活動報告 技術援助

三木町専門職員研修会


マインドファースト理事 森本雅榮

2020年11月27日(金)14:00から16:00,三木町防災センター研修室において,保健福祉課主催による自殺予防についての専門職員研修会が行われました。出席者は庁舎内の精神保健相談担当者17名でした。マインドファーストから講師として森本が派遣されました。同町での本研修会は2回目です。

昨年はファクトシート「自殺に関する神話10の間違い」を使い,講義とグループワークを行い自殺予防への認識を高めました。

今年はコロナ禍の中での研修となり,全員がマスクを着用し,出入口全開で少々緊張気味の開催となりました。今回は1年ぶりということと新規職員2名の参加があることもあり,前半はファクトシート「神話10の間違い」について講義し,復習をしました。後半は「傾聴」を中心に演習を行いました。

前半は復習でしたので,参加者はほとんどメモを取ることもなく肯いて落ち着いて聞いていただけていたように思いました。後半は演習の前に,先ず「聴く側の姿勢」をロジャーズの3条件「自己一致」「無条件の肯定的配慮」「共感的理解」を提示し,解説しました。次に演習に入りましたが,演習は3人1組でカウンセラー役,クライエント役,観察者を全員が役割交代してロールプレイを行いました。各グループは福祉課に用意していただいた架空事例3例の中から好きな事例を1例選び,その事例を使ってロールプレイを行いました。ロールプレイはできるだけ普段通りに行い,その後に各グループで感想と気づきを話し合い,さらに全体で発表してもらいました。全体での発表の時には,非言語的コミュニケーションが多く語られ,前屈みが良かった,声のトーンや表情がクライエントに合って

いた等と具体的な話が語られていました。最後に,カウンセリングの基本的技法である5つの技法(受容,支持,繰り返し,明確化,質問)に関して,前半の講義と結び付けて解説しました。黙って聴くことやうなずき,相づちを打つことは受容になること,カウンセリング中によく使う「そうなんですね」は支持にあたり,承認の一種でもあること,言葉の繰り返しや内容の繰り返しは,話していることや気づかないことを明らかにすることにもなること等を伝えました。質問に関しては,「閉じた質問」や「開かれた質問」があることを説明し,5W1Hの中の特にHが有効であることを強調しました。「どんなことがあったのですか」「具体的にどのようなことか教えてくれませんか」「どんなふうに思っているのですか」等はカウンセリング中よく使われる技法であると語りました。

質疑応答では,参加者共通の悩みとして,話を聴いていると動揺することがあるとの話が出ました。そこで最後に聴く側の心の健康にも少し触れました。

「傾聴」の技法は,日々使うことで磨かれることから家庭や職場で使うことを勧め,家庭や職場でのいい人間関係を築いてくださいと結びました。コロナ禍での苦しさもあったためか関心をもって聴いていただけたように思われました。

こころの健康出前講座

12月1日,香川県立観音寺総合高等学校で開催のこころの健康づくり出前に花岡を派遣しました。今回は,一事例について,関わりのある教員から報告があり,20数名の出席者の間で意見交換が行われました。1時間と言う限られた時間でしたが,不登校,ゲームへの耽溺,親子の対立など,表に現れた態度行動にとらわれることなく,その背後にある当人のストレスや家族関係に目を向けることの大切さを確認できた研修になりました。(文責:花岡)←


→ゲートキーパー研修講座

12月10日,香川県消防学校初級幹部科のゲートキーパー研修に島津と花岡を派遣しました。受講者は22名で,香川県精神保健福祉センターの自殺の概要についての説明の後,講義では,自殺の防御因子,自殺神話,リスクを抱えた人への対処法,自殺既遂並びに未遂者への対応などについての解説,後半の演習では救急場面で遭遇しうる仮想事例を提示し,グループでのディスカッションを行いました。(文責:花岡)

第200回理事会報告

日 時:2020年11月9日(月)19時00分~21時00分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403

事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 ユーザーの「居場所づくり事業」に関すること:①ユーザーの居場所REPOS:11月1日(日),オフィス本町にて開催され,2名の参加があった。2人とも就職が決まった。1人は,今日が会社に初出勤でこれから1週間が試用期間である,80%の力でやってみる,次回(11/15))に報告するとメールがきた。昨日11月8日(日)ぴあワークスで久しぶりに会った女性参加者にREPOSへの参加を呼びかけた,と理事山奥より報告があった。また冬場に備えてオフィス本町の部屋の暖房について,以前提案されていたホットカーペットの利用についてはハウスダストアレルギーの人がいるので無理であること,快適な過ごし方を工夫するために参加者の要望を聞くこと,暖房に関しての費用はテーマ募金の助成金を当てることで承認された。②リトリートたくま:中断していたブロシュール作成に関しては,原稿を作成して印刷のみ発注するか業者に全て任すかでは費用が大きく変わる。予算としては3万円を当てているが全てを任すとなると足りないだろうと理事柾より報告があった。助成金の使い方を考えて,今後誰にどのような形で頼むかを検討することで承認された。

