年頭所感

成長~脱皮~変化に向けて

マインドファースト理事長 島津昌代

今年は「昭和百年」なのだそうである。かつて,中学時代に読んだ五木寛之のエッセイの中で「明治百年」というのを知って,なんとも不思議な気持ちになったのを思い出す。中学生にとっての100年という時間は当時の祖父母の年齢をはるかに超えて,教科書で見る苦手な近代史としか思えなかったからかもしれない。それが「昭和百年」となると,祖父母や親から聞いた話を含めると,ほぼ100年間の歴史が本の上のことではなく,リアルな語りとして自分に届いているのである。それは,三人称の出来事ではなく,自分と関係のある二人称の出来事であり,途中からは一人称つまり自分が体験してきたこととして,時代の当事者感を覚えるからでもある。

この100年間のトピックのひとつに,大人と子どもの間の存在として「若者(青年期)」が誕生したことがあげられよう。 天災や恐慌などの際に起こる金融の混乱を抑えるため,手形の決済や預金の払い戻しなどを一時的に猶予する「金融モラトリアム」になぞらえて,心理学者エリク・H・エリクソンが学生など社会に出て一人前の人間となるのを猶予されている状態を「(心理社会的)モラトリアム」として発達心理学に導入した。『自我同一性―アイデンティティとライフ・サイクル』が刊行されたのが1959年(昭和34年)で,その本の訳者だった小此木啓吾が『モラトリアム人間の時代』を出したのが1978年(昭和53年)であり,自分自身の発達課題もその概念が普及してきた時代と並走していた。

さて,当法人が誕生したのは2006年(平成18年)で,いわば今年で19歳である。普及啓発,相談支援,教育研修,技術援助・技術協力,人材・組織育成,調査研究,権利擁護,国際協力・国際交流の8事業を掲げ,模索しながらそれぞれの事業の中でいろいろな活動を行ってきた。19年の間にはそこに携わるスタッフも変化すれば,活動形態も変化してきた。事業というのは立ち上げるのも大変だが,持続させていくのも難しい。時代や人の変化と共に,求められるものも変わってくるものである。私たちも,脱皮の時を迎えているのかもしれない。

どうぞ,今年もよろしくお願いいたします。

「リトリートたくま」 リニューアルのお知らせ

2025年4月より,開催日・会場を変えて,新しいスタイルで開催します。

さまざまな事情により社会生活を営む上で生きづらさを抱えた人にとって,安心できる居場所をめざす基本方針は変わりません!マインドファーストのファミリーカウンセラーおよびピアサポーターが2名でスタッフをつとめます。

水曜グループ
参加費 無料
開催日:第1水曜日 14:00~16:00
会 場:マリンウェーブ2階 会議室
  (三豊市詫間町詫間1338-127)
対 象:生きづらさを感じている方や日常から離れてゆったりしてみたい方(年齢・性別不問)
※4/2(水)会議室③,5/7(水)は休館につき休会,
 6/4(水)会議室③,7/3(水)会議室③
土曜グループ
参加費 無料
開催日:第2土曜日 13:00~15:00
会 場:マリンウェーブ2階 会議室
  (三豊市詫間町詫間1338-127)
対 象:安心して過ごせる居場所を求めている児童,思春期・青年期の若者
※4/12(土)会議室②,5/10(土)会議室②,
 6/14(土)会議室③,7/12(土)会議室③
※水曜グループと土曜グループは開催時間帯が異なります。ご注意ください。
※会場は,いずれも「マリンウェーブ」(https://mitoyocs.jp/marinewave/)会議室ですが,開催月によって部屋番号が変更になることがあります。当日,会場にてご確認ください。
【お問い合わせ】 Tel. 090-9455-9164
※お問い合わせの対応時間:月~土 9:00~17:00
(日曜,祝日,年末年始,お盆は休みます)

