2017年度テーマ募金へのご協力のお礼とご報告


心の健康を損なった人達が,適切な支援を受けて,家庭生活や社会生活を損なうことなく,一日も早く健康を回復するための支援は,マインドファーストの主要な活動の一つです。

2018年1月1日から3月31日,平成29年度香川県共同募金会のテーマ募金に参加し,テーマ「心の病から早く回復するためのプロジェクト」,募金目標額50万円を掲げ,募金活動を行ないました。

平成29年度香川県共同募金会のテーマ募金チラシ
平成29年度香川県共同募金会のテーマ募金チラシ

3か月と言う限られた期間にもかかわらず,多くの方からご寄付をいただき,最終募金総額は466,476円,達成率は93.3%になりました。

私共の掲げたテーマと活動にご賛同いただき,「寄付」という形で活動へのご支援ご参加いただきましたことを厚く御礼申し上げます。

募金活動期間終了後も寄付をしたいとのあたたかいお申し出や,ご寄付をご縁にマインドファーストへの入会をいただくなど,このたびの募金活動は,私共にとって大いに

勇気づけられる経験になりました。

いただきました貴重なご寄付は,相談・訪問活動,研修会や予防啓発活動,心病んだ人達が共に支えあい回復をはかるための居場所活動,メンタルヘルスのための人材育成,権利擁護活動などに使わせていただきます。

2019年も,こうした形での募金活動を計画しておりますので,引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。


2017年度メンタルヘルス促進のための

居場所づくり事業へのご協力のお礼とご報告


「2017年度メンタルヘルス促進のための居場所づくり事業」は,平成29年度共同募金会広域福祉活動支援事業の助成を得て,下記のとおり完了しました。

助成事業の実施状況及び事業実施により得られた成果・効果は以下の通りです。

  • ・病気の回復や再発防止

    活動を継続的に行っていくため,それぞれ体調をコントロールしながらの参加だった。お互いの体調を気遣い合うことによって,再発防止,ひいては回復へと進んでいけると感じた。

    定期的に知った仲間の顔を見ての活動は,また頑張ろうと次につなぐ元気が出る場になった。

  • ・自尊感情の回復

    カフェ開催や率直に仲間と話すなど,一つ一つの行為が成功体験となった。

    自分の役割を果たすことで自信が生まれ,また人の役に立つという感覚を得られた。

  • ・社会参加の促進

    なかなか居場所のないユーザーにとって,居場所開催や企画運営委員に参加することで,充実した時間を持てた。各個人の社会参加への意欲が進み,本事業への展望に希望が持てるようになった。←




→以下は,共同募金会へ提出した「ありがとうメッセージ」からの抜粋です。

【貴重な「配分金」ありがとうございました。皆々様の温かいご支援により,メンタルヘルスユーザーの居場所を無事,開催する事が出来ました。参加者は,まだ少数ではありますが,居場所を通して社会で孤立した方の心の繋がりの支援作りが出来つつあります。今後は,更に活動内容を広げ,「生きがい」「仲間作り」「就労支援」「健康増進」などの多様な問題の解決ができる場所作りを目指して行きたいと思っております。】

【この度は,弊法人に貴重な寄付を配分して下さり,どうもありがとうございます。おかげさまで,広域福祉助成金を頂き2年目になりますが,当初予定していたカフェ開催をスタートすることができました。さっそく,助成金で購入したコーヒー用具を使い,関係者にコーヒーを提供しました。大変喜んで頂き,好評を得ています。来年度も広域助成を活用して,一同,がんばってまいります。本当にどうもありがとうございました。】


精神医療国家賠償請求訴訟


日本は欧米諸国と比べ,精神科のベッド数が多く入院期間が極端に長くなっています。地域で患者を支援し,退院後の生活を支える体制整備が遅れていることが背景にあります。

日本の精神医療は入院医療に大きく依存しており,医療費のほとんどが私立精神科病院で使われています。入院偏重の医療については,たびたびWHO,ODA,ICJ(国際法律家委員会)など,国際機関から勧告や提言が出されてきました。

1968年(昭和43年)WHOのクラーク勧告では日本の閉鎖的,収容的な精神医療が指摘されましたが,この勧告を日本政府は受け入れませんでした。2004年「入院医療中心から地域生活中心へ」という改革ビジョンが出されましたが,この間に精神病床は35万床まで増加しています。

劣悪な病院環境の中で,1984年3月,栃木県の精神科病院における患者リンチ殺害事件がおきました。「宇都宮病院事件」です。

看護職員らによる患者への暴行,無資格者の医療行為や不必要な入院などが明らかになり,事件は連日報道されました。国連人権小委員会において日本政府は非難され,国際的人権問題へと発展しました。

1998年7月31日,熊本地方裁判所に提訴されたハンセン病国家賠償請求訴訟は,2001年5月11日に原告全面勝訴の判決が下されました。判決内容は,(1)医療より隔離,収容に重点が置かれ,療養環境は低劣だった(2)薬物療法の確立後も「不治の病」との誤信が残り,収容中心主義を批判する国際的意見を無視した,というものです。国は控訴しない決定をして,国の隔離政策を違憲とする判決が確定しております。

歴史的勝訴となったハンセン病国賠訴訟を参考にして,国の隔離,収容政策によって精神障害者への差別,偏見が広がったとして,国の不作為責任を司法の場で問う準備が進んでいます。2013 年1月,精神医療国家賠償請求訴訟研究会が結成されました。精神医療を抜本的に改革する方向転換をめざし,精神医療並びに福祉従事者,弁護士,ジャーナリスト,大学研究者,当事者,家族で,毎月研究会を持っています。現在,裁判のための法理論構成と歴史の検証に重点を置いて研究活動をしています。

http://www.seishin-kokubai.net/

編集後記:テレビ朝日の女性記者が,財務省の財務事務次官に対する取材の過程でハラスメントを受けました。上司に報告しましたが,適切な対応がなかったために,録音した声を週刊誌に持ち込み取材を受けて発覚しました。これに対して,4月17日,麻生財務大臣は「被害にあった女性が名乗り出ない限りセクハラの事実の認定はできない」「セクハラ罪という罪はない」と強弁し,当の事務次官は「言葉遊び」の範囲だと釈明しています。当人をはじめ財務省関係者のセクハラに対する認識の低さには驚くばかりです。「セクハラ(セクシャルハラスメント)」という片仮名英語の響きが,セクハラと言う行為の犯罪性への認識を薄めてしまっている感も否めません。セクハラは,日本語では「性的嫌がらせ行為」です。潜在意識としては「強姦」「強制わいせつ行為」につながりかねない未遂性をはらんだ行為とも言えます。セクハラを受ける側は,「性的嫌がらせ行為」への嫌悪感に加え,現実に行為化されるのではないかという脅威を覚えると言う点で,セクハラは明らかに犯罪行為だと言えます。今回の場合,女性記者は,何度も「そういうのやめてください」と言っているにもかかわらず,取材情報の提供と引き換えに,執拗に体を求めるという,公務員が職務に関して賄賂を請求する収賄罪未遂に当たる行為ともみなされます。(H.)