が行われ,柾美幸が議長に選任された。議長は定款27条に基づき,総会成立の要件をみたしていることの報告に続き,本総会の成立を宣言した。議長により,花岡正憲が書記に,議事録署名人に西内紀江と島津昌代が,それぞれ指名され承認された。
第1号議案 島津理事長から報告があり,質疑の後採決に入り,満場一致をもって承認された。
第2号議案 島津理事長から報告があった。
第3号議案 長門恵子監事から本案について報告があり,第2号議案と一括して質疑の後採決に入り,満場一致で承認された。
第4号議案 島津理事長が説明を行ない,質疑の
後,採決に入り,満場一致で可決された。
第5号議案 島津理事長より説明がなされ,質疑の後,満場一致で可決された。
第6号議案 島津理事長から,定款2条(事務局)並びに定款16条(任期等)の変更理由について説明が行なわれ,質疑の後,採決に入り,満場一致で可決された。
第7号議案 三好理事並びに北條理事両名の任期半ばでの退任に伴い,2名の理事の補充について,自薦他薦を提案した。自薦他薦がなかったため,執行部案として,島津理事長から上間勇治氏と松岡祥恵氏両名の提案が行われ,満場一致で可決された。いずれも,任期は,前任者の残存期間とする。
第142回理事会報告
日 時:2016年5月13日(月)19時00分~21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第 1号議案 2016年度総会に関すること:6月13日現在連絡があった出席6名・書面による参加7名。(正会員総数33名)当日の役割については,司会:花崎泉,受付:花崎泉・花房秀二,書記:花岡正憲に割り振られた。なお,議長は執行部案としては,柾美幸に,議事録署名人1名は当日参加者の中から選任することで承認された。
第 2号議案 面接記録の開示請求に関すること:フォークス21のクライアントより,弁護士に相談記録を開示請求があった件について,2つの観点から議論された。1つは開示することによってクライアントに不利益が発生することがないかどうか,もうひとつは,クライアントが語った内容に本人以外の第三者の情報があるかどうかである。今回は,個人情報保護という視点から提出はできないということで承認された。
第 3号議案 ユーザーの居場所作り事業に関すること:これまでは「話し合い」が多かったが、6月5日のおへんろの駅こくぶでの体験は楽しかったという感想が多かった。今後の活動についてもピアワークスで決めていくということで承認された。
第 4号議案 相談記録の保管および新規相談従事者への対応に関すること:相談記録の保管については花岡理事が金庫の情報を収集する。また新規相談従事者への対応については柾理事が相談事業運営マニュアルの作成準備中であり,継続審議とする。
第 5号議案 平成28年度高松市男女共同参画センター事業・市民企画講座の募集に関すること:今年度は参加しないことで承認された。
第 6号議案 新・高松市男女共同参画センターの予約申し込みに関すること:現在会議室の予約はせず登録はする方向で承認された。
第 7号議案 事業の広報に関すること:新聞各社や高松市報にFAXで事業の案内を送ったり,市役所の市民相談コーナーなどに定期的にブロシュールを補充するなどの活動を確実なものとするためには担当者を決める必要がある。担当者の選任はファミリーカウンセラー会議にて決めることで承認された。また広報のツールとしてメールマガジンの活用も有効であると思われるので,AIYAシステムに相談することで承認された。
第 8号議案 家族精神保健相談員資格制度施行細則に関すること:審議未了
第 9号議案 マインドファーストの登録商標に関すること:詳細を調査し,7月の理事会にて審議を行うということで承認された。
第10号議案 ストレスチェックの義務化を受けた新規事業に関すること:情報収集は継続するが,今すぐに新規事業として取り組む必要はないということで承認された。
第143回理事会報告
日 時:2016年6月27日(月)18時50分~19時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第4会議室
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第 1号議案 主たる事務所移転に関すること:2016年6月20日開催の社員総会において,定款第2条が変更されたことに伴い,当法人の主たる事務所を下記のとおり移転したい旨を諮ったところ,満場一致で承認された。
①主たる事務所:高松市本町9-3白井ビル403
②移転の時期:平成28年6月28日
~がんと「私のがん」の事実をもっと知ろう~
1年前の人間ドックではがんが見つからなかったが,今回の検診ではがんが見つかり,かなり進行していると言う場合がある。また,がんと診断されたが,経過観察をしたところ何年か後にはがんが消えていることがある。東電原発事故では,子どもの甲状腺がん増えたと言う報告もあるが,それは検診を受ける子どもが増えたからだと主張する者もいる。
