マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファースト事務局:
〒760-0032 香川県高松市本町9-3白井ビル403
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☎ 090-2828-7021
https://www.mindfirst.jp/
かかりつけ医うつ病対応力向上研修会
マインドファースト理事長 島津昌代
2023年7月30日(日)13時~16時,ホテルパールガーデン(高松市福岡町)に於いて香川県と香川県医師会の共催による標記研修会が開催され,マインドファーストからは島津が派遣されて講義を行いました。参加者は,医師,行政担当者,看護師等84名でした。
まず主催の香川県医師会久米川会長から,かかりつけ医の役割として一人でも自殺から守るために,本日の内容を診療に活かしてほしいとの挨拶があり,香川県障害福祉課土手課長からは第2期いのち支える香川県自殺対策計画が策定されたことが紹介されました。
研修会は,土手課長による「自殺予防と地域連携」,香川大学医学部中村教授による「うつ病の基礎・診断と治療」,認定NPO法人グリーフワークかがわ杉山事務局長による「暮らしの中のグリーフワーク」,そしてマインドファーストからは「自殺予防のために私たちができること~自殺に関する神話(思い違い)について~」という内容で講義が行われました。それぞれ,香川県の自殺の現状,自殺対策計画,自殺対策の事業についての説明や,自殺と精神疾患の関係,うつ病の症状としての不安などについての解説,生活の中にある喪失とグリーフワークという心の過程やグリーフケアに係る誤解が事例をあげて説明されました。
マインドファーストからは,最初に「『死にたい』という人はほんとうに死にたがっているでしょうか」という問いかけを行い,ファクトシート「自殺に関する神話10の
間違い」について説明を行いました。そして,「ゲートキーパー」として知っておいてほしいこととして,「死にたい」という言葉は「死んだら楽になれるのではないかと思うほど,今生きていくのがつらい」という生きづらさを表すSOSであることや,「死ぬことでしか楽になれない」という心理的視野狭窄状態について解説し,具体的な対応法としてゲートキーパーの4つの対応原則(気づく・きく・つなぐ・見守る)とゲートキーパー自身のストレスケアについて触れて終了しました。与えられていた時間が50分でしたので,話が駆け足になってしまったきらいがありますが,講義のタイトルにした自殺に関する思い違いは伝わったと思います。
全体を通して,参加者からの質問はありませんでしたが,最後に,大原香川県医師会常任理事から,介護問題を通して感じられていた「年齢が若いとか100才を過ぎているとかで喪失感がどうと決められるわけではなく,その人その人の喪失という理解が必要だと思った」というご意見がありました。またペットロスに関する質問がなされて,杉山グリーフワークかがわ事務局長が応えられて,終了しました。
香川県ゲートキーパー普及啓発事業
香川県学校薬剤師会
マインドファースト理事長 島津昌代
2023年7月14日(金)午後7時00分~8時30分,香川県薬剤師会の会員を対象にゲートキーパー普及啓発事業が行われ,マインドファーストから島津が講師として派遣されました。本研修会は薬剤師会の研修ポイントが付与されるものだったようで,朝日町会館2階会議室の会場参加は
10名ほどで,加えて約100名がオンラオンライン参加されたようです。
初めに,主催者の香川県精神保健福祉センターから,香川県の自殺の現状とゲートキーパーの役割について解説があり,続いてマイ ンドファーストから「自殺予防の基礎を学ぶ~自殺予防のために私たちができること~」と題して講義を行いました。 講義では,“自殺は追い込まれた末に起こるものである”ということを考えてもらうために,「自殺にまつわる誤解」「自殺の危険因子」,「自殺の原因」,「うつ病について」,「“死にたい”という気持ちをどう理解するか」「自殺企図と自傷行為」「ゲートキーパーのストレスケア」について話をしました。
参加者は,学校薬剤師としての活動をされながら市中の薬局で薬剤師として働いておられる方が大半で, また大学の薬学部で学生を指導されている方もおられ,実際に,気になる人への具体的な声のかけ方についての質問もあり,ゲートキーパーとしての役割を担う存在としての意識の高さがうかがえました。
第235回理事会報告
日 時:2023年8月7日(月)20時10分~21時15分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 会計に関すること:7月期の会計報告について,島津理事長から説明があり了承された。
第2号議案 理事の事業担当に関すること:理事長より事業の説明があり,了承された。
第3号議案 「居場所づくり事業」に関すること:審議未了。
第4号議案 リトリートたくまに関すること:①賃貸借契約に関する事項:審議未了。②香川県医療・福祉施設応援金の申請:申請手続きを行うことで了承された。
第5号議案 「技術援助実施要領(仮)」に関すること:審議未了。
第6号議案 今年度ファミリーカウンセラー養成講座に関すること:審議未了。
