技術援助 講師派遣

高松市教育委員会
香川県ゲートキーパー普及啓発事業

マインドファースト理事長 島津昌代

2023年7月7日(金)午前9時40分~10時30分,高松市総合教育センターにおいて「ゲートキーパーについて~子どもの自殺予防のために~」と題してお話しする機会をいただきました。これは,高松市教委が小・中・高等学校の校長,幼稚園・こども園の園長を対象に行っている,学校コンプライアンス推進研修会のプログラムの一つとして依頼されたもので,当日は約100名の校長・園長が参加されていました。

50分という時間の中で参加者のニーズに応えるために,事前にこちらからお願いしてアンケートをとらせていただいたのですが,そのアンケートの中で,勤務校で児童生徒の自殺が起きるかもしれないリスクを0(全くない)から10(いつ起こってもおかしくない)のスケールで尋ねたところ,10点をつけておられたところが小中高あわせて12校,7点以上だと36校あり,社会的に子どもの自殺が増えている現状の中で現場の先生方が感じている危機感がうかがえました。

そういった点からも,やはり一番の関心事は「子どもの発するSOSをいかにキャッチするか」ということだったように思います。以下,話の概要です。

子どもの発するSOSは狭い意味での自殺を防ぐということよりも,自殺に至りかねない裾野の部分,つまり「死にたい」という言葉が「生きているのがつらい/しんどい」という今の生きづらさを表すSOSであることを理解し,子どもが抱えているつらさやしんどさを近くにいる大人がちゃんと受け止めることが求められます。

「死にたい」に対して「命を大事にしなければいけない」というお説教ではなく,「死にたいと思うほど,今つらい思いをしているんだね」という理解が必要であり,

そのためには子どもの気持ちを受け止める,聴く力(傾聴)が求められるのです。また,子ども自身,死んではいけないと言われることを理解していないわけではないので,「死にたい」ではなく「消えたい」という表現を使うこともあります。子どもに限らず,人は話を聴いてくれる人でないと相談しようとは思わないし,本音を語ることもしないもので,「この人は話をきいてくれそうな人かどうか」,日常のやりとりの中で観察されていると言っても過言ではありません。

子どものSOSに気づくには,普段と様子が異なることに気づくことが必要ですが,これは普段の姿を知らなければ「普段とのちがい」に気づくことはできません。今回,私が最も強調してお伝えしたのがこのことで,後でいただいた感想から先生方の印象にも残ったことがうかがえました。その上で,子どもの話をどれだけちゃんと聞き取るか。大人は,ともすればすぐにわかった気になって,子どもの話をきちんと受け止め切れていないことがあります。頭で理解することと実践することの間を埋めるためには,傾聴する力が何より重要であることもあわせてお伝えしました。

報告

令和5年度高松市若者支援協議会
代表者・実務者全体会議


マインドファースト理事 青木節子

2023年7月14日(金)13:30~15:00 高松市役所13階大会議室において,高松市健康福祉総務課地域共生社会推進室主催による令和5年度高松市若者支援協議会代表者・実務者全体会議が開催されました。この協議会は,「社会生活を円滑に営む上での困難を有するおおむね15歳以上40歳未満の若者及びその家族を包括的に支援するため」に設置された会で,今後の取り組みとしては,困りごとがあればひきこもり支援の市町村プラットフォームの構成機関と連携を図ることが出来るよう,関係機関と顔の見える関係性の構築を目指すとの説明がなされました。参加者は,←


→教育・福祉・保健・医療・矯正・更生保護・雇用・民間の各分野から24名。そのうち,実際の現場で活動されている6つの団体がそれぞれの活動の紹介をされました。高松市総合教育センターの熊田主事・香川スクールソーシャルワーカー協会の岡本会長・自立相談支援センターの宮脇センター長・一般社団法人ももの伊澤代表理事・ハウスきまいきまいの篠原氏・NPO法人マインドファーストの島津理事長の6団体。島津理事長からは,マインドファーストの理念と,おどりばとリトリートたくまの紹介がありました。

高松市教育センターの熊田主事の,不登校支援の施策を行っているが実際に困っている人に届いていないという言葉,島津理事長の,メンタルヘルスの問題は特別な人の問題ではない。精神医療にまかせるのでなく一般社会で共に考えようという言葉など,現場サイドの方々の言葉には,もどかしさと,それを解決しようとしている懸命な姿勢が感じられました。

その後,一般社団法人hito.tocoの宮武代表理事より,hito.tocoの取り組みと事例紹介の,スライドによる発表がなされました。

スライドの最後に,「引きこもりは年齢を重ねるほど解決が困難になる」と題して,①引きこもりは個人だけの問題でない。②より深刻な課題を抱える前段階での介入が必要。③家族の誰かが引きこもりになると他の家族も社会から孤立しやすくなる。④引きこもりを抱えた家族に対して情報提供が必要。と,問題提起も含め,これからを考える内容で締めくくられました。