がんの本態やその発症のメカニズムには,まだまだ分からないことが多い。そうした中で,6月30日,新聞各紙に,国立がん研究センターが,2012年に新たにがんと診断された47都道府県のデータを発表したとの記事が掲載された。新聞によっては,この診断率を発症率と置き換え,発症率が高いが死亡率が低いところもあれば,発症率は低いものの死亡率が高いところがあることを予防や地域の医療機関の連携の差と関連づけて論じているところもある。
診断率は,あくまでも受診した人でがんと診断された人の割合に過ぎず,発症率でないことは言うまでもない。診断率から地域ごとの発症率を推定しようとするのも無理がある。
そもそもがんと診断されるのは,例えば,不正出血,消化器系の閉塞症状など何らかの症状があって受診する人もいれば,無症状の段階で,検診でがんと診断される人もいる。さらに診断基準もどれだけ統一されたものが用いられているのか不明である。がんの臨床病期と組織診断上のステージ,すなわち病理病期は必ずしも一致しない。組織上は将来がんになる可能性がいくらかの割合であっても,細胞の異形成だけではがんとは言えない。高度異形成であっても軽度異形成にもどる場合もある。こうした場合,診断については,医療現場ではどのような診断がつけられるのであろうか。
欧米諸国では,がん死亡者が減っていく中で,日本だけが,2人に1人ががんになり,3人に1人ががんで亡くなると言われるように,がんとがん死亡者が増え続けている。生活者実感として,それほどがんで亡くなる人が多いのかという疑問がなくもないが,この違いについて納得のいく説明にお目にかかったことがない。高齢化の早さや,検診率の低さをその理由とする意見もある。一方で,高齢者のがん検診については,がんと診断さ
れても治療の適応にならない場合は不安だけを与えてしまうことや仮に治療を行なっても治療的負荷によるQOLの低下を考慮して,検診を行なわない国もある。
早期発見と早期治療が死亡率を低減すると信じられているが,これに対しては疑問を呈する者も少なくない。ある時期にがんが見つかり治療を開始した場合,それよりも早くがんが見つかって治療を開始した場合と比べ,生存率が短くなるのは当然で,リード・タイム・バイアス(ある課題への取り組み開始から終結に至る期間の統計処理上の歪み)があるからとされる。言わば,本来のスタートラインを前にずらせばゴールまでの距離は必然的に短くなるということである。
肺がん検診については,いくつかの「クジ引き試験」(片方のグループは放置,他方は検診を繰り返して,がん死亡が減るかどうかを調べる研究方法)が行われ,有効性が否定された。欧米ではこれを境に肺がん検診は実施されていない。検診によって初期のがんが見つかり,手術を受けたところ組織上は良性で手術を急ぐ必要がなかったと言う場合もある。早期発見・早期治療には,過剰診断・過剰治療の側面があることも否定できない。
人々が一番求めているのは,どのようながんについて,どのようなタイミングで,どのような治療を受けるのが良いか,さらに,どのようながんは,治療を受けずに放置しているとどのような経過を辿るか,そして,自分のがんへの対処は,どのようにするのが最適(optimum)か,といったことを判断できる情報であろう。がんは発見された段階でなんらかの治療的関与を受けることが多い。中には,がんと診断されても治療を見合わす人もいるが,そうした人の追跡調査が行われることは殆どない。そのため,わが国では,がんの自然史(natural history)に関するデータも少ない。
がんついては,分からないことが多いとは言え,がんと診断された患者が欲しいのは,自分のがんと納得して向き合うために,現代の医学で分かっている科学的根拠を踏まえた情報だ。がんの治療ガイドラインや副作用の説明だけではないだろう。それでは,結局医師にお任せということになりかねない。原発巣の治療の後,再発予防や微小転移を懸念して「念のため」として化学療法(抗がん薬治療)を提案されることは少なくない。念のためという不安を前提として始まった治療は,なかなか出口が見つからなくなることも事実だ。
患者は,「こうすれば絶対治る」という答えを医師に求めているわけではない。これは,がんだけでなく,すべての病気について言えることだ。患者にとって一番困るのは,治療を受けるにしても,止めるにしても,「わからない」と医師から言われることであろう。患者にとって必要なことは,仮説も含めて,現段階で明らかになっている科学的事実である。
(マインドファースト通信編集長 花岡正憲)
編集後記:英国では,国民投票でEU離脱派が勝利しました。離脱に投票した人たちは,その後「離脱とは何か」「離脱したらどうなるのか」などネットで検索し,離脱に投票したことを後悔する人が続出しています。日本もひとごとではありません。憲法改正の国民投票が現実のものになるかも知れません。改正に投票した後,「憲法とは何か」「改正されると何が変わるのか」を検索して後悔する。これを後の祭りと言うのでしょう。情報が少ない中で,その時の雰囲気や気分に流されて取り返しがつかない選択をして後悔する。残念ながら,こうしたことは,ありがちです。がん治療も同じことが言えます。治療を受けた後で,「がんとは何か」を検索することがないようにしたいものです。(H.)