第2号議案 令和2年度テーマ募金に関すること:①「ふるさとサポート募金」テーマ募金紹介申し込みについて:写真は今年度版に替え内容は昨年度と同じとする。写真に関しては理事花岡がメンタルヘルスデイ参加者の写真を使用することで承認された。②テーマ募金のチラシ発送について:12月27日午前10:00よりチラシ発送準備作業をするにあたり,会員に協力を呼びかける。それまでに発送リスト,かがみ文,封筒などを用意することで承認された。

第3号議案 香川県NPO法人基金登録団体のPR原稿に関すること:理事花岡が昨年度作成した原稿を提出することで承認された。

第4号議案 令和3年度地域自殺対策強化事業関すること:①ファクトシートの増刷:自殺予防1,自殺予防2の微修正(自殺予防1,2裏面文末2011年を2020年,自殺対策緊急強化を自殺対策強化,httpをhttps,自殺予防1の裏面「×してはいけないこと・・・」のフォントを上げる等)増刷することで承認された。②ブロシュールと啓発カードの発送:現在ブロシュールの残部数が,Folks21/2500,おどりば/1200+旧タイプ(要訂正)多数,サバイビング/2200,HOPE/2600となっている。訂正する必要のある残部ブロシュールは次回11月30日のファミリーカウンセラー会議の時,持ち帰って訂正を呼びかけ,1月下旬に発送することで承認された。

第5号議案 認定NPO法人についての理事学習会に関すること:理事学習会の講師について依頼しているが,先方からの回答がまだないため理事長島津が今月中に問い合わすことで承認された。

第6号議案 12月のファミリーカウンセラー会議日に関すること:12月のファミリーカウンセラー会議は第4月曜

日が12月28日で仕事納めであるため,1週繰り上げてはどうかという案が出る。次回ファミリーカウンセラー会議で諮ることで承認された。

第201回理事会報告

日 時:2020年12月7日(月)19時00分~20時30分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403

事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 ユーザーの「居場所づくり事業」に関すること:①「REPOS」に新たなスタッフが1名任命されたことの報告があった。②柾理事から「リトリートたくま」のブロシュール案の製作についての報告を確認した。

第2号議案 高松市自殺対策推進会議の書面会議に関すること:標記事務局から参加団体の事業並びに意見に関する集約資料が届き,理事長島津から報告があった。他団体への質問等を求められているが,当理事会としては,高松市健康福祉局に自殺対策推進室の設置の意義を確認し,特に他団体への照会事項はないものと判断し了承された。

第3号議案 令和2年度テーマ募金に関すること:12月27日の標記チラシ等発送作業に向けて,準備作業の進捗状況の報告が島津から行われ,役割分担の確認を行った。

第4号議案 令和2年度地域自殺対策強化事業に関すること:ファクトシートの一部改訂増刷の見積もりの確認並びに業者との価格交渉の余地について協議が行われた。また,ブロシュール及び啓発カードの残部数(Folks21/2500,おどりば/1200+旧タイプ(要訂正)多数,サバイビング/2200,HOPE/2600)の報告があり,来年1月中旬から2月にかけて関係機関への発送を行うことで了承された。

第5号議案 グリーフワークかがわからの講師依頼に関すること:1月31日と2月21日に高松市男女共同参画センターにおいて,NPO法人グリーフワークかがわが開催する公開セミナーへの講師派遣依頼があり,1月31日開催のテーマ「正しい情報で安心した生活を取り戻す-コロナ禍における様々な喪失-」へ島津を派遣することで了承された。

第6号議案 認定NPOに関する学習会に関すること:標記学習会の講師について,日程の再調整を依頼しているが,学習会の時間は当初先方から提示された1時間ではなく,質疑意見交換等を含めて2時間で要請することで了承された。

第7号議案 ピア書籍の検索エンジンの設定に関すること: AIYAシステムから提案のあった標記検索エンジンの設定は,アフィリエイト(成果報酬)を高めるため,登録数を増やす方向で設定を依頼することで了承された。


編集後記:今年は,COVID-19の感染が拡大する中,年の瀬を迎えようとしています。経済を回して行くためとは言え,Go Toキャンペーンなどと言った人の動きを煽るような政策が,感染拡大防止と両立するはずがないことは明らかです。インバウンドの回復,東京五輪の開催を夢見る政治家のファンタジーにつき合わされる国民は不幸です。世界で最も幸福な国はフィンランド,以下デンマーク,ノルウェー,アイスランド,オランダとなっています。ちなみに日本は,2018年から順位を4つ落として58位。2019年現在,ニュージーランドの幸福度レベルは世界第8位ですが,そのニュージーランドが,それぞれの省庁が「国民の幸福とは何か」を問いかけながら行政を進められるように,労働党連立政権は予算で重視する項目を見直しました。新型コロナ対策を主導し,感染第2波を封じ込めたと宣言したジャシンダ・アーダーン首相が中心となって,世界初の「幸福予算」を国家予算に組み込むことを発表しました。限られた予算を国民の幸福を高めるために使うというものです。中でも,心の病,子どもの貧困,家庭内暴力(DV)の三つの問題に多額の予算を当てる予定です。この案は,長年幸福について追求した研究を参考にしたものです。いかに経済成長を促進し,どのように予算投入の効果測定を行うのかという課題はありますが,国民にとって幸福とは何かを考えながら政治を行う方向性は間違っていないと思います。(H)