チャレンジする若者の声に

大人は耳を傾けているか

ニューヨークで9月23日に開催された国連気候変動サミットを前に,「気候ストライキ」が9月20日,世界各地で行われ,約160カ国,5800か所で,計400万人以上が参加,高校生らが地球温暖化気候変動対策デモを行なった。

ストライキは,スウェーデンの16歳の少女グレタ・トゥンベリさんが母国で始めた運動をきっかけに世界に拡大。欧州では,ドイツをはじめ,英国,フランス,東欧諸国などでも大規模なデモが行われた。日本でも渋谷をはじめ,全国20か所で集会が開かれた。

ベルリンのデモには主催者発表で27万人が参加し,ブランデンブルク門を起点に中心部を行進した。参加者は「今すぐ行動を」「地球の代わりはない」などと書かれた手作りのプラカードなどを手に温暖化対策の強化や再生可能エネルギーの利用を訴えた。

ニューヨーク市の教育局は,保護者の同意を条件に公立学校の児童,生徒100万人以上に学校を休んで温暖化対策を訴えるデモに参加することを許可する異例の対応を行なった。マンハッタンでは,25万人の高校生がデモに参加した。

香港では,逃亡犯条例改正案問題を発端に大規模な抗議運動が発生,6月16日のデモは,およそ若者など200万人が参加。発生から4か月以上経った現在も収束の気配を見せない。

わが国では,2015年夏,安保関連法などに抗議して,学生グループ「自由と民主主義のための学生緊急行動」(SEALDs)などが呼びかけたデモに多くの人が集まり,国会正面の道路を埋め尽くした。

文部科学省が2020年度から導入しようとしていた大学入試共通テストの英語民間検定試験は,11月1日,延期に追い込まれたが,これに先立ち,困難な状況を抱えた高校生たちがインターネット上などで中止を訴え,現役の高校生が文部科学省の前に結集し,「大学入試を企業に売るな」「生徒の声を聴け」と反発の声を上げた。

日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念に則り子ども・若者育成支援推進法が2009年制定され,この10年,地域で子ども・若者支援事業が進められてきた。

推進法の目的には,子ども・若者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ,子ども・若者の健やかな育成,子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援その他の取組と,国及び地方公共団体の責務並びに施策の基本となる事項を定め,総合的な子ども・若者育成支援のための施策を推進することとされている。

国は,耳触りの良い政策を掲げるのが常とは言え,若者が自分たちの未来をつくり出そうとする力を引き出せているか疑問である。自分たちの未来は,自分たちの力で良くしていきたいと言う若者の意思が,行動の変化として現れるときに,大人たちは,子どもの力を信じ,未来に期待が持てると言うものだろう。

7月の参議院選挙の投票率が50%を切る中で,とりわけ18歳,19歳の投票率の低さが際立っている。わが国の若者の投票率の低さは,大人の投票率の低さの反映でもあろう。大人たちは,若者が自分たちの力で,社会のあり方を変えることができるという当事者意識を持つことを妨げるようなことはしていないだろうか。

子どもが,デモに行くと言い出したら,そんなヒマがあるなら勉強して1点でも良い点を取れとか,就職に響くとなどと言う,学校関係者をはじめ,家族や地域←


→の大人たちがいないとは言えないだろう。若者が,自分の力で自分の未来をでつくり出そうとするチャレンジに,大人たちの理解と協力は欠かせない。不登校や引きこもりなど,社会参加に困難を抱えた子どもや若者たちのへの支援のあり方も,主権者意識と深く関わりのある課題であろう。

(マインドファースト通信編集長 花岡正憲)


活動報告

世界メンタルヘルスデー

街頭キャンペーン

世界メンタルヘルスデー(世界精神保健デー,World Mental Health Day)とは,メンタルヘルス問題に関する世間の意識や関心を高め,偏見を無くし,正しい知識を普及するために定められた国際デー(記念日)のことです。

「こころの健康」は誰のもの?10月10日は世界メンタルヘルスデーです。

10月6日(日)午前10時から高松駅頭からサンポート横断歩道にいたる間で,2019年世界メンタルヘルスデー街頭キャンペーンを行ないました。マインドファーストが行う世界メンタルヘルスデイ街頭キャンペーンは,今年で3年目です。シルバーリボンとチラシのセット175組を配布,島津,森本,花岡が参加しました。当日は,サンポート広場でイベントが開催され,普段に比べ往来者が多かったこともあり,当初予定された時間よりも早くキャンペーンセットの配布を完了し,午前11時に活動を終えました。


