マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファースト事務局:
〒760-0032 香川県高松市本町9-3白井ビル403
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☎ 090-2828-7021
https://www.mindfirst.jp/
香川県ゲートキーパー普及啓発事業
マインドファースト理事長 島津昌代
2023年11月,香川県立精神保健福祉センター主催のゲートキーパー普及事業において,香川県立学校教育相談連絡協議会(10日),高松第一高等学校(27日),高松市障がい者基幹相談支援センター(28日)の3件のゲートキーパー研修会に,マインドファーストから島津が講師として派遣されました。
香川県立学校教育相談連絡協議会は対象者が県立高等学校および特別支援学校の教育相談担当教員,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー達約70名,高松第一高等学校は教職員70名で,「ゲートキーパーについて~若者の自殺予防のために~」と題して60分の講義を行いました。昨年度は小中高生の自殺者が過去最高となり,関係者の自殺予防に関する意識も高くなっているように感じられました。
高松市障がい者基幹相談支援センターは,障がい者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう,障がいの種別に関わらず,総合的・専門的な相談や情報提供・助言,既存の障害福祉サービス事業所等との連絡調整などを行う機関で,市内に8か所ある障がい者生活支援センターによる地域拠点・中核拠点合同会議の中で本研修会が行われ,対象者は各相談支援センターの相談員14名でした。こちらは90分の時間設定でしたので,初めに,主催者の香川県精神保健福祉センターから,香川県の自殺の現状とゲートキーパーの役割について解説があり,続いてマイ ンドファーストから「自殺予防の基礎を学ぶ~自殺予防のために私たちができること~」と題して講義を行いました。
いずれの研修会においても, “自殺は追い込まれた末に起こるものである”ということを考えてもらうために,「自殺にまつわる誤解」「自殺の危険因子」「自殺の原因」「“死にたい”という気持ちをどう理解するか」「自殺企図と自傷行為」「ゲートキーパーのストレスケア」について話しましたが,特に,「死にたい」という言葉は今感じている生きづらさを表すSOSであり,落ち着いて話を受け止めること,しんどい時は弱音を吐いて助けを求めて良いのだということ,そのためには支援者自身もひとりで抱え込まずにサポートを受けられることが大事だということを伝えました。
SOSを出すことは,言うほど簡単なことではありません。それは,ある意味,他人に見せたくない自分の弱さをさらすことであり,また,人に心配や迷惑をかけたくないと思っていると出すことをためらってしまいます。実際にしんどい思いをしている生徒や利用者と関わった経験のある受講者からは,本人達のSOSを出す難しさに思い当たることがいろいろあったようでした。SOSは,発してもキャッチされなければこれほど空しいことはありません。そうした諦めをもっていると,人は孤独になります。ゲートキーパーは,まず,SOSを発することが弱さではなく勇気あることなのだという認識を持っていてほしいと思います。
綾川町全職員向けメンタルヘルス研修
マインドファースト理事長 島津昌代
2023年11月28日10:00~11:30,綾南農村環境改善センターにおいて,標記研修会の講師にマインドファーストから島津が派遣され,「“ストレス”の話~いかにつきあいますか」と題して話してきました。これまでにも職員研修で他の町や保健所等で話をした経験はありますが,副町長や教育長が研修に参加されたのは初めてで,30名ほどの参加者がありました。
講和の内容は,ストレスの種類や気づくためのポイント,対処法や,最近注目されているレジリエンスについてで,心身のバランスを整えるのに役立つリラクゼーション(筋弛緩法)の実技を行いました。
日々の生活の中でストレスを感じるのは当たり前のことと言えます。適度なストレスは適応力を高めてくれるものでもあるので,日々の心身のメンテナンスの大切さをお伝えできたと思います。
子どもサポート委員会研修
香川県理学療法士協会・香川県作業療法士協会・
香川県言語聴覚士会
マインドファースト理事 花岡正憲
12月15日(金)19:00~21:00,四国医療専門学校において,香川県理学療法士協会・香川県作業療法士協会・香川県言語聴覚士会「子どもサポート委員会研修」が開催され,講師として花岡が派遣されました。参加者数は,54名(対面20名,オンライン34名),委嘱されたテーマは「愛着障害と発達障害」です。
発達障害支援については,2000年初頭から,子どもの発達には,個人差があるなかで,正常な子どもの行動に,精神医学的な見方が入ることの懸念が表明されていました。今日,発達障害の過剰診断,過剰治療による弊害が指摘されています。
今回の研修は,多職種の協同による,子ども・家族の生活者のリアリズムにそったヘルスケアスキームと技術面の向上を図るために,事例を中心にしたグループディスカッションとオンライン参加者も含め意見交換と質疑を中心に進めました。事例は,本来の特徴や本筋が損なわれないように作成した仮想事例を用いました。
