マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
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パンとサーカス?
~政策科学不在の国,漂流する人々~
街角からアルコール飲料の自動販売機が消えて久しい。今の若者にとって,アルコール飲料は,対面販売で手に入れることが当たり前になっている。かつて日本を訪れた外国人観光客が,アルコール飲料の自販機を奇異な目で眺め,写真を撮ることがあった。諸外国では,アルコール飲料の販売規制が厳しい。化学物質は対面販売を基本にしている。そもそも自販機は,防犯上も問題があり,自販機の乱立は,日本特有の光景である。
1991年,アルコール飲料の自販機に対して内外から批判がある中で,東京で開かれたWHO「アルコール関連問題国際専門家会議」で「酒類自販機禁止勧告」が出される。小売業者の厚労省への圧力が強い中,2000年国税庁は,ようやく酒類自動販売機撤廃を指導。国は人命や国民の健康よりも,長年業界擁護と税収という経済を優先してきた。
国が明確な意思を持って国民を健康被害から守ると言うメッセージが伝わってこないのは,現下のコロナ禍でも同じだ。先のGo Toキャンペーンでは,国のリーダーが「感染拡大とGo Toキャンペーンとの因果関係があると言うエビデンスはない」と安っぽいエビデンス論を振りかざす。感染拡大とGo Toキャンペーンとの因果関係は「ない」と言い切れるエビデンスだってないのだ。
5月6日,感染拡大地域の緊急事態宣言下で,記者会見に応じた首相は,ゴールデンウイーク中の緊急事態宣言の効果について尋ねられ,「人流は減っているから目的は果たせた」と言う趣旨の答弁をした。この期に及んで感染予防の目的とは何か全く分かっていない国のリーダーの発言を国民はどう受けとめただろうか。
科学的にも法的にも根拠がない一斉休校,感染予防効果が低い布マスクの全世帯2枚の配布,そして緊急事態宣言解除の見通しの甘さによる医療崩壊。ワクチン確保に失敗し,接種率が世界的にも大きく立ち遅れている。感染症対策が場当り的恣意的な政権もさることながら,専門家からなる分科会も優柔不断だ。
PCR検査数が伸びない。感染者は療養に専念し,非感染者で社会を回していく。こうした単純な発想さえ伝わってこないのは,目先の経済活動を優先して,感染の事実に向き合いたくないからだろう。
医療が逼迫し,命の選別が行われている中で五輪開催に突き進む。スポーツの祭典五輪だけは,コロナ禍でも別枠だ。五輪開催から逆算して,今は何をしない方が得策かと言う発想が,感染症対策を歪めてしまう。
大阪府知事が「嘘のような本当の話」と前置きして,うがい薬のイソジンがコロナ感染予防に有効だと述べたのは記憶に新しい。嘘のような話は,やはり嘘だった。知事の発言の出どころは,大阪はびきの医療センター次世代創薬創生センター長の手による「ホテル宿泊療養におけるポビドンヨード含嗽の重症化抑制にかかる観察研究について」のA4一枚のペーパーで,研究デザインも,論文の体裁にも,不備が多く,信頼ある自然科学系学術誌掲載のための査読を受けたものではなかった。
かたや大阪市長の方は,感染者急増での医療用防護服(サージカルガウン)が足りない事態に対し,昨年4月,記者会見で代替品としてひろく市民に「雨ガッパ」の供出を呼びかけた。企業や団体などから36万着もの合成樹脂製の雨ガッパが提供があり,市庁舎の玄関ホールに殺到,大多数が使用されず,倉庫に眠っていることが分かった。
うがい薬を求めてドラッグストアに人々が殺到するのも,市民から大量の雨合羽が市庁舎に殺到するのも,
危機状況では,リーダーの言説によって,人々の間に歪曲された空想世界が広がりやすくなっているからだ。
増える失業,自殺者,DVなど,社会的,経済的存立基盤が不安定になった人たちへの政策は不在で,奇策を弄して国民生活に混乱を招く。一発逆転を図ろうとするスタンドプレイは,カルト教祖の姿と重なるところはあっても,本来のリーダー像ではない。
最近行われたある地方の市長選挙では,コロナ禍で市民一人あたり一律10万円を配る公約を掲げた新人が,現職を破って当選した。選挙公約と言えば聞こえが良いが,実質的には票の買収行為と言える。しかも,110億円の原資は,公営ギャンブルの剰余金を当てると言う。落選した現職候補が,向こうを張って20万円を掲げなかったのがせめてもの救いだった。
パンデミックという広域災害の中で,不安や閉塞感に耐えられず大衆が逃げ込む先は,ポピュリズムだということがよく分かる。ひとつ間違うと,個人が国家のために総動員されかねない。全体主義の起源はこうしたところにあるのだろう。
「10万円と五輪」は「パンとサーカス」? 浮かれている時ではなかろう。ナビゲーター不在の航行は漂流し,座礁しかねない。この船から降りたいと思っても,降りるわけにいかない。乗客がナビゲーターを変えることだろう。