最後に,まなびやももの伊澤代表理事が,宮武代表理事に,今後,引きこもりを取り巻く環境がどのように変わっていけばよりよくなるのでしょうか?という質問を投げかけました。それに対して,宮武代表理事が,非常に悩みながら,「寛容と生産性のバランス」を考えていると,答えられていたのが印象に残っています。今を笑顔で暮らしたい。その日々の積み重ねが未来に繋がっていくと私は思っている。寛容とはありのままを受け入れることかもしれない。参加されていた方々も,皆,それぞれの立ち位置で,手探りでよりよい未来を模索している。いろいろな分野の方の実際の声を聴く機会を与えていただいたこと,感謝しています。ありがとうございました。

第234回理事会報告

日 時:2023年7月10日(月)19時40分~21時40分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403

事務連絡および周知事項,報告事項:省略

議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 会計に関すること:6月期の会計報告について,島津理事長から説明があり了承された。

第2号議案 会計事務委託に関すること:会計事務担当者から,2022年度をもって退任したいとの意向が示された。青木理事から後任として就任したい旨意向が表明されたため,当面は,オフィス本町にて理事長の指導のもとで,NPO会計ソフトの入力作業に従事すること,並びに,時給1000円+交通費,概ね年間50回の予算措置を行うことで了承された。

第3号議案 ファミリーカウンセラー資格認定面接に関すること:2名の者から資格認定面接の申し出があり,島津,花岡,柾に認定委員を委嘱して,8月6日面接日として

調整することで了承された。

第4号議案 「技術援助実施要領(仮)」に関すること:関係機関からの技術援助依頼に際し,事前の意向調整及び諸謝金等の決定に適切に対応するために「技術援助実施要領(仮)」を作成すること,並びに原案を花岡が作成することで了承された。

第5号議案 「居場所づくり事業」に関すること:①「ルポ」:10月1日の開催日は,スタッフが1名しか確保できないため,残り1名を呼びかけることで了承された。②居場所づくり企画運営委員会:メールで送信された会議録に示されている通り,これまで2回開催,今後の作業として,グループミーティングの実施要領を策定予定していることが報告され了承された。

第6号議案 「リトリートたくま」に関すること:①賃貸物件に関すること:賃貸借契約が未締結のため,契約を締結することで了承された。なお,契約書案は花岡が作成する。②今年度コンサルテーションの実施計画に関すること:今年度は,3回花岡がコンサルテーションを担当すること,「リトリートたくま」開催日時とは別に事前に日時を調整してスタッフに対して行なう従来のやり方ではなく,今年度は開催日時に現地を訪れ,事後にレフレクションを行う方式を試みることで了承された。③一般財団法人チャイルドライフサポートとくしま2023年度子どもの笑顔をはぐくみプログラム補助金交付申請に関すること:過去に交付を受けた団体は,交付対象順位が下がる可能性があるが,今年度も申請を行うことで了承された。④富士建設株式会社様からの寄付金の応募に関すること:申請に向けてサマリーシートを作成することで了承された。

第7号議案 今年度自殺対策強化事業に関すること:①相談員研修(学習会)に関すること:青木理事から研修に関する相談員を対象にしたアンケート(案)が示され,今後,相談員研修担当間で調整を行うことで了承された。②ファクトシートの作成:審議未了。

第8号議案 今年度ファミリーカウンセラー養成講座に関すること: 概ね,11月初旬開催,12月中旬終了のタイムスケジュールで,担当者を決め,会場確保,開催日時,研修内容などの作業を具体化することで了承された。

第9号議案 2023年度理事および会員の役割担当に関すること: 理事長から前年度の役割担当表が示され,新たに役割担当を決めるためにメーリングリストで担当表を送るので,担当希望事業の欄に各自名前を記入することで了承された。


編集後記:自殺報道に関するWHOのメディア向け提言に,控えなければならないこととして以下のことが掲げられています。①写真や遺書を掲載する。②自殺方法を詳しく報道する。③原因を単純化して伝える。④自殺を美化したり,センセーショナルに報道する。⑤宗教的,文化的な固定観念を当てはめる。⑥自殺を非難する。2022年5月11日,フジテレビは,『めざまし8』で,上島竜兵さん訃報の第一報を出し,独走して報じました。午前8時過ぎには上島さんの自宅前に到着し,リポーターが飄々とした口調で自殺の具体的な方法まで明かし,通行人に感想を求めるなど,いかにも路上ライブワイドショーのような報じ方でした。7月12日,タレントのryuchell(りゅうちぇる)さんの自殺報道では,芸能人などから,生前の活動に共感し,賛美するコメントが多く見られる一方で,自殺に追い込まれた理由をSNS上の誹謗中傷と関連づけるコメントが目立ちました。確かに,SNS上では,偽名で責任を負わない発言が目につくことも事実です。しかし,発信力が強い側からの一方的SNS批判には,違和感を覚えずにいられません。自殺が起きたとき,単純化した原因探し,犯人捜しは,ポストベンション(事後対応)という観点からも,遺された人や関係者を傷つけてしまうことがあることを知っておくことが大切です。(H)