マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファースト事務局:
〒760-0032 香川県高松市本町9-3白井ビル403
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☎ 090-2828-7021
https://www.mindfirst.jp/
世界メンタルヘルスデー
街頭キャンペーン
世界メンタルヘルスデーとは, メンタルヘルス問題に関する世間の意識や関心を高め,偏見を無くし,正しい知識を普及するための国際デーのことです。1992年に世界精神保健連盟(WFMH)が,10月10日を「世界メンタルヘルスデー」と定めました。
私たちマインドファーストは,2016年から毎年,世界メンタルヘルスデーのための街頭キャンペーンを行っております。今年は,10月10日(火),17:30からJR高松駅周辺で街頭キャンペーンを行いました。スタッフ4名と香川県と高松市の職員3名の参加協力のもと,チラシ「心の健康は誰のもの?」(改訂版 マインドファースト編)と手作りのシルバーリボン約300組を配布しました。
シルバーリボンは,脳や心に起因する疾患や障害,及びメンタルヘルスへの理解を促進する運動のシンボルです。シルバーリボン運動は,統合失調症への理解を求める取り組みとして,1993年に米国カリフォルニア州からはじまりました。
昨年から,10月4日から11日の日没から22時まで,高松シンボルタワーが,シルバーにライトアップがされるようになったこともあり,今年の街頭キャンペーンは,この時間帯に合わせて行いました。当日は,帰宅ラッシュの時間帯とあって,足早に家路を急ぐサラリーマンや学生が多い中,脇目も振らず通り過ぎた後,戻ってこられ,「やはり下さい」とチラシを受け取る学生風の人もおられ,
メンタルヘルスへの関心が,若い世代の人たちにも,徐々に,そして確実に浸透しつつあることを感じた次第です。
香川県ゲートキーパー普及啓発事業
マインドファースト理事長 島津昌代
2024年9月,香川県立精神保健福祉センター主催のゲートキーパー普及事業において,三豊市(11日),琴平町(13日)の2件のゲートキーパー研修会に,マインドファーストから島津が講師として派遣されました。
三豊市は対象者が職員30名で,最初に市の担当者から三豊市の現状についての報告があった後,「自殺予防のために私たちにできること」と題して,グループでの話し合いを入れつつ60分の講義を行いました。 琴平町は,対象は町民や町職員約20名で,主催者の香川県精神保健福祉センターから,香川県の自殺の現状とゲートキーパーの役割について解説があり,続いてマインドファーストから「自殺予防のために私たちにできること」の講義を行いました。
いずれの研修会においても, “自殺は追い込まれた末に起こるものである”ということを考えてもらうために,「自殺にまつわる誤解」「自殺の危険因子」「自殺の原因」「“死にたい”という気持ちをどう理解するか」「自殺企図と自傷行為」「ゲートキーパーのストレスケア」について話しましたが,特に,「死にたい」という言葉は今感じている生きづらさを表すSOSであり,落ち着いて話を受け止めること,しんどい時は弱音を吐いて助けを求めて良いのだということ,そのためには支援者自身もひとりで抱え
込まずにサポートを受けられることが大事だということを伝えました。
誰かに相談するということは,実はけっこう難しいことだったりします。それだけに,身近にいる人が,普段と違う様子に気づくことの大切さを考えていただく時間になったと思います。
小豆保健所
カスタマーハラスメント対応力向上研修会
マインドファースト理事長 島津昌代
2024年8月27日(火)13:30~16:00,小豆保健所において職員30名を対象としたカスタマーハラスメント対応力向上研修を行いました。小豆保健所では,2年前から職員でプログラムを作成し,Ⅰ 基本的な対人スキル(知識)を知る(60分程度),Ⅱ ロールプレイング等によりスキルの定着を図る(90分程度),Ⅲ ストレスケアを知る(60分程度)の3本立てで実施されていたそうです。今回,Ⅰについては事前に保健所の衛生課長が講義をされており,当日はその振り返りを受けて,今現場で気になっていることをグループワークで話し合い,その中の場面をとりあげてのロールプレイとⅢで自分たち自身のセルフケアについて学んでいただきました。
現場でカスタマーハラスメントとして問題になる事例には,無理な要求や一方的な暴言・八つ当たり他,いろんなタイプが見受けられますが,それらの背景には日々の暮らしの中での生きづらさが見え隠れしているように感じられました。地域住民の暮らしを支える行政の立場の難しさを感じつつ,こうした個々の場面の対応がゲートキーパーの役割にもなっていることを感じた研修会でした。
第250回理事会報告
日 時:2024年10月7日(月)19時00分~21時22分
場 所:高松市本町9-3白井ビル403 オフィス本町
