マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファースト事務局:
〒760-0032 香川県高松市本町9-3白井ビル403
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三木町職員研修
マインドファースト認定ファミリーカウンセラー
森本雅榮 杉山洋子
2019年11月29日(金) 14時から15時30分,三木町防災センター研修室において,保健福祉課主催による自殺予防についての職員研修会が行われました。メインテーマは「自殺予防-私たちにできること-」とし,マインドファーストからファミリーカウンセラー杉山と森本が派遣されました。出席者は,保健師,社会福祉士,管理栄養士,保育士等15名でした。
三木町は地元の中・高生に向けて自殺予防の啓発活動をしてきたが専門職員自身が自殺をどう思っているかを話し合う機会はなかったとのことで,今回は職員自身が自殺についてどのような認識を持っているかを自覚することから始めることにしました。マインドファースト・ファクトシート「あなたは信じていませんか?自殺に関する神話10の間違い」(当法人のHPに掲載)を使い,前半は講義とし後半はグループワークを行いました。
「自殺に関する神話 10の間違い」の神話一つひとつをゆっくりと読み上げ,具体的な例を挙げたり内容を補足したりしながら解説を行いました。最後に講師は以下のように纏めました。
自殺したいほど落ち込む気持ちは短期間の特別な出来事で起きるものではなく複雑な長い経過の中で生じてくる。この状態を丁寧に辿って聴くことで自殺以外の解決策もあると思い至って貰らえることが死と生の狭間でさまよっている人への支援であろう。
後半はワールドカフェ方式で「現在の自殺について何が問題だと思いますか」「問題の解決のためにどのような対応が必要ですか」「あなた自身はなにができそうですか」をテーマにグループワークを行いました。そのなかでSNSが話題となり,子ども達を危険から守るためにSNSに頼らずSOSを出す練習を家庭ですることが大切であるが,子育て中の親は困ったことを直接伝えに来ずネットで調べることが多いなどと,時代の変化への戸惑いが語られました。また,お金がないと相談されても困る,電話対応では十分に話が聞けない,相談内容をどこまで秘密にするかなどの質問がありました。
一つのグループでは,管理栄養士から家庭の食事風景の話題が出ました。これがきっかけとなり,自殺は,個人の心の問題であるという捉え方に偏ることなく,家族という視点,人々の行動や暮らしかたという視点が加わり,議論の幅が広がりました。講師から,保健福祉領域の専門家に限定せず,税務,教育,労働という多領域の連携と,住民参加による率直な対話が,地域社会での自殺予防の礎になるのではないかと感想を伝えました。
次々と発言される質問や意見から,自殺予防という課題に向き合おうとする参加者の積極的な姿勢を感じるとともに,自殺をタブー視する傾向は少しずつではあるが薄まりつつある印象を持ちました。こうした対話の時間を継続していくことで神話は少しずつ崩れていくのではないか,時間を要するかもしれないけれども。そうした確かな手ごたえを感じた研修会でした。
令和元年度子供・若者育成支援のための地域連携推進事業中央研修大会
認定NPO法人マインドファースト理事 吉田 修
2019年(令和元年)11月25日~26日,国立オリンピック記念青少年総合センターにて,当該大会に参加しましたので,ご報告いたします。
自殺は,若者の死因第一位であり,同時に自己肯定感,自己充足感・自己有用感がOECDの中で最も低いという調査結果が報告された。これにより,若者を取り囲む状況は悪化しており,これが引きこもりという現象を結成させているのではないかという問題提起があり,これの対策が必要であって基本法の制定の理念の説明があった。
このためには縦横のネットワークの拡充が必要とのこと。
(2)中央研修大会シンポジウム~引きこもり調査結果から読み解くもの~①②については,大規模調査によって統計上表れた引きこもりについて報告があり,これは15~64歳までの労働生産年齢において等しく見られるものであって,今回の調査ではこのことが明らかになった。また,中高年の引きこもりがマスコミで問題として取り上げられたこともあり,このため,若者のみではなく日本の全般的な引きこもり状況に話題は終始した。
