マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファーストは,メンタルヘルスユーザー,家族,市民一般からなるNPO 法人で,臨床心理士・精神保健福祉士・看護師・保健師・医師及びその他の支援者の協力のもとに,メンタルヘルスの推進と心のケアシステムの充実に向けて活動を行なっています。
マインドファースト事務局:
〒760-0032 香川県高松市本町9-3白井ビル403
本誌に関するお問合せは下記へお願いします。
☎ 090-2828-7021
https://www.mindfirst.jp/
2024年度心の健康オープンセミナー報告
「こころの病気とメンタルヘルス~知ることからはじめよう~」
マインドファースト理事 青木節子
令和7年1月25日に心の健康オープンセミナーにて「こころの病気とメンタルヘルス~知る事からはじめよう~」としてお話させていただきました。私が身近に関わった経験も交えながら,心の病気について,メンタルヘルスについて,そして,これから,私たちに出来る事を考える場を持っていただきました。「こころの病気」と聞いて,漠然としたイメージはあるものの,それを具体的に言語化していくと戸惑いが出てくるもの。今回のセミナーでは,参加された方が,こころの病気,メンタルヘルスについて,自分で考え,自分の見方や価値観を考えていただける機会になるように,ワークを多く取り入れました。
こころの病気は目に見えません。周囲の理解がないと孤立してしまいがちです。孤独や差別は心の病気を悪化させたりもします。こころの病気は,医療に繋がれば大丈夫では決してありません。私たちが,こころの病気の事を知る事で,はじめて,相手の事について想像できるようになり,そして,私に出来る事も考えることができます。今回のセミナーには,医療従事者の方や当事者の方,将来その道に進みたいと思われる方等色々な立場の方からの,定員を超えるお申込みをいただき,皆様の心の健康に関する意識の高さを感じています。今回のセミナーで,こころの病気について知り,ご自身のメンタルヘルスについて考え,そして,こころの病気になりそうな人も,病気になった人も,皆が,差別や偏見なく生まれて来てよかったと思える社会の実現に向けて,私たちは何が出来るかという事を考えるきっかけとなったのなら,嬉しく思います。
終了後のアンケートでは,他人事ではない事に気付いた,よい学びになった等のご意見と共に,もう少し具体的な場面や事例への対応を聞きたかったというご意見も多数いただきました。思うようにお伝え出来なかった事等,心残りは多々ありますが,今後,皆様からいただいたご意見をもとに,心の健康オープンセミナーを様々な角度から展開できるようにと思います。ご参加いただいた皆様,ありがとうございました。
ゲートキーパー普及啓発事業
香川県消防学校専科教育救急科
マインドファースト理事 花岡正憲
2025年 2 月 3 日(月),香川県消防学校専科教育救急科の生徒36名を対象にゲートキーパー普及啓発事業に,マインドファーストから講師として花岡を派遣しました。 初めに,主催者の香川県精神保健福祉センター保健師酒井悠佑氏から,香川県の自殺の状況について解説があり,引き続き,花岡から,「自殺予防の基礎を学ぶ~自殺予防の ために私たちができること~」と題した講義が行われました。「自殺とはなにか」「ゲートキーパーの役割」「自殺に関する10の神話」「自殺の危険因子と防御因子」「気づきのポイ ント~だれかが自殺をしたがっているのは,どうすればわかるのか?~」「わたしは,なにができるのか?」「自殺が起きてしまったら」「自殺未遂者への対応」「自殺を考えている人の心理」などについて,解説を行ないました。特に,自殺の可能性がある人への接し方として,自殺する気があるかないかストーレートに尋ねること,あなたが心配していることを伝える ことが大切であることを強調しました。講義の後半では,救急場面で遭遇しうる仮想事例を提示し,対応について小グループでのディスカッションの時間を持ちました。自殺未遂者及び既遂者には,精神医学的にみて,病気ないし障害の状態にあると認められるものが多いが,「精神疾患」という言葉は,スティグマを受けやすいため,自殺防止のためには,メンタルヘルス問題として取り組むことが大切であることを強調して講義を締めくくりました。