意見交換会

10月13日(日)16時~17時,6名の方がオフィス本町に来られ,意見交換会を持ちました。今回の意見交換の目的は,香川県内のひきこもりの支援に取り組んでいる人たちが,マインドファーストの活動拠点を中心にして,どのような活動を行なっているか知りたいというものでした。当法人からは,島津,柾,花岡の3名が対応しました。

当法人の成り立ちや目指しているところをはじめ,相談支援事業とそのた事業に携わる人材の育成支援(ファミリーカウンセラー養成講座やスーパービジョン,コンサルテーション体制)について説明を行ないました。ひとつひとつの事業が単独で行われているのでなく,すべての事業が関連をもって行われていることをご理解いただけたと思います。

また,hito.tocoで行われているグループについてのお話しもうかがえました。(報告者 島津昌代)


リトリートたくま交流会

10月19日,引きこもりサポーターの方たちのリトリートたくまへの見学があり,15時から約2時間,情報交換などを行ないました。

参加者は,三豊市健康福祉部福祉課課長補佐,同副主任(保健師),県障害福祉課担当職員,NPO法人ペアレントメンターのメンバーの方たちです。マインドファーストからは,責任者の草薙,スタッフの石橋,事務局担当の柾が対応,そして広報担当の花岡が同席しました。

地元三豊市がひきこもり対策を検討していることが分かりました。また,県においては養成した引きこもりサポーターの人材活用について検討を行なっているとのことです。行政と民間がうまくつながって大きな力を生み出すことができないものかと感じました。(報告者 柾 美幸)

第187回理事会報告

日 時:2019年10月7日(月)19時00分~21時00分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 ユーザーの「居場所づくり事業」に関すること:10月は,諸事業との関連で「REPOS」は開催されなかったが,11月からは,従来通り第1並びに第2日曜日に開催することで了承された。

第2号議案 「リトリートたくま」に関すること:参加者の定義について議論が行われた。対象は,香川県健康福祉部子ども政策推進局子ども政策課の2019年度子ども・若者孤立化防止支援事業が示している「児童虐待,いじめ,不登校,高等学校中途退学,非行,ひきこもり,若年無職,貧困など,社会生活を円滑に営む上での困難を抱える子ども・若者」とし,こうした子ども・若者が「気軽に集うことができる居場所づくりを促進し,このような子ども・若者の社会の中での孤立化を防止することを目的とする」ことを確認した。また,スタッフのシフトや欠勤等への対応については,一般の労務管理の考え方を基本とすることで了承された。

第3号議案 理事・ファミリーカウンセラー・ピアサポーター合同会議に関すること:10月13日(日)13:30~15:30,丸亀町レッツカルチャールームにおいて,新規ファミリーカウンセラーとして認定され登録を受けたものを含めて実施される標記会議の進行と狙いについて議論が行われた。当日は,自己紹介,事業計画の説明,ファミリーカウンセラー関連相談事業の解説,現任者研修に関する基本的考え方の説明を行うこと,並びに新規ファミリーカウンセラーに定例ファミリーカウンセラー会議への参加を促すことを狙いとすることで了承された。

第4号議案 傾聴・相談力セミナーのブロシュールに関すること:納品されたブロシュールの配布先と配布方法について議論が行われた。担当理事の吉田が,配布先企業等のリストを作成することで了承された。あわせて,企業研修の受諾手順や費用負担等について意見交換が行われた。

第5号議案 認定NPO法人更新申請に関すること:2020年4月22日を期限とする認定NPO更新申請手続きのために,申請書類(案)について島津理事長から説明が行われた。提示された案に問題はなく,修正・補正などを含め,まず所轄庁への提出作業を行なうことで了承された。また,今後,随時岡山市の清水税理士事務所のコンサルテーションを受けることで了承された。

第6号議案 2019年度自殺対策実施事業に関すること:理事長から案が示され,説明が行われた。前年度と大きな変更点がない実施案で申請することで了承された。

編集後記:5月11日,北方四島へのビザなし交流の訪問団に参加していた35歳の国会議員が国後島を訪問中,「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか?反対ですか?」「戦争しないとどうしようもなくないですか?」などと発言しました。“戦争発言”以外にも「女を買いたい」などの発言を連発し,さらに酔っぱらって大立ち回りを演じた一件が大きなニュースになりました。こういう若者が,社会を動かし,国の将来を変えるポジションに就くことは御免こうむりたいですが,この若者は35歳になるまで,どのような大人との接点があったのか,大いに気になるところです。(H.)