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 会計に関すること(説明資料有):理事長島津から説明があり,異議なく承認された。
第2号議案 リトリートたくまに関すること:責任者の後任の確保が困難であるとの報告があったため,柾理事に,次回理事会の議案として提起することを要請することで承認された。
第3号議案 世界メンタルヘルスデーに関すること:10月10日午後5時30分,JR高松駅前広場へ集合,キャンペーン活動を行うことで了承された。現在,青木,上田,島津,花岡,森本に加え香川県障害福祉課の蓮井氏の参加が見込まれ,さらに会員にも参加を呼びかけること,また,来年度は,同キャンペーンチラシとシルバーリボン送付先にも,参加を呼びかけることで了承された。
第4号議案 香川県自殺対策強化事業に関すること(別紙関連資料有):①2024年度ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースの進捗状況:10月7日(日),3回目の講座が終了した。②今年度香川県自殺対策強化事業全般の進捗状況:理事長から報告があった。③ファクトシートの作
成について:増刷分としては,自殺者遺族支援のファクトシート,新規分については,テーマとして「産後うつ」「アディクションからの回復」などの案が出されたが,審議未了。ファクトシートに代えて,啓発用クリアファイルの案も出されたが,今後の検討課題とした。④ブロシュール等の作成:増刷分として「おどりば」「ぴあワークス」「HOPE」が候補に上がり,発送作業を年度末に行う。以上が了承された。
第5号議案 共同募金に関すること(別紙関連資料有):青木理事から2025年度テーマ募金活動申込書類の案について説明があり,原案通り承認された。同募金のチラシについては,募金期間を変更すること以外は,文言等は,昨年度のものをベースとして初校をとることで了承された。
第6号議案 心の健康オープンセミナーに関すること:11月5日,第2回目標記セミナーの講師会をzoomにて開催し,チラシ(案),周知方法,発送先等を協議することで了承された。また,発送準備作業は,12月7日(土)に行うことで了承された。
第7号議案 オフィス本町の整理に関すること:第249回理事会において,現状変更しないという意見が出たが,経理事務作業環境を整えるために,担当者の青木理事が島津理事長と協議して,妥当な現状変更を行うことで了承された。
第8号議案 オンラインストレージの加入に関すること:AIYAシステムから,セキュリティ上オンラインストレージの加入提案があり,加入することで了承された。
編集後記:1966年6月30日,静岡県で一家4人が殺害された事件の再審(やり直し裁判)で,58年を経て,一度は死刑が確定した袴田巌さんを無罪とした再審判決が確定しました。静岡地裁(国井恒志裁判長)は9月26日,自白した供述調書など,捜査機関による三つの証拠捏造が認められるとして,無罪を言い渡しました。この判決について,検察トップの検事総長は10月8日,控訴しないことを明らかにしました。これにより一度,死刑が確定した袴田さんの無罪が確定することになりました。袴田さんは1966年8月18日に逮捕され,2014年3月27日に釈放されるまで約47年7か月拘束されました。日本には,長年にわたり拘束を強いられ,自由を奪われながら,これまでマスメディアも大きく取り上げてこなかった別の人々の姿があります。精神科病院からの退院を繰り返し求めても認められず,長期にわたり入院させられたとして,元患者伊藤時男さんが国を訴えた裁判で,2024年10月1日,東京地方裁判所は,判決を下しました。こちらは,東京地裁の高木勝己裁判長が「入院患者に違法な拘束があれば法律で救済する道は開かれている」と指摘し「入院が長期化したのは,症状があったことや退院先の調整がつかなかった可能性が考えられる。国が施策を怠ったことで長期の入院を強いられたとは言えない」として訴えを退けました。伊藤さんは,10代のころ統合失調症と診断され,22歳で精神科病院に入院し,退院を求めても認められず,およそ40年にわたり入院が続き,地域で生きる権利を奪われたとして国に3300万円の賠償を求めていました。伊藤さんは控訴する考えで「4年間裁判で闘ってきたが,残念ながら棄却された。長期入院の問題がなくなるようこれからも訴えていきたい」と話しています。入院長期化の理由を「症状があったことや退院先の調整がつかなかった可能性」としながら訴えを退けるのは,国はこの問題から逃げているとしか言えません。こうした不作為は,袴田さんを犯人であると決めつけて捜査と拘束を進め,冤罪を生んだ国の姿とも重なります。国家権力による法の濫用によって,自由を奪われた精神科医療現場の問題については,今後も注視しながら,NPOとして必要な支援を行っていきたいと考えております。(H.)
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