概念的な視点としては,子どもの喪失体験への支援,愛着障害を抱えた自傷行為への対応,精神的危機にある子ども・若者への入院や薬物療法を回避した支援と問題指向的アプローチについて解説を行ないました。
第240回理事会報告
日 時:2023年12月11日(月)19時00分~20時45分
場 所:高松市本町9-3白井ビル403 オフィス本町
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 会計に関すること(添付資料有):理事長から11月期に関する報告があり,承認された。
第2号議案 調査研究事業に関すること:①居場所づくり:ルポ12/3参加者1名,12/10 参加者0名。企画運営委員会開催日 12/26決定。②傾聴・相談力セミナーワーキンググループ:12/24(日)四番丁コミュニティセンターにてファミリーカウンセラー会議・学習会の後15:45~17:00開催する。以上が了承された。
第3号議案 テーマ募金に関すること:チラシ発送先リスト12/23完成とし,ラベル作成はAIYAシステムに依頼する。寄付金募集趣意書は一部変更する。発送作業は12/29(金)14:00~オフィス本町にて行い,年明け発送としてAIYAシステムに依頼する。
第4号議案 学習会の実施記録に関すること(添付資料有):学習会の実施記録は過去には単独で作成していたこともあったが,今後はファミリーカウンセラー会議議事録の最後に学習会実施記録の欄を付け加え,記録はファミリーカンセラー会議の書記が記載する。学習会実施記録の欄を付加した新たなファミリーカウンセラー会議議事録案を青木理事が作成することで了承された。
第5号議案 2023年度香川県地域自殺対策強化事業に関すること:①年度末には自殺対策強化事業の報告書が必要になるから各担当者は準備しておく。②ぴあワークスおよびピアサポートのチラシ印刷は年内とするが内容変更に関しては意見があればメールにてお願いする。前回はAIYAシステムが作成してくれたので新たに作る場合はAIYAシステムに相談する。③新たなファクトシートの内容の候補としては「ヤングケアラー」「発達障害」等が上がっている。作成は花岡理事が担当する。④ブロシュール等発送にあたり,透明封筒にブロシュールをセットする準備作業が必要である。12/29のテーマ募金チラシの発送作業後や今後随時作業できる時に準備していく。発送作業は2/25(日)10:00~とする。以上4点が了承された。
第6号議案 リトリートたくまに関すること:スタッフの変動により会計報告処理が遅れているが年度年始には終える予定である。青木理事が月2,3回来てくれることになった。スタッフの回数増加に関しては,1名からは了解を得たが他の1名はこれ以上の回数増加は無理とのことであった。また新たなスタッフ増員に関してはまだ積極的には動いていない現状である。以上が担当者から報告され,了承された。
第7号議案 理事会のZ00Mズームの設定に関すること:ズームの設定を7月に行ったが期限が来ている。12/29(金)に新たに設定することで了承された。
編集後記: マインドファースト通信No.215(2023年4月号)でも取り上げました看護師らによる入院患者への虐待事件があった精神科「滝山病院」(東京都八王子市)について,12月18日,病院設置の第三者委員会が調査報告書を公表し,立件事案以外にも,複数の暴行や違法な身体拘束が常態化していたと明らかにしました。「人権意識の欠如や鈍麻が生じていた」と結論づけたほか,検査や指導を担う行政の不備も指摘しました。報告書によると,立件された5人の事案は,2022年1~4月に,患者の頭をたたいたり頭をベッドに押さえつけたり,「地震だ」と言ってベッドごと揺さぶるなどの行為があり,看護師らは「軽はずみにやった」「間違ったやり方でストレスを発散した」などと供述したとのことです。わが国における精神科病院大増設と隔離収容政策という歴史が,いまも精神科医療現場に落としている影を見る思いです。人間関係という動的・有機的なプロセスの中で発生する精神的健康問題を,ハコモノと言う無機的な空間に封じ込めることによって解消しようとする。このため,情緒的・精神的危機にある人をコミュニケーションによって支えるスキル(技能)とプラクティス(実践)が蓄積されて来なかったとしか言えません。ハコモノ神話が,生活者の現実と向き合う言葉力を劣化させたとも言えます。今日,発達障害や香川県のネット・ゲーム依存症対策条例などに見られるように,子どもの言動に精神医学的見方を拡大して行き,子どもの正常とされる領域を縮小させる方向が顕著になっています。児童思春期問題については,薬物投与や入院という医学的関与がもたらす二次的障害を避けるために,家庭訪問や患者の自宅やその他の適切な場所で快適に治療を提供する居住型処遇(residential treatment)が世界の趨勢です。子ども・若者の精神的健康問題は,専門家に振るという属人化で解決するものではなく,家族や関係者との連携やそのためのスタッフトレーニングが不可欠です。先日,県内のある精神科病院で工事が完了した児童思春期病棟見学ツアーの案内状を目にする機会がありました。案内状には,病院スタッフとの意見交換のスケジュールはなく,どうやら,ハコモノお披露目ツアーだけらしいことが気になります。(H.)