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第253回理事会報告

日 時:2024年12月9日(月)19時00分~21時10分

場 所:高松市本町9-3白井ビル403 オフィス本町

事務連絡および周知事項,報告事項:省略

議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 第252回理事会議事録に関すること:①第252回理事会議事録については,個人のプライバシーにかかわる内容が含まれているため,ホームページへの掲載に当たっては,編集長が個人のプライバシー保護の観点から,文言を検討,事前に理事の意見を求めることで了承された。②標記理事会議事録未定稿を理事メーリングリストで回覧後に,当日欠席の柾理事から,理事メーリングリストにて,件名「議事録を拝見いたしました」で意見が寄せられた。この扱いについては,議事録に掲載することではないが,議事録の後に参考意見として要約を記載するという議長判断が示され,了承された。③理事会終了後に,一理事から,議長が指名した書記では,迅速に議事録を作成することが難しいため,書記を交代する意見が出されたが,これについては,議長でもあった理事長から,書記の交代の必然性は乏しいとの見解が示され了承された。

第2号議案 会計に関すること:理事長島津から資料を添えて説明があった。現在休止中の居場所「REPOS」専用の携帯電話の料金が発生しているが,この携帯電話は,当面事務局で保管することで了承された。他は異議なく承認された。

第3号議案 技術援助に関すること:香川県精神保健福祉センターから講師派遣を依頼されている2月3日の消防学校のゲートキーパー養成研修の謝金については,3時間枠を70分に変更し,同センター既定の謝金を支払うとの提案が示されているが,これについては事業担当者と詳細協議の場を持つことで了承された。

第4号議案 心の健康オープンセミナーに関すること:担当者から,12月7日に関係機関へのチラシ発送作業が終わり,セミナー当日使用するプロジェクターの予約も完了した報告があり了承された。

第5号議案 テーマ募金に関すること:チラシ発送先は12月19日までに確定すること,チラシ発送作業は,12月29日11:00からオフィス本町において行ない,カガミ文とチラシ複数枚を封入することで了承された。

第6号議案 香川県地域自殺対策強化事業に関すること:①今年度のファクトシートについては,「産後うつ」「アディクションからの回復」「SNSとメンタルヘルス」「ARMS(精神病発症危機状態)」が候補に挙げられたが,今回はマインドファーストのミッションに最もかなうものとして「ARMS」を取り上げることで了承された。②ブロシュール等の発送作業については,日程の設定を理事長に一任することで了承された。③これまでファクトシートの発送は行ってなかったが,予算の範囲内で郵送することが了承された。

第7号議案 リトリートたくまに関すること:今後のあり方について,12月11日(水)に集中審議の理事会を持つことで了承された。

第8号議案 認定NPO更新の申請に関すること:2025年4月27日となっている認定NPOの期限を更新するための書類提出を1月26日の期日までに行うことで了承された。

第254回理事会報告

日 時:2024年12月11日(水)19時00分~21時22分

場 所:高松市本町9-3白井ビル403 オフィス本町

事務連絡および周知事項,報告事項:省略

議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 来年度のリトリートたくまに関すること:①島津理事長から以下のとおり現状について説明があった。三豊市から来年度のリトリートたくまについて打合せをしたい連絡があったこと。現担当理事は,3月末を持って退会すること。来年度の打ち合わせに関しては,現担当理事は,理事会に一任すると意見が出されていること。

②リトリートたくまは,三豊市からの助成金により事業を運営しており,三豊市とマインドファーストとの共有財産であることから,今後のリトリートたくまの運営については,まず三豊市福祉課と協議の場を持つことが第一であるとことで了承された。③三豊市との協議には,香川県子ども政策課の子ども・若者孤立化防止支援事業補助金交付以来の経緯を知る花岡理事と,他の居場所でのスタッフ経験があり,居場所づくり企画運営委員会のメンバーであった植松理事が臨むことで了承された。

