マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
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マインドファースト事務局:
〒760-0032 香川県高松市本町9-3白井ビル403
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陋規なき時代
陋規(ろうき)の「陋」を辞書で調べると「せまい」「いやしい」という意味で,陋規とは,裏の道徳とも言われる。人を殺してはいけない。喧嘩や盗みや嘘はいけない。そんな当たり前の道徳のことである。
これに対して,清規とは国や地方自治体が発令する表向きの法律や規則のこととされる。明文化された清規が大切であることは言うまでもないが,私たちの社会は,それだけで成り立っているわけではない。陋規が忘れられると清規も成り立たない危険な社会になりかねない。
もともと陋規とは,清代の中国において,役人の間で行われていた非公式な収入のことである。公務にたずさわる者が職務を行うさいに,法律で定められた給与以外に獲得する収入のことである。役人は俸給が少額であったことから,いろいろな名目で人民から手数科を取っていた。これが陋規と称されていた。
役人たちは徴収した税を自分の生活費や上級の官吏への贈与などに充て,大きな弊害をもたらしていた。今日では贈収賄や横領に問われることであるが,当時は持ちつ持たれつの裏社会の掟でもあった。
私たちの社会では,騙されやすい人に高額な壺を売りつけたり,高齢者にリスクが高い金融商品をすすめたりしない。金持ちには金を与えるようなことはせず,むしろ金を出してもらう。貧者に金を与えることがあっても,金はとらない。国民生活が厳しくなると,政治家は清貧に努める。こうした暗黙の掟でもある陋規があることによって
社会の秩序が保たれる。
コロナ禍で行われるGo To キャンペーンは,政府が旅行や外食の割引券を発行し,アッパーミドルクラス(上級中産階級)の散財に協力するということだ。そうした政治に乗せられた人々が,広く国民から集めた税金で飲み食いや旅行をする。
これは,コロナ禍の社会で,薄汚い空気感を醸し出している一面だ。私たちの社会がこんなに薄汚い社会になったのは今に始まったことではない。自分の出身自治体へのふるさと納税は,いつの間にか返礼品目当ての地方自治体への寄付になってしまった。これはゆとりある社会階層への税金による反対給付だ。共助社会の秩序を保つ陋規が損なわれてしまう。納めた税金の一部を対価として個人還元するのは,税法上の違法性も否定できない。
「清規」が明文化されたルールである一方,「陋規」は明文化されてはいないが社会的に守るべきものである。「陋規」は「清規」を下支えするものであるから,これが損なわれたのでは,その上にある法律が守られなくなるのは当然であろう。
NPOが公的助成金を受けて事業を行うさいに,部外者への報酬の支払いは可能だが,法人メンバーが報酬を受け取ることは認められない。ボランティアが行う情報収集や資料作成に伴う必要経費,日常的な研鑽や労力は評価せず,手弁当を強いられる。内閣府肝いりの引きこもり対策も無償のボランティア頼みだ。財政力が乏しいNPOやボランティア団体に,先駆的で公益性が高い事業を国が安く請け負わせる。ここにも陋規なき社会が顔を覗かせる。
菅首相は昨年末,国民にCOVID-19感染防止のために4人以上の会食を慎むように求めながら,自ら二階自民党幹事長ら国会議員7人で忘年会に出席した。意見交換や情報収集を口実にするが,本来は「隗より始めよ」だろう。
黒川検事長が賭けマージャンをしていたことは記憶に新しい。賭け金のレートが低かったから問題ないという見解だが,何よりも法を司る者が行ってはならないことだ。
安倍晋三前首相は,「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題で,国会で118回も嘘をついてお咎めなしだった。昨年12月26日,報道番組に出演した菅義偉首相は,日本学術会議の任命除外の問題について,司会者の「説明を求める国民の声もあるように思う」との発言に,「説明できることとできないことがある」と語気を強めた。
国民に対して嘘はつかず,言葉を尽くして説明を行う。言葉は政治家にとって命のはずである。
