マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファースト事務局:
〒760-0032 香川県高松市本町9-3白井ビル403
本誌に関するお問合せは下記へお願いします。
☎ 090-2828-7021
https://www.mindfirst.jp/
2016年度
香川県自殺対策連絡協議会
マインドファースト理事 上間勇治
去る平成28年9月5日(月)に香川県庁本館において,「平成 28年度 香川県自殺対策連絡協議会」が行われました。
本協議会は近年,全国的に我が国の自殺者数が急増し,大きな社会問題になっていることを受けて,自殺予防等に関して県内の関係機関が効果的な連携を図り,自殺対策事業を推進するために必要な事業の協議および,関係機関同士の情報交換を目的として平成18年の8月に設置されたものです。
全国では平成10年に年間の自殺者数が3万人を超え,その後も高い水準が続いていますが,これは実に交通事故による死亡者数の約4倍もの数に相当します。
また,自殺未遂者は,自殺者の10倍,さらに一人の自殺によって心理的に強い影響を受ける人は,その人の周りに少なくとも5人はいると言われています。
つまり,自殺によってその家族や友人,交友の深かった人まで深いダメージを負うと言う事です。特に自殺によって,遺族が受ける精神的・社会的に受けるダメージはとても計り知れません。
メンタルケアが必要な遺族なのですが,実は社会から孤立してしまう可能性があります。なぜなら,学校や職場,近所などでそれまで親しかった人ほど,どう対応してよいかわからず,交流を避けてしまいがちになるからです。(※そういう遺族のためのグループミーティング「サバイビング」をマインドファーストでは毎月1回開催しています。)
協議会資料によりますと,香川県においても毎年約200人前後もの人が自ら命を絶っているという現状があります。香川県での自殺の原因・動機については男女ともに,「健康問題」(男性37.6%,女性64.2%)が多く,男性
は女性に比べて,「経済生活問題」,「勤務問題」を理由とした自殺の割合が高くなっています。
また,平成27年度年齢別の死因などを見てみると,20歳~34歳までの死亡原因の第1位を「自殺」が占めているという悲しい現実があります。更に35歳から64歳までの死因の第1位は「悪性新生物」なのですが,35歳~49歳までの死因第2位が「自殺」になります。
つまり,まさに働き盛りの世代の死因が残念ながら「自殺」と言う事になります。これは日本経済にとっても大きなダメージです。このように,自殺は大きな社会問題でもあります。
しかし,平成24年8月に「自殺総合対策大綱」の全体的な見直しが行われた結果,自殺はその多くが防ぐことのできる「社会的な問題」であると位置づけられ,「自殺の予防対策には社会全体で取り組む」と言うことが定められました。
香川県でも,自殺対策連絡協議会を中心に,一人ひとりのかけがえのない命を大切にし,「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現をめざして心の健康に関する普及啓発など様々な対策や取り組みを進めております。
マインドファーストでも今年度の自殺予防対策の取り組みとして,自殺予防カウンセリング「心の危機の相談(クライシスサポートカウンセリングCSC)」,自殺予防メンタルヘルスユーザーの居場所「ぴあワークス」,電話相談支援事業:ピア・サポートライン(PSL),ファミリーカウンセラー養成講座,相談員研修,自殺で大切な方を亡くされた人のグループミーティング「サバイビング」,新規事業として「子供の喪失体験の支援」,さらに,ゲートキーパー養成講座の講師派遣,世界メンタルヘルスデーを記念しての街頭キャンペーンなどを紹介させて頂きました。
その他,本協議会を通して皆さんに私が訴えたことは,「関係機関との親密な連携・情報交換,さらにマスメ
ディアとの協力関係が最も重要な点だ」と言う事でした。
今後は,発言通り,各機関との連携,マスメディアとの協力関係を意識してさらに積極的に支援活動を行っていきたいと決意いたしました。
世界メンタルヘルスデー キャンペーン活動のお知らせ
月10日は,メンタルヘルス問題に関する世間の意識や関心を高め,偏見を無くし,正しい知識を普及するために定められた世界メンタルヘルスデー(World Mental Health Day)です。
マインドファーストは,キャンペーン活動の一環として,下記チラシとアウェアネス・リボンを関係機関と報道各社に郵送しました。
①チラシ:メンタルヘルス問題に関する人々の意識や関心を高め,偏見を無くし,正しい知識を普及するために定められた国際記念日である世界メンタルヘルスデーに関するものです。
②シルバーリボン:脳や心に起因する疾患や障害(精神障害・知的障害・発達障害・神経難病・認知症・高次脳機能障害)を持つ人への偏見を払拭し,メンタルヘルスへの理解を促進することを目的としたアウェアネス・リボンです。
なお,マインドファーストでは,下記の要領で,世界メンタルヘルスデー街頭キャンペーンを行います。
当日配布のチラシは,下記ホームページサイトからダウンロードできます。
第146回理事会報告