第2号議案 第252回理事会議事録に関すること:追記部分の記載方法や,内容,日付の訂正等が話し合われた。今回の審議は定刻になったため終了とし,理事長から13日(金)までに意見が無ければ,確定稿とする提案がなされ,了承された。

第3号議案 1月の第255回理事会の日程に関すること:1月は第2月曜日が祝日のため次回理事会は1月20日(月)とすることで了承された。

第255回理事会報告

日 時:2025年1月8日(水)19時00分~21時30分

場 所:高松市本町9-3白井ビル403 オフィス本町

事務連絡および周知事項,報告事項:省略

議事の経過の概要及び議決の結果

第1号議案 「リトリートたくま」に関すること:2024年12月11日に開催された2024年度第11回(第254回)理事会において,三豊市担当者と協議することが決まった。2024年12月25日(水)10:00~11:30花岡理事と植松理事が三豊市庁舎3階会議室に赴き,健康福祉部福祉課課長内田雅人氏,同課長補佐秋山真紀氏,同主任(保健師)関真理氏と2025年4月以降の「リトリートたくま」の運営に関して協議を行った。はじめに花岡理事が面談記録を読み上げ,2025年4月以降のリトリートたくま運営について検討が行われた。その結果「リトリートたくま」のリニユーアルということで以下の4項目が決定した。①日時:毎月第1水曜日14:00~16:00,前後30分設営,植松理事担当。毎月第2土曜日13:00~15:00,前後30分設営,対象者小学・中学・高校・大学の若者,上田理事担当。副担当は現在のスタッフに加え新たにファミリーカウンセラーからスタッフを募るために,事業説明が予定されている理事・ファミリーカウンセラー・ピアサポーター合同会議の場をかりて呼びかけること。副担当が参加できない場合は,事前の調整を行い花岡理事がスタッフとして参加する場合があること。②会場:マリンウェーブとし,上田理事が,電話で会場の予約をする。③名称:今までと同じく「リトリートたくま」とする。④運営経費(案):402,360円。以上4項目が了承され,この結果を踏まえて花岡理事が三豊市と調整を行うことで了承された。

編集後記: 第2次世界大戦中,ナチス・ドイツが多くのユダヤ人を収容したアウシュヴィッツ強制収容所が解放されてから,1月27日で80年となりました。アウシュヴィッツ強制収容所は,ナチス・ドイツがポーランド南部に建設し,ユダヤ人の大量虐殺ホロコーストの中心的な役割を担った大規模な施設です。およそ110万人がガス室などで虐殺されました。27日は強制収容所の跡地で追悼式典が開かれ,囚人たちが銃によって処刑された「死の壁」と呼ばれる場所で花をたむける追悼行事が行われました。奇しくもこの日,トランプ大統領は,コロンビアの不法移民を強制送還させるための軍用機が,コロンビア政府から着陸を拒まれ途中で引き返したことに言及し,コロンビア製品に対して25%の関税を課す懲罰を発表しました。これを受けて,コロンビア政府が,不法移民を乗せた米国の軍用機の受け入れに合意したことから,米国は報復として表明していた緊急関税や制裁の導入は当面見送ると表明,トランプ大統領は,「今日の出来事は米国が再び尊敬されていることを世界に示した」と強調しました。トランプ大統領は,連邦政府のDEI(多様性,公平性,包摂性)プログラムを廃止する大統領令も出しています。グローバル化の流れにあらがい,排外主義や一国至上主義を振りかざす大国の振る舞いによって,世界秩序は崩壊の危機にあります。安保理常任理事国のロシアは国連憲章を踏みにじりウクライナへ侵攻,イスラエルはパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃を正当化しています。ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーは第1次大戦での失地回復などを目指して第2次大戦に突入しました。移民に対して比較的寛容であったそのドイツでも,移民に反対する極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が,2023年以降の世論調査で,第2位の人気政党になっています。社会の不寛容が,国際紛争や戦争につながるという歴史の教訓が生かされにくい時代になりつつあることだけは確かです。(H.)