活動報告

香川県ゲートキーパー普及啓発事業

マインドファースト理事長 島津昌代

理事 森本雅榮

2024年2月1日,香川県消防学校救急科22名を対象に,香川県立精神保健福祉センター主催のゲートキーパー普及事業ゲートキーパー研修会が行われ,マインドファーストから島津と森本が講師として派遣されました。最初に主催者である香川県精神保健福祉センター酒井保健師から,香川県の自殺の現状とゲートキーパーの役割,精神保健福祉センターについて25分ほど説明があり,続いてマイ ンドファーストから島津が「自殺予防の基礎を学ぶ~自殺予防のために私たちができること~」と題して80分の講義,10分の休憩の後,ワールドカフェ方式で森本による50分のグループワークを行いました。

受講生は消防学校を卒業後,消防の現場を半年ほど経験して救急科で学びます。救急車の出動には自殺ないし自殺未遂のケースが少なからず含まれますので,自殺の現状やその背景について学んでいただくことはこれからの活動において意味あることだと思われます。講義の方では,“自殺は追い込まれた末に起こるものである”ということを考えてもらうために,「自殺にまつわる誤解」「自殺の危険因子」「自殺の原因」「“死にたい”という気持ちをどう理解するか」「自殺企図と自傷行為」「ゲートキーパーのストレスケア」について話しました。その後,4つのグループに分かれてもらって,“現在の自殺について,何が問題だと思いますか?”“問題の解決のためにはどのような対応が可能ですか?”“あなた自身は何ができそうですか?”といった3つのテーマでグループワークを行い,最後に“変化したことと変わらなかったこと”を振り返ってもらいました。

報告

令和5年度 高松市

精神保健福祉ネットワーク事業
~自殺未遂者支援関係機関ネットワーク会議~

マインドファースト理事 青木節子

2024年2月15日(木)14:00~16:00,高松市保健センター5階会議室において,高松市保健所健康づくり推進課主催による令和5年度精神保健福祉ネットワーク事業~自殺未遂者支援関係機関ネットワーク会議~が開催された。参加関係機関は,民間,公的機関からと,助言者として香川大学医学部付属病院精神科神経科助教 木戸瑞枝氏の計21名の参加があった。最初に,高松市保健所健康づくり推進課より,高松市の自殺の現状・健康づくり推進課の自殺対策等について説明がなされた後,各機関の現状の発言があった。

各機関からの発言の中で印象に残っているのは以下である。

消防防災課より:自傷行為による救急要請が増加している。その中で,精神科・心療内科にかかっている方のオーバードーズ等入院が必要と思われる件での救急搬送されるケースにおいては,香川県下に対応できる病院が限られている。消防より受け入れ要請を8件したにも関わらず受け入れ先が決まらず,自宅へ帰るケースもあった。

警察署生活課より:救急と共に現場へ行くこともあり,明らかに入院が必要と思われる方に対して,治療してもらう場所に連れていけない事がもどかしい。生活課に電話,来所される方には,対応している。

木戸氏より:香川県下で救急を受け入れる病院はいくつかあるが,精神科・身体,両方の受け入れ先はほとんどなく,結果として医大へ搬送されることが多い。ただ,医大は教育機関としての役割もあるため,例えばオーバードーズの救急要請を全て受け入れるとしたら,すぐ満床になってしまい,極端な言い方をすれば,オーバードーズの症例しか知らない医者を育ててしまう可能性もある。←


→医大としては,多様な症状の患者を受け入れる必要があるので,断らざるを得ない場合もある。以前は,総合病院の中に精神科もある病院もあったが,現在はほとんどない。スーパー救急の動きもあったが,進んでいない。救命専門医の不足で,初期対応できる救急総合病院も少ない。実際,救急は,内科や外科の当直医が担当している場合が多い。以前精神科の医師の常勤があったが今は不在のみんなの病院さんにお聞きしたい事もあったのだが,先に帰られてしまって残念である。また,保健所の方にもお聞きしたい事があるのだが,高松市保健所の方も先に帰られてしまっている。また,警察から病院へ繋ぐ場合の指定医がなかなか見つからないという現状に関しては,医大でも指定医は一定数いるが,最近のなんとなくの流れで,72時間入院というとりあえずの応急で対応することが増えてきている。

グリーフワークかがわ杉山氏より:自殺増加率No1と言われる香川県において,各所の連携・官民を繋ぐことは,政策として考えていかないといけない。大西高松市長や香川県の保健所等にも今回のような会に参加していただきたい。

参加しての感想:救急車を呼んでも受け入れ先が見つからないという現実に驚いた。治してもらえる場所へ連れていけないという消防の立場のもどかしい思い,各機関がそれぞれの場所で,最善を尽くしているのだが,繋がった後のその先が見えない現実。別の会で,「声をあげない=困っていない」と捉えるのが行政の姿勢であると聞いた。行政に対しては声を上げ続けることが必要な事を知った。それと共に,各機関の今回出席された顔の見える方たちと共に,お互いの状況や出来る事を共有し,自殺企図者に限らず,困難を抱えている方たちとの繋がりを拡げていく事を考えていきたいと思った。


第242回理事会報告

日 時:2024年2月5日(月)19時00分~21時25分

場 所:高松市本町9-3白井ビル403 オフィス本町

事務連絡および周知事項,報告事項:省略

議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 会計に関すること(配布資料有):理事長から12月期に関する報告があり,承認された。

