活動報告 技術援助

綾川町健康教育
「いきいきセミナー」


マインドファースト理事長 島津昌代

2021年4月23日午後1時30分~3時,綾川町いきいきセンターにて,健康教育「いきいきセミナー」が開催され,マインドファーストから島津が講師として派遣されました。

綾川町いきいきセンターは木の風合いが素敵な洒落た建物で,午後1時にはラジオ体操の音楽が流れて,職員や来訪者が一緒にラジオ体操をしていました。豊かな自然のもと,そこで暮らす人々が皆いきいきと健康に過ごそうという,地域の方々の意識の高さが感じられる光景でした。当日は,コロナ禍という事情もありましたので,感染対策を講じて,参加者も予約者20名という状況での開催でした。

最初に,綾川町の精神保健担当の保健師から綾川町の自殺対策の取り組みについての話があり,それから「こころを軽くする心理学講座」というタイトルで,島津が話しました。以下,その概要です。

「こころを軽くする」と言っても,誰も「こころ」の姿形を見た人はいませんし,重さを量ったことのある人もいません。しかし,皆,自分の実感として「こころ」が重くなったり,軽くなったりすることを知っています。それは,いわば身体感覚として「こころ」を感じているからであり,「こころ」と「からだ」の結びつきがいかに深いか,実は「心身一如」であることを現しています。

私たちは,生きている中で様々なストレスを受けていますが,それは刺激に対する反応ですから,生きている限り,ストレスが無くなることはありません。ただ,そのストレスも個人の特性(身体的条件,性格,人生観,思考のくせ等)や,緩衝要因(人的サポート,楽しみ,報酬等)

で強くなったり,緩和できたりします。そうしたストレスとうまくつきあえると,「こころ」は軽くなるようです。

そのためには,まず,自分がどの程度ストレスを感じているか,ストレスに対する気づきを良くする必要があります。ストレスに対する気づきを良くするためのポイントとして,ちょっとした心身の変化のサイン(気分や体の調子,疲れ等)を見過ごさないこと,そして,ストレス反応を解消するための具体的な行動(コーピングスタイル)があることを紹介しました。

「こころ」と「からだ」の関係や,コーピングスタイルについては,皆さん思い当たることがいろいろあったようです。目に見えない「こころ」だからこそ,それを大切にするには「こころ」に対する気づきが大事になりますし,「からだ」が教えてくれる「こころ」のサインを見過ごさないことをお伝えする良い機会になりました。

アスリート・ファーストとは何か

5月11日,朝日新聞,読売新聞,日本経済新聞の3紙に2面見開きで宝島社の意見広告が掲載された。「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戰えというのか。このままじゃ,政治に殺される。私たちは騙されている。この一年は,いったい何だったのか。いつまで自粛をすればいいのか。我慢大会は,もう終わりにして欲しい。ごちゃごちゃ言い訳するな。無理を強いるだけで,なにひとつ変わらないではないか。今こそ,怒りの声をあげるべきだ」と言うものである。

80年前,相手国の底力を考えれば,とても勝てる戦争ではないことを分かっていながら,日米開戦に突入した。誰もノーと声をあげられない状況は,始めた戦争についてもしかりであった。大本営は国民に対して厳しい戦況を伝えることなく,タケヤリで米国の爆撃機B29と戦えと無理強いをした。不都合な事実に目を背ける政治家の幼児的万能感が,国民に多大な犠牲をもたらすことになった。←


→私たちの国は,今まさに戦前と戦争末期を想起させる既視感の中にいる。国民の約80%が反対する中で,コロナに打ち勝った証として五輪を開催すると言う。五輪は,コロナとの勝負と言うリスクをかけて行うものではなかろう。政治家の欲望が国民の暮らしと健康を損なってしまう。「政治に殺される」とは,的を射た表現だ。

そもそも五輪への反発はコロナ禍以前からあった。五輪の歴史を振り返れば,紀元前776年に始まった,古代のオリンピックは,競技は,短・中・長距離走をはじめ,レスリング,ボクシング,戦車競走などが行われていた。しかし,次第に激しさを増し,武器も登場するようになった。規模が大きくなり,オリーブの冠と名誉だけでなく褒賞金なども与えられるようになった。褒賞金目当ての参加者が増え,プロ選手や剣闘士は参加できなくなった。大会の神聖さが失われ徐々に衰退して行き,第293回をもって幕を閉じている。

1896年,アマチュアリズムを基本として,9競技で始まった近代オリンピックは,今日,お金のかかるフェスティバルとなり,開催国として候補に名乗りを上げる国も少なくなっている。肥大化する五輪,アマチュアリズムの崩壊とプロ化。近代オリンピックも,古代オリンピックと同じ衰退の道を辿っている。

