マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファースト事務局:
〒760-0032 香川県高松市本町9-3白井ビル403
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ゲートキーパー研修会報告
マインドファースト理事長 島津昌代
7月6日(水)14時30分から15時45分,香川高等専門学校高松キャンパスにおいて,香川県主催のゲートキーパー普及啓発事業の一環で「自殺予防の基礎を学ぶ~自殺予防のために私たちができること~」と題して,2年生173名を対象に講演させていただきました。
同校は,以前から自殺予防教育に熱心に取り組んでおられ,過去にも講演にうかがったことがあります。研修会は,まず香川県精神保健福祉センターの方から香川県の自殺の現状と香川県における自殺予防の取り組みについてのお話がありました。今回対象の2年生は1年時に精神科医から思春期における心の健康や人間関係についての話をきいており,今回,2年に進級して人間関係も広がり,専門の教科も増えて進学や就職に向けての意識が高まる中で抱えるストレスも複雑化していること,進級して環境が少し変化したのを機に心の健康や人とのコミュニケーションについて話してほしいという先方の依頼に添う形で,なるべく具体的にイメージしやすい話を心がけました。
自殺予防の話をする時,一番に伝えたいことは「死にたい」と思うことと「死ぬ」ことはまったく別物であり,「死にたい」と思うくらい切羽詰ったつらい状態で更に自分を追い詰めてしまう心理的な視野狭窄状態が心の危機状態であること,そして危機状態だからこそSOSを発信しているのだということです。視野が狭くなっている,
つまり,抱えている問題に一点集中してくると,問題は心の中でどんどん大きくなり二進も三進もいかない解決不可能なものに思えてきます。もちろん簡単な問題だとこんなに苦しむことはありませんし,なんとか自分ひとりの力でどうにか出来るときも,そんなに落ち込んだりはしないものです。それがうまくいかなくなるから思いつめたり,次々に問題が重なったりすると,お手上げ状態になって問題に圧倒されてしまいます。
このような状態の時に大切なことは,一人で思いつめないことであり,友達から「死にたい」ということを打ち明けられたときは未成年同士で悩むのではなく,信頼できる大人に相談することです。特に,友達同士で支えあうのは大事なことですが,未成年だけでどうにかしようとすると共倒れになりかねません。そうしたことも含めて,今回の講演では,どのように相談を切り出すかという点を重点項目として話しました。
また,自分自身の心を守ることについても触れておきました。心の健康を保つには,①感情をきちんと感じる。②意義と喜びを大切にする。③外的な要素より心の状態。④生活を単純にする。⑤身体を大切にする。⑥感謝を表明する。といったことが挙げられますが,生きていると思うようにいかない事態と遭遇するのは珍しいことではありません。そうした挫折や喪失を体験して傷ついたときにどう事態を受け止め,自分を受け入れるか,そこに大きな鍵があると思います。今回,自分が苦しい時に陥りやすい思考の癖についても解説し,失敗があっても,それは大きく成長するための機会になるということを
お伝えして話を締めくくりました。
マインドファースト理事 花岡正憲
8月30日(火)午後3時45分から,善通寺市役所において,香川県ゲートキーパー普及啓発事業の一環として,同市社会福祉課職員13名に対する研修が行われました。
香川県精神保健福祉センターの自殺の現状と対策に関する解説の後,講師として招請されたマインドファーストは,「自殺予防の基礎を学ぶ~自殺予防のために私たちができること~」と題して講義を行いました。講義の概要は以下の通りです。
(1)自殺予防を妨げるもの:普段私たちの社会では,自殺について語られる機会は多くない。あまり語られないことには,事実と異なる誤解や偏見が生じやすい。そのため,世間一般で信じられている「自殺神話」が自殺予防の障害になっていることが少なくない。
(2)自殺の予知は可能か:あいにく,自殺をしたがっている人とそうでない人を見分ける方法はない。しかし,目安としてのサインや心の健康を損なうきっかけは,知っておくと役に立つことがある。
(3)私たちにできること:研究によると,自殺の危険性がある人に「自殺について語ること」が,自殺の可能性を下げることが明らかになっている。考えていることや感情を表現することは,コミュニケーションの機会になるとともに,その深刻さをアセスメントするきっかけにもなる。
(4)自殺を考えている人への声かけの留意点:否定的な感情を表現させすぎる問いかけや,否定的な感受性を喚起させる曖昧な言葉は避ける。簡潔かつ直接的,明示的な表現を通して,情緒ではなく思考レベルへ働きかけることが望まれる。
最後に,自殺思考を抱いている人物のビニエットを紹介し,ネガティブな思考への気づきを促す支援のあり方にについて解説を行いました。
講義の後,①相談窓口で利用制度などを説明するさいの留意点,②自傷行為(リストカット)と自殺行為との違い,③諸外国と日本の自殺対策の取り組み状況,④思い込
みが強くなっている人への支援,⑤自殺の恐れのある人への日頃からの留意点などに関する質問があり,市民との関わりが深い現業部門に従事する職員ならではの真剣な姿勢が伝わってきました。
第145回理事会報告
日 時:2016年8月8日(月)19時00分~21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第 1号議案 障害者福祉施設殺傷事件を受けての緊急声明に関する事項:理事メーリングリストにて理事の承認を得て,7月29日付けでホームページ上に声明文を出した。
第 2号議案 今年度事業の担当に関する事項:前回理事会で決定していなかった担当に関して決定をした。
第 3号議案 理事およびファミリーカウンセラー合同会議に関する事項:現在10名から返事があった。締め切り後回答が無い者については事務局から問い合わせを行う。内容については理事メールで検討することで了承された。
第 4号議案 地域活動支援センター「はなぞの」からの取材依頼に関する事項:花崎理事と花房理事が対応することで了承された。編集委員と連絡を取り,取材内容について事前に確認をすること,出来上がった原稿の確認をすることで了承された。
第 5号議案 ユーザーの居場所作り事業に関する事項:9月理事会において,事業を進めるための会の名称および構成員を決めることで了承された。
第 6号議案 家族精神保健相談員資格制度施行細則に関すること:提案された細則について了承された。
第 7号議案 世界メンタルヘルスデイに関する事項:ワーキンググループを立ち上げる。そのため,日程調整を上間理事が行うことで了承された。
第 8号議案 事業の広報およびFacebookのアカウント取得に関する事項:花岡理事がAIYAシステムと相談することで了承された。
第 9号議案 今年度新規事業に関する事項:審議未了。
第10号議案 マインドファーストの登録商標に関する事項:審議未了
第11号議案 役員報酬規定に関する事項:2016年8月8日から施行することが了承された。
編集後記:中高校生の自殺は,長期の休み明けに集中する傾向があります。過去42年間の統計によれば,18歳以下の日別自殺者数は,9月1日が131人,4月11日が99人,とこの2日が突出しています。こうしたことから,学校でも自殺予防教育が始まっていますが,中には,道徳の授業の中で強さを育む取り組みもあり,ますます生徒が追いつめられて行くのではいかと心配です。まず,教育現場に求められることは,学校という文化が,子どもに馴染めないものになりつつあるという現実を見つめる勇気であるように思います。(H.)