第2号議案 調査研究事業に関すること (配布資料有):①居場所づくり企画運営員会:1月26日19:00~20:25 オフィス本町 第5回居場所づくり企画運営員会開催,中間報告として第4・5回企画運営委員会議事録を共有した。現段階では,REPOSをぴあワークスとは別として考え,場所と人について議論している。開催については,次年度の予算のことがあるので審議が決まり次第,結果を報告することとする。次回は2月27日オフィス本町で開催する②傾聴・相談力セミナーワーキンググループ:1月28日15:45~17:00 四番丁コミュニティセンター 第4回ワーキンググループ開催。次回は3月24日に丸亀町レッツカルチャールームで開催する。以上2点が了承された。

第3号議案 テーマ募金に関すること:2/1(3週目終了)現在 募金者27名,募金額172,800円。以下の過去の額と比較するとかなり低迷している。(参考値:2022年度 35名 265,000円 最終額69名 807,380円 /2021年度39名 385,000円 最終額774,950円)引き続き2月3月会員の方の協力をお願いすることで了承された。

第4号議案 2023年度香川県地域自殺対策強化事業に関すること:①ファクトシート作成:現在構想の段階である。②ぴあワークスとピア・サポート・ラインのチラシの改訂:ぴあワークスは「メンタルヘルスユーザーを理解してご協力いただける方の参加を歓迎します」の文言を削除し,QRコードを加え,ホームページURLの表記がhttp://peer.mindfirst.jpとなっているところをhttps://peer.mindfirst.jpとする。ピア・サポート・ラインはガラ携帯の写真をスマフォの写真としQRコードを変更する。改訂年度を2024年3月1日改訂とする。③発送先は昨年度と同様で,約300部である。④発送準備作業の準備を2/12(月) 10:00~,発送準備作業を2/25(日)10:00~共にオフィス本町にて行う。作業の手順詳細はメーリングリストで送る。協力可能な方にお願いしたい。以上4点が了承された。

第5号議案 ファミリーカウンセラー養成講座業務(マニュアル)に関すること:養成講座の中身(開催場所,日時)に関しては,今回作成のマニュアルと以前のフローチャートの両方を参考にして企画する。場所の確保を考えると早めに企画することが望まれるため,3月の理事会で,次年度の計画を決定することで了承された。

第6号議案 学習会についてのアンケートに関すること (配布資料有):アンケートを行う方向で進めていき,アンケートの中身は第1案と第2案を統合した形で再度作成することで了承された。次年度の予算を決める3月末までには,アンケートを実施・集計をし,次年度の学習会に集計結果を生かせるよう検討する。

第7号議案 来年度の事業計画・予算に関すること (配布資料有):傾聴・相談力セミナーワーキンググループより159,000円の予算要求が提出された。共同募金のお金が使われるので募金額が少ないと厳しいことから内容を査定するが必要である。WG会の交通費・駐車場費・場所費については,FC会議後に同じ場所で行われていることから,経費が大幅に追加されていないが,研修会費は参加予定の研修が決定していないため予備費として金額を下げて見直し,再度理事会で検討するなどの意見が出た。審議未了で継続審議とすることで了承された。

第8号議案 リトリートたくまに関すること (配布資料有):賃貸借契約の詳細を継続審議とすることで了承された。

第9号議案 人材・組織育成事業の業務内容に関すること 配布資料有):継続審議とすることで了承された。

編集後記: 韓国統計庁が発表した「2023年人口動向調査出生・死亡統計」によると,合計特殊出生率は0.72。これは,人口減少に悩む先進諸国にとっては大きな衝撃でした。2016年,日本の18歳から34歳までの独身男女を対象にした大規模調査では,男女ともに9割が結婚の意志を持っていることが明らかになっています。また,別の調査によれば,20代後半までに結婚したい割合は,男性は,約50%,女性は,約60%です。日本は,生涯未婚率が上昇,合計特殊出生率は,1.20(2023年)で,出生数は過去最低になっています。第1子出生時の母親の平均年齢は,既に2015年時点で30歳を超えいます。政治に求められるのは,小手先の少子化対策ではなく,本来は,結婚待機世代の人たちの意志や願望が実現しやすくなる「結婚支援策」であるべきです。その政治が,政治資金規正法を巡り,裏金問題で揺れています。確定申告の時期と重なり,国民の不満と政治不信はピークに達しています。ここに到って,ドジャーズに移籍した大谷翔平の結婚発表がありました。ワイドショーはもとより,報道番組も,このところ,このニュースで持ち切りです。街頭インタビューで,大谷翔平の結婚発表への感想を求められ,困惑した笑顔で「ショック」と語る何人かの若い女性の反応が印象的でした。大谷翔平は,子ども3人家族の将来計画にも言及しています。これには,ため息が出てしまう人も少なくないでしょう。人の結婚を素直には喜べず,「ショック」と受けとめる若者の事情に思いを馳せるのも政治の仕事でしょう。「保育園落ちた。日本死ね!!!」の待機児童問題を痛烈に批判した匿名ブログから8年,結婚・出産はあくまで私事とは言え,次は,「結婚できない。日本死ね!!!」でしょうか。(H.)