人々にはそれぞれの社会活動領域があり,自分の利害に関連した政治的結論には無関心ではいられない。コロナ対応の不手際から,多くの社会活動領域に甚大な被害が及んでいる。迅速性,公平性に欠ける休業補償。予約も接種も円滑に進まないワクチン。こうした中で,五輪関係者には毎日PCR検査か抗原定量検査,選手全員にはワクチン接種。アスリートには,メダルやスポンサーの獲得とプロの道への王道を開く。五輪王国に住む人たちは,特別待遇される上級国民なのだろうか。スポーツマンシップに求められるフェアネスにはほど遠く,これで平和と友好の祭典はなかろう。

無観客も覚悟で,一般人との接触を避けバブル方式で開催と言う。観客との交流や感動の共有はどちらでも良いと言うことらしい。一方で,人流が拡大するパブリックビューイングを開設すると言う。政治的思惑やIOCの利権が蠢き,国民の生活と健康はないがしろにされる。

こうした状況下で肝心のアスリートの意識はどうなのだろう。いわゆる「体育会系」とは,上が命じる業務を忠実に行う精神論や根性論に凝り固まった犬型人間を揶揄する言葉として使われてきた。しかし,トレーニングの場を巡っては,ハラスメントに対してスポーツ選手の異議申し立てが相次いだことは記憶に新しい。アスリートは,権力者の不合理な主張に異議を唱えることができない人間集団ではないはずだ。一生活者として国民とともに危機を共有するところに立てる人たちだろう。

五輪を強行することによって,アスリートやスポーツ関係者が失うものがいかに大きいか,そのリスクに気づくべきだ。「政治とスポーツに殺された」歴史とならないためにも。

マインドファースト通信 編集長 花岡正憲


第206回理事会報告

日 時:2021年5月10日(月)19時00分~21時20分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403

事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 会計に関すること:理事長から,会計の報告があった。2019年度2020年度と短期借入金が増えているため借入金の上限を予算の1割とし,借入金先は理事からとすることで承認された。また当分の間はスタッフへの報酬金は未払いとすることで承認された。

第2号議案 ユーザーの「居場所づくり事業」に関すること: 5月2日開催の「REPOS」には,1名の参加者があった。5月9日の開催は非常事態宣言のため中止とし,参加者及びスタツフには担当者が連絡した。6月の開催日はその時点で考えることで承認された。また,ぴあワークス・サバイビング・おどりばは非常事態宣言下ではあるが,会場が閉館しない限り感染予防に十分配慮して開催することで承認された。

第3号議案 令和2年度募金(3年度助成事業)テーマ募金の事業変更に関すること:2020年度の事業から一部変更して変更申請書を提出することで承認された。

第4号議案 令和3年度教職員向けの研修会及びこころの健康出前講座に関すること:(1)三木町住民健康課の担当者植村保健師から,9月下旬(第一希望9/22) 三木高校全日制・定時制教職員,町内の小学校・中学校教職員の希望者に対して,「自殺予防と教職員のメンタルヘルス」をテーマに研修会の依頼があった。講師2名を派遣することで了承された。(2)東讃保健所から,7月14日か12日又は9月6日,13:10~14:00東部養護学校高等部生徒1年生~3年生の40名に対して,こころの健康出前講座の依頼があり受理することで承認された。なお先方の希望は①10代にある心の病気,②SNSの出し方,③ストレスの対処法である。

第5号議案 2021年度ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースの開催に関すること:事前講師会の日程は今週中にメーリングリストで配信し,発送作業を5/16(日)10:00よりオフィス本町にて行うことで承認された。

第6号議案 認定ファミリーカウンセラー認定資格更新に関すること:担当理事からマインドファースト家族精神保健相談員資格制度施行細則案の資料の説明があり,一部修正の上承認され,2021年5月10日付で発効されることになった。次回ファミリーカウンセラー会議で説明を行うことで承認された。また認定カウンセラーの身分に関わることであるため,2021年度総会における審議事項とすることで了承された。

第7号議案 相談料金減免に関すること:プロシュールでは初回面接料金は8,000円となっているがこれを半額とし,若者・子ども(20歳未満)に関する本人または家族の相談料は無料とすることで承認された。これは2021年度総会における審議事項とすることで了承された。

第8号議案 2021年度総会に関すること:6月14日,四番丁コミュニティセンターでの開催に向けて,下記の事項が確認承認された。①総会審議事項:事業報告,決算報告,監査報告,事業計画案,予算案,定款変更,ファミリーカウンセラー認定資格更新,相談料金減免,役員改選②発送文書:案内状,出欠確認及び委任状,役員改選に関する告知&推薦状,会費納入依頼・議案書③理事就任承諾書。

編集後記:危機の中では,人々の正常な判断能力が麻痺してしまうのでしょうか。先月号では,コロナ禍で行われたある地方の市長選挙で,全市民に10万円支給と言う公約を掲げた新人市長が当選し,これが票の買収行為として公職選挙法に抵触しかねないことについて述べました。その新人市長が,財政上の理由で5万円に減額して支給する方針を打ち出し,市民の間に公約違反だと言う反発が起きています。有権者は,票の買収行為と公約破りで2回騙されたと言うことでしょうか。普段は凡庸な市民であっても,危機の時こそアラート(用心深い)でいなければ,大切なものを失ってしまいかねないと言うことでしょうね。(H)