「危機に際しては,誰かが何かをしてくれると他人任せではいけない。特に日本人は長期的な脅威を見抜く能力としての『緊張感』という時間に対する感覚を充分自覚してない」。これは,欧州最高の知性とも称されるフランスの思想家・経済学者であるジャック・アタリ氏の言葉である。
危機管理意識は,生活者本位の社会づくりの基本のはずなのだが。
マインドファースト通信 編集長 花岡正憲
第205回理事会報告
日 時:2021年4月12日(月)19時00分~21時15分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 会計に関すること:理事長から,会計の中間報告があり了承された。
第2号議案 ユーザーの「居場所づくり事業」に関すること: 4月11日開催の「REPOS」には,2名の参加者があった。次回の開催日は5月2日に予定している。4月14日,「リトリートたくま」へ若者サポートステーションから訪問があった。また,香川県健康福祉部子ども政策推進局子ども政策課青少年育成グループ担当者から,当法人へ疑義がもたらされている「リトリートたくま」への使用料・賃借料助成要件については,法人の見解の妥当性を申し立てることで了承された。
第3号議案 ぴあワークスの記録係に関すること:マインドファーストの会員であり,かつぴあワークスの運営に前向きな参加者に対して有給で記録係を依頼する提案があったが,マインドファーストの事業の運営に積極的に関われる会員については,何よりも執行部に加わってもらうよう働きかけてはどうかと言う意見があり,了承された。
第4号議案 令和元年度募金(2年度助成事業)テーマ募金の完了報告に関すること:本事業の「ありがとうメッセージ」に,「REPOS」,世界メンタルヘルスデイ街頭キャンペーン並びに「COVID-19と心の健康(WHOからの抜粋)」を掲載することで了承された。
第5号議案 令和3年度教職員向けの研修会(三木町)に関すること:三木町住民健康課の担当者植村保健師から,9月下旬(第一希望9/22) に予定している三木高校全日制・定時制教職員、町内の小学校・中学校教職員の希望者に対する研修会に講師依頼があり,派遣することで了承された。
第6号議案 2021年度ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースの開催に関すること:7月4日,7月11日,7月25日,8月1日,8月8日,8月22日(いずれも日曜日13:00~17:00)開催予定の2021年度ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースについては,4月25日を目途に最終的に講師並びにアシスタント講師を確定するために同日講師会を開催することで了承された。
第7号議案 認定ファミリーカウンセラー認定資格更新に関すること:担当理事から標記更新規則案の資料をもって説明することが予定されていたが,詳細は次回理事会で審議を行うことで了承された。また,認定カウンセラーの身分に関わることであるため,2021年度総会における審議事項とすることで了承された。
第8号議案 2021年度総会に関すること:6月14日,四番丁コミュニティセンターでの開催に向けて,2020年度事業報告書と2021年度事業計画書(案)について,各担当が記載内容を確認すること,また,相談料の料金改定について総会での審議事項とすることで了承された。
編集後記:昔職場の近くに,行きつけの焼き肉店がありました。初老の在日韓国人女性が経営する店では,食事時に飲めるビールは小瓶1本だけでした。客が2本目を注文すると,「うちは焼き肉屋。1本まで。飲みたいのなら飲み屋へ行って」と,さばさばした女将の声が返ってきたものです。店にはいつも煙が立ち込めていましたが,矜持を持った店主の焼肉の味は今も忘れません。飲酒にまつわる海外でのエピソードを二つ。グループ旅行をした時のことです。エスニック料理のレストランで,まずビールからはじめ,ワインを注文したところ,店員から「You drink too much(飲みすぎですよ)」と返されました。もう一つは,繁華街の食事処でのことです。ドリンクメニューを頼むと,アルコール類は置いてないので,飲みたければ近くの酒屋で買ってくるようにと言われました。酒類を提供するライセンスを持ってないからだとのことです。一旦外へ出てビールを買って店に戻り,持込料は要るのかと尋ねると,グラスを使用する場合は,手間賃をいただくと言うことでした。こちらは今の東京。コロナ禍の緊急事態宣言下で飲食店の時短営業と酒類の提供の制限を求められた店主がテレビ取材のインタビューに応じていました。「うちの売り上げの7,8割が酒代です。お酒があっての食事ですから,痛いですよ」。見ていて少し辛くなる光景でした。(H)