新型コロナウイルス特別措置法に関連した感染症法改正案では保健所の調査を拒否したり嘘をついたりすると50万円以下の罰金が科せられる。
行動履歴を語ると不利益を被ると思うと「記憶にない」と嘘をついたり「説明できることとできないことがある」と答えたりする国民が出てきても不思議ではない。陋規なき政治家が,国民に清規を押しつけても守られるはずがなかろう。信なくば立たずとはこう言うことだ。
自殺や引きこもりの背景には,陋規が破壊されたこの国への絶望がある。丑年が角を矯めて牛を殺す年にならないことを願うばかりである。
(マインドファースト通信編集長 花岡正憲)
第202回理事会報告
日 時:2021年1月18日(月)19時00分~20時30分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 会計に関すること:百十四銀行とゆうちょ銀行の通帳の内容に関して説明があり,当法人の財務状況はかなり逼迫していると理事長島津より報告があった。今後理事会において毎回理事長が報告することで承認された。
第2号議案 自殺対策支援情報等データに関すること:厚生労働省からの問い合わせが県を通してあった。今まで通り4つの事業を継続していると報告することで承認された。
第3号議案 サンポート高松イベントの募集に関すること:当法人は応募しないことで承認された。
第4号議案 ユーザーの「居場所づくり事業」に関すること:理事山奥の報告を理事長島津が読み上げた。1月10日,「REPOS」は新たに任命されたスタッフ植松氏を加え,参加者3名で開催した。今後の開催に関しては,厚生労働省や香川県のコロナ対策情報を参考にする。中止の時はその根拠を明確に提示する必要があることで承認された。
第5号議案 令和2年度テーマ募金の協力依頼に関すること:坂出東ロータリーの例会が毎週水曜日昼,坂出グランドホテルで行われている。その時に募金協力の依頼に理事森本が赴くこと,具体的には理事花岡より打ち合わせの連絡があることで承認された。
第6号議案 2021年度ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースの開催に関すること:6月21日の総会後,7,8,9月の日曜日とし2時間6回を基本に開催する。場所は第1候補レッツ,第2候補サンポート,とする,次回ファミリーカウンセラー会議で諮ることで承認された。
第7号議案 認定ファミリーカウンセラー認定資格更新に関すること:認定ファミリーカウンセラー認定資格更新の要綱の見直しを検討する。具体的には月1回のファミリーカウンセラー会議や年4回の学習会への参加必要回数を決めることで承認された。
第8号議案 令和2年度地域自殺対策強化事業に関すること:12月27日ファクトシートの増刷分が納品された。2月14日10:00よりブロシュール&啓発カードの発送(385か所)の準備をする。次回ファミリーカウンセラー会議で諮ることで承認された。
第9号議案 高松市自殺未遂者ネットワーク会議に関すること:リモート開催に関する打診があった。2月中に開催される見通しであることで承認された。
第10号議案 理事会における表決権に関すること:当法人の定款第37条2「やむを得ない理由のため理事会に出席できない理事は,あらかじめ通知された事項について書面または電子書面をもって表決することができる」と定められていることより,各理事は定款を順守し,欠席者は積極的に意見を出し,書面または電子書面で表決することで承認された。
編集後記:1990年来少子化が続いています。日本の少子化対策が失敗したのは,多少婚期が遅れても,いずれ皆結婚すると見て何もしてこなかったことだと言われています。政府は,2022年4月から不妊治療に公的医療保険を適用することを固めました。しかし,これはこれまでの感覚の延長線で組まれた政策に過ぎません。結婚や出産を控えるのは,生活設計上のリスクを回避している人たちが多いからです。若者にとって,結婚して子どもをつくることがリスクが高い生き方にならない総合的政策が必要です。少子化対策,地球温暖化対策,新型コロナウイルス対策には共通した問題があります。後追い行政では,取り返しがつかない事態を招きかねません。リスク管理に大切なことは,不都合な現実はいずれ去っていくだろうと正常性バイアスに陥ることなく,緊張感をもって最悪を考えることでしょう。(H.)