第7号議案 世界メンタルヘルスデー―のキャンペーンに関すること:審議未了。
第8号議案 事業実施上必要とされる書籍等の物品の購入に関すること:審議未了。
ZOOMの起動の不具合で,理事会開催時刻が大幅に遅れたため,多数の審議事項が審議未了となった。審議未了の議案については,8月21日(月)19:00,第235回(2023年度第7回)理事会で審議することで了承された。
第236回理事会報告
日 時:2023年8月21日(月)19時20分~21時10分
場 所:マインドファースト事務局オフィス本町 高松市本町9-3白井ビル403
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 今年度ファミリーカウンセラー養成講座に関すること(添付資料有):2023年度ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースは,例年通り6回シリーズで開催,日時は,10/22,11/5,11/12,11/26,12/3,12/10の
いずれも日曜日13時30分~15時30分,会場は,丸亀町レッツカルチャールームとすることで了承された。あわせ,各回の主担当講師を決め,アシスタント講師については,認定ファミリーカウンセラーに呼びかけること,8月31日までにチラシの最終原稿を作成,9月18日にチラシを発送することで了承された。
第2号議案 世界メンタルヘルスデーのキャンペーンに関すること:今年度は, 10月8日(日)に街頭キャンペーンを行う。チラシは,残部数が1,000部あるため増刷は行わず,シルバーリボンステッカーは増刷,関係機関への発送作業は,9月18日を目途とすることで了承された。
第3号議案 「居場所づくり事業」に関すること(添付資料有):居場所づくり企画運営委員会作成の「認定非営利活動法人マインドファースト相談支援事業(グループミーティング)・居場所作り事業(グループワーク)実施要領」の最終案の説明があり,一部修正が行われ,2023年8月21日付で施行することで了承された。「ルポ」の開催については,他の居場所の運営との絡みで,人材確保が難しくなる日もあることから,9月11日の理事会において,担当の植松氏と山奥氏に,意見聴取を行うことで了承された。
第4号議案 リトリートたくまに関すること(添付資料有):審議未了
第5号議案 「技術援助実施要領(仮)」に関すること(添付資料有):審議未了
第6号議案 事業執行上必要とされる書籍等の物品の購入と購入後の管理に関すること:ワーキンググループで必要とされる書籍等の購入は,調査研究予算の範囲内で購入し,管理は法人の責任で行うことで了承された。
第7号議案 保管金庫の不具合に関すること:オフィス本町の金庫の不具合については,早急に使用再開できるように対処することで了承された。
編集後記:現在,法務省の審議会において「離婚後共同親権制度」の導入を前提とした議論が進められています。「離婚後共同親権制度」とは,離婚後も婚姻時と同様に父母の両者に親権を認める制度です。この制度を導入すると,離婚時の親権争いがなくなるため,離婚後の面会交流がスムーズに行われやすくなると言われています。しかし,この制度は,離婚後の家族のあり方を大きく変え,親と子どもに重大な影響をもたらす懸念があります。子どもや子育てに関心がなかった親の場合,離婚後にあらためて親として責任感を自覚できるようになるかは疑問です。子どもは,親権を主張する別居親の自己中心的な事情につき合わされる事態も起きかねず,こうした場合,子どもは,有害な養育環境に置かれることになります。親権を巡る議論で忘れられているのは,離婚した両親は,それぞれ自分の「喪失感」には敏感ではあるけれど,そこには,家庭を失い,父親または母親を失い,中には兄弟を失い,転居や転校を強いられるなど,大きな「喪失感」を抱えた子どももいるという事実です。離婚の原因は,あくまでも夫婦間の事情によるものです。子育て方針をめぐる夫婦間の対立が原因であっても,子どもには責任はありません。喪失体験は,子どもにも容赦なくふりかかります。そうしたとき,子どもにとって身近な存在である大人自身が喪失を経験していると,大人は子どもの喪失に気がつかないことがあります。子どもへのケアが忘れられ,子どもは,自分を守ってくれると信じていた親が不安定になったり,沈み込んだりする姿を見て不安になります。幼少期から思春期における喪失,とりわけ,親きょうだいや重要な他者との離死別が,子どもの愛着形成や人格形成,若者や成人のうつ病や問題行動など精神的健康問題の発生などに与える影響は少なくないとされています。私たちマインドファーストは,こうした子どもの忘れられた事情に目を向けるために,子どもの喪失体験の支援「HOPE」を行っています。離婚後も,子どもの養育については,父親,母親ともに責任があり,子どもの真実の声にしっかり耳を傾け,必要に応じて,両親が連携を図ることが求められます。離婚を巡る親の情緒的問題に子どもが振り回される。これは,片親親権か,共同親権か以前の問題です。こうした子どもの事情に目を向けず,共同親権制度が導入されると,親権を盾に子どもに接近する親の事情に巻き込まれ,法による子どもの虐待という側面も否定できない事態も起こりかねません。(H.)