ところで引きこもりの内容は大変バリエーションに富んでおり,ビデオゲームばかりやって部屋から一歩も出ないというわけではなく,統計的には社会的な引きこもりのイメージと実情は違うという報告があり,では,引きこもりの実情を反映させた定義は何なのかという問題が提起された。
ところで,引きこもりは日本をはじめ東南アジアに特有の現象で,欧米ではホームレスになるという。日本は若者世代でホームレスの数がOECDの中で最も少ない。これに対して,日本は自殺が優位に多く,欧米では他殺が多い。
単に時系列でもって引きこもりが多い少ないというだけをもって国内の若者を取り囲む状況の変化を語ることはできても,欧米とのデータ比較をもって日本の若者を分析することは難しい。
そこで③において,内閣府が行った統計調査そのものの見直しが提起された。
例えば,引きこもりの統計調査では,引きこもりとそれ以外と区分けされているが,「それ以外」の人たちが何をどう感じ,どう行動しているのかという調査を行い,比較対象をすることが求められるとのこと。
また,そもそも引きこもりという現象がどうして発生するのかについてなど,まだ研究が始まったばかりなので,データとして客観的に示されてはいない。
SNSは若者に極めて特異に浸透しており,電話・メールを若者はほとんど使っていないため,これらは若者相談のツールとしてはほぼ機能しないという結果が報告された。
例えば,電話による相談とLINEによる相談では,約26倍の差があり,電話で悩みごとを話すということを今の若者は極端にしない。
具体的には『全国SNSカウンセリング協議会』がSNSカウンセラーを養成しており,この事例が報告された。
(4)「地域における困難を有する若者への生活支援」割愛。
総括日本の若者の問題は,不良化して極端な暴力に走るわけでもなく,殺人や事件に巻き込んだり巻き込まれたりするわけでもなく,ホームレスになるわけでもない。
マイルドヤンキー現象のように,不良的な気質を持っている人たちを吸収する夏祭りのよさこいなどがかなり機能しているという説もある。しかし,だからといって暴走族からマイルドヤンキーへという流れの中で,同調圧力に巻き込まれることを拒否し,自ら社会とのかかわり方を選択している若者の姿が見えたような気がする。以上
*第188回理事会報告は,次号以降に掲載いたします。
編集後記:ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)とは,社会的に弱い立場にある人々も市民の一人として,排除や孤立から守り,地域社会の一員として取り込み支え合うことです。私たちの社会は,それぞれの事情の中にいる人々で成り立っていることを考えれば,これが当たり前の社会です。首相主催の「桜を見る会」の招待者名簿を野党議員が資料要求した直後に内閣府が廃棄した問題で,12月2日,安倍晋三首相は,参院本会議で,シュレッダーで名簿を廃棄したのが「障害者雇用職員」だったと述べ,4月の「桜を見る会」終了後,すぐに廃棄できなかった理由として,担当職員が「短時間勤務」だったことを挙げました。そもそも公文書に当たる名簿を保存期間1年未満で廃棄することは大きな問題ですが,すぐに廃棄したいのなら,正規職員が行うなど,他にも方法はあったはずです。短時間勤務の障害者だから,シュレッダー作業が遅滞したと言いたいのでしょうか。さらに問題なのは,障害者雇用の短時間勤務職員だったことを明かしてしまうと,この職員が特定されかねないと言うことです。一方,「桜名簿」について「個人情報であるから早期消去が当然」と説明しますが,これは全く納得できません。「桜を見る会」は,功績,功労があった人を招待する会です。名前はもとより,どのような功績,功労があったか,国民への説明責任があります。守るべき個人情報は,桜名簿のシュレッダー作業に従事していたのが,障害者雇用の短時間勤務職員であったことの方でしょう。本来開示すべき個人情報を隠し,開示すべきでない個人情報を開示する。障害者雇用を政権維持に利用していると見られても致し方がないでしょう。障害者の差別や孤立は,障害者を語る政治家や権力者の言説の影響を受けやすいことも申し添えておきます。(H.)