日 時:2016年9月12日(月)19時00分~21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 ゲートキーパー普及啓発事業研修会講師派遣に関すること:さぬき公共職業安定所から講師依頼があった。講師は花岡理事が担当する。日程については,主催者の精神保健福祉センターと交渉することで了承された。
第 2号議案 ユーザーの居場所づくり事業に関すること:以下の内容が承認された。①平成28年度共同募金助成事業として運営をしていく。そのために,運営委員会を開催し,運営委員を理事長が委嘱する。委員には,ぴあワークスや事前研修の参加者及びおへんろの駅こくぶでのスタッフに依頼する。②スーパーバイザーに対する報償費の支払い以外に,おへんろの駅こくぶでの研修や運営委員会に参加した人の日当や交通費等も支払う。
第3号議案 世界メンタルヘルスデーに関すること:上間理事から進捗状況について報告があり,以下のことが承認された。①チラシ・カラーパネルについて,チラシのMFのロゴマークを小さくする,枠をシンプルにする,カラーパネルの字のサイズの
検討等の意見をもとに修正し,メーリングリストで確認する。チラシの内容は(案)で了承された。資材の購入は上間理事が担当する。②リボン作成については,作業日を9月25日高松市男女共同参画センター第4会議室13時30分から行う。会員への作業呼びかけは,上間理事が担当する。③シルバーリボンを知事や各市町長に送付し,世界メンタルヘルスデーの啓発を行う。④理事・ファミリーカウンセラー合同会議の後,イベントの件で島津理事長が丸亀町商店街振興組合に相談したところ,商店街でのチラシ配りは許可できないと言うことであった。(9月12日上間理事メール報告により追記)
第4号議案 テーマ募金に関すること:花岡理事から報告があった。①8月30日に香川県共同募金会で今年度新規でテーマ募金を申請した2団体に対して説明会があった。共同募金とマインドファーストがコラボし,マインドファーストがテーマを出して募金活動を2016年1月1日から3月31日に行う。募金目標額は50万円で,募金全額が4月以降にマインドファーストに振り込まれる。②今後の流れとして,チラシ案を作成し,9月末までに共同募金に提出する。チラシは来年の1月から3月までの募金活動に使用する。11月に9団体(すでに実施している7団体と新規2団体)の合同会議を持つ。募金は寄付金としての扱いになるため名簿作成が必要である。名簿は各団体が保管する。③花岡理事から本作業の着手とメールでの意見交換の依頼があり了承された。
第5号議案 ファミリーカウンセラー養成講座・シニアコースに関すること:花岡理事より進捗状況の報告があった。助成事業として申請予定であるが,実施要領の送付が遅れている。
第6号議案 今年度地域自殺対策強化基金事業に関すること:事業に関する連絡がないため,島津理事長が香川県に確認したところ「各団体で予定通り進めるように」との回答であった。①子どもの喪失体験の支援について:今年度の新規事業であり,今後担当理事を中心に検討していく。②継続事業について:島津理事長から申請資料を基に事業の確認と,ブロシュールの作成等を各担当で計画を示してほしい旨の依頼があり承認された。
第 7号議案 マインドファーストの登録商標に関すること:審議未了
第8号議案 その他:柾理事から事務所の使用予定を記入依頼があった。花岡理事から金庫について説明があり,配送無料の金庫を購入することが承認された。今後,設置場所の準備をしていく。
編集後記:7月26日に起きた相模原市の障害者施設殺傷事件に関する厚生労働省の検討チームは,9月14日中間報告を公表しました。報告のポイントは,過去の措置入院中と通院時の大麻再使用防止の対応が不十分,退院後の病院と相模原市の連携が不十分,相模原市は退院後の居住先について両親が住む八王子市に情報提供をしていなかった,退院後の支援を継続するには制度改正が必要など,いずれも入院中から退院後の病院と自治体の支援が不十分というものです。今回の事件では,措置入院を判断した医師の一人が,他人のケースレポートを流用して精神保健指定医の資格を不正取得したことが明らかになりました。厚労省は,この件におけるこの医師の入院の判断自体に問題はなかったとしていますが,果たしてそうでしょうか。指定医は,精神科医療に精通しているだけでなく,憲法に定められた「人身の自由」を制約し,監禁や拘束の判断を独占的に行えるという点で法律にも通暁している医師に与えられる特権です。とりわけ強制力が強い措置入院の決定については,精神医学的観点から,治療的見通しや課題も含めて,人権に配慮した高度の判断が求められます。こうしたことを特別の資格を与えた医師だけの判断に任せることには限界があります。また,精神保健福祉法第27条には,「都道府県知事は,第22条から前条までの規定による申請,通報(筆者注記:検察官,保護観察所の長,強制施設の長)又は届出のあつた者について調査の上必要があると認めるときは,その指定する指定医をして診察をさせなければならない」とあります。指定医の診察を判断する以前の都道府県知事の責務となっている保健所等の事前調査の実態はどうなっているのでしょうか。警察や司法当局から振られたものを知事側の調査が不十分なままに,精神科医療へつけ回しをするような慣行があるとすれば,この点についても技術面,制度面の両面からの検証が必要です。(H.)