世界メンタルヘルスデー

マインドファーストは,10月8日(日)10~14時,島津理事長他4名が参加し,高松市兵庫町中央通り東出口とJR高松駅サンポート側で,世界メンタルヘルスデー街頭キャンペーンを行いました。スローガン「こころの健康は誰のもの?」を掲げ,キャンペーン用チラシとシルバーリボン(アウェアネス・リボン)を約150セット配布しました。

世界メンタルヘルスデー街頭キャンペーンの様子

silver ribbon

シルバーリボン運動をとおして

マインドファースト認定ファミリーカウンセラー
杉山洋子

2017年度世界メンタルヘルスデー啓発活動で,街頭キャンペーン当日には参加することはできませんでしたが,チラシとシルバーリボンをお一人ずつお渡しすることができました。そこには必ず対話が生まれました。「なぜ,シルバーなの?」「マインドファーストから始めたことなの?」問いかけがあり,チラシをともに読み,さらに必ずと言っていいほど,チラシの裏面の「『メンタルヘルスデー』にしたい7つの素敵なこと」を丁寧に読んでくださいました。

1枚のチラシをともに読むとき,これから目指すべき道を確認するために,地図をいっしょに見ているイメージでした。対話のなかで生まれてくる問いかけは,互いの想像の広がりを創り出すのだと感じました。疑問が解けて腑に落ちる体験があれば,その人からさらなる啓発のネットワークが作られていくという確信が生まれました。

2017年度の世界メンタルヘルスデーのテーマは「職場のメンタルヘルス」でした。事業場におけるストレスチェック制度が開始され2年近くになります。結果を通して,労働者,産業医,管理監督者,健康管理スタッフらが対話を重ねていくことが,個人のメンタルケアにとどまらず,職場環境の見直しに繋がります。

本来は,こうした制度に頼ることなく,日常的にラインケアが実践されことが労働者の心の健康を守ることになるのですが,業務の進捗状況についての話し合いはあっても,職場の環境について話し合う機会が少ないのが現状です。職場の環境とは,物理的な環境だけでなく,人間関係という環境こそ労働者の健康を守るために重要な要素です。

ある革製品の老舗では,150以上の工程を職人が手作業で靴を作りあげていると知りました。昔からの靴職人が行っていたのと同じ工程を守り続け,1足のショートブーツが仕上がっていくそうです。美しい製品は良い環境から生まれるという信念が貫かれ,職人たちの福利厚生は充実しているということです。

対話をすることに時間を惜しまず,疑問を出し合い,行くべき道を確認し合い一歩ずつ進んでいくこと,「効率的」という言葉と対極にあることですが,シルバーリボンを一人ひとりに手渡していく活動をとおして,あらためてその価値を実感しました。

2017年10月10日

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silver ribbon

私のこころを健康にしてくれた街頭キャンペーン

マインドファースト理事 柾 美幸

10月10日の世界メンタルヘルスデーに先駆けて,10月8日(日)高松市兵庫町商店街入り口(中央通り交差点)とJR高松駅前にてキャンペーンを行いました。

参加者は5名で160部のチラシと予め会員さんのご協力で製作したシルバーリボンを,街行く方々に配布いたしました。

このキャンペーンはマインドファーストでは昨年度から行っているもので,こころの健康は精神障害者・精神疾患患者などというある特定の人の問題ではなく,老若男女すべての人に関する身近なことであるということを広く知っていただきたいと思っています。家庭内で,また学校で,そして職場で・・・。さまざまなできごとを毎日のようにメディアは報じています。それはどこかの誰かの出来事ではなくすべての人にいつでも起こりうることかもしれません。ついつい見落としがちなこころの健康。「こころの健康」は誰のもの?と街行く皆さんに少しでも立ち止まって思いをめぐらせていただければと思い参加しました。

当日掲げられたキャンペーン看板を遠巻きながら目をやる人たち。直接「何ですか?」と立ち止まる人は少ないものの,そういった人に声掛けし,キャンペーンチラシを手渡すと皆さん関心を持って受け取ってくださいました。

余談ですが10数年前東京で迷子になった私は道行く人に声をかけ,目的地を訪ねようとしました。ところが声をかけた人全てが無視をして通り過ぎたのです。この出来事以来,私は人の多い所や知らない人に声をかけることが苦手になりました。しかし今回の街頭キャンペーンで無視をする人はほとんどいなく,キャンペーンチラシを受け取ってくださらなかった人たちからも丁寧にお断りの言葉をいただきました。まだまだ人間は捨てたものじゃありません。私のこころを少し健康にしてくれたキャンペーンでした。

第160回理事会報告


日 時:2017年10月16日(月)19時00分~21時05分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 ユーザーの居場所作り事業に関する事項:  居場所作りに関する連絡を円滑に行うため,新規に携帯端末を開設することで了承された。

第2号議案 活動費規定の改定に関する事項:同行援護従事者をカウンセラーメーリングリストに登録し,活動報告を提出すること,及び従事者にはピアサポーターコンサルテーションへの参加をもとめ,費用の支払い及び記録の保管などもその場で周知することで了承された。

第3号議案 フォークス21のブロシュールに関する事項:吉田理事より新しいブロシュール(案)が提示された。継続審議とすることで了承された。

第4号議案 ファミリーカウンセラー養成講座シニアコースに関する事項:オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパンに対し講師派遣依頼を出す。受講案内チラシ(案)を花岡理事が作成することで了承された。

第5号議案 NPO認証取得10周年記念シンポジウムに関する事項:第2回実行委員会を10月30日(月)19:00からオフィス本町で開催することで了承された。

第6号議案 子どもの喪失体験の支援に関するファミリーカウンセラーを対象とした研修に関する事項:審議未了。


編集後記:文部科学省の調査によれば,2016年度全国の小中学校などで,32万3808件のいじめが確認されています。前年度から約10万件増え,過去最高になりました。いじめが一向に減らない中で,早期に対応するため,いじめの定義を拡大したことも影響しているとのことですが,定義の拡大は,この問題の深刻化のあらわれに他なりません。自殺した子どもは244人で,警察庁の統計では348人になっています。これも過去最高で,原因が分からないとするのもが,132名と最も多くなっています。自殺をしたがる子どもの多くが,大人に相談をしないと言うのも特徴です。マインドファーストは,2012年8月「いじめ自殺を防ぐために」として提言を行ない,他者の事情に思いが至らないイマジネーションの乏しさを問題として指摘しました。いじめや若者の自殺は,分断と差別がもたらす社会政治状況が影を落としていることは明らかです。大人社会のあり方が問われています。(H.)