令和6年度精神保健福祉ネットワーク
~自殺未遂者支援関係機関ネットワーク会議~
マインドファースト理事 青木節子
令和7年2月13日,高松市保健センター5階研修室において,令和6年度精神保健福祉ネットワーク事業~自殺未遂者関係機関ネットワーク会議~が開催された。
出席者は香川県下の行政・消防・警察・民間団体より16名であった。
はじめに高松市健康づくり推進課谷本課長より挨拶,その後,高松市健康づくり推進課杉山氏と前田氏より,高松市の自殺の現状・健康づくり推進課の自殺対策についての説明がありました。高松市における自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は,令和5年は中核市62市のうち,最も高く22.1%増となっているとのことであった。
次に,愛媛大学大学院精神神経科学講座准教授 伊賀淳一氏による,「自殺対策の重要性」の講演が行われた。愛媛県の自殺対策計画策定委員検討会に所属していることから,高松市との情報交換ということでの講演であった。自殺対策としては,返す言葉もない程困っている場合もあるケースもあるが,悩みを聞いて充分話を聞いて何かいい解決方法はないか一緒に考えることが自殺対策としては重要であると述べられた。
最後に事例検討を通して,各団体に対して,どのような対応や支援が可能であるか?支援活動を行う上で他団体とどのような機関,団体と連携が可能か?などの意見交換が行われた。高松市消防局からは,救急搬送の場合,搬送先がなかなか見つからない問題点,警察署からは,緊急の場合,どこへ繋げばいいか分からない問題点,地域包括センターからは,65歳以上が相談対象であるが,例えば80歳の高齢者の相談から,20代孫の事情等が分かる場合がある,高松市子ども女性相談課ヤングケアラーコーディネーターからは,精神不調を抱える子どもの見守り,ヤングケアラーの増加など,各団体からの問題点,現状等の意見交換がなされた。関係機関の中で,守秘義務を守りつつ,連携という視点から,どこが何を分担するかという役割分担の必要性も語られた。
最後に伊賀准教授より,このような会を定期的に開催し,どのような人が困っていて,どのような人が自殺に至るのかというディスカッションを行うことで,自殺者を1人でも減らせるといいと思うと意見が述べられた。
愛媛県では,精神不調を抱える方のオーバードーズでの救急搬送に対しても,まずは,内科で受け入れ,その翌日に精神科で受け入れる体制があるとのこと。今回の会では,医療関係者の参加はなかったが,次回は,医療機関の参加も含めての,関係機関でのネットワーク会議が開催されると良いのではと思った。
貴重な機会をいただきありがとうございました。
第257回理事会報告
日 時:2025年2月10日(月)19時00分~21時20分
場 所:高松市本町9-3白井ビル403 オフィス本町
事務連絡および周知事項,報告事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 会計に関すること(説明資料有):理事長島津から説明があり,異議なく承認された。
第2号議案 リトリートたくまに関すること:①周知の方法:1/29(水)スタッフへの説明のさいに「リトリートたくまリニューアルのお知らせ」のチラシを渡したので,2月にリトリートたくまに参加した人に渡すことができる。リニューアルに関しては,チラシとは別に法人のホームページに掲載する,SNSのアカウントは3月末で終了とし,SNSの再開については,4月以降は担当の上田理事と植松理事が中心になって検討する。②スタッフ:現時点で1名から継続の意向が示されている。残り2名の意向を確認した後,理事・ファミリーカンセラー・ピアサポータ合同会議でスタッフ募集をする。③2/3(月)マーガレットの会での講師を務めた柾理事に報告を求めるために島津理事長が柾理事に連絡をとる。④三豊市から来年度予算書,事業計画の提出については,前回作成のものとする。⑤3/26(水)をリトリートたくま最終日として,備品の撤去の準備に入る。3/31(月)までに賃貸主が建物の現状の確認を行い,賃貸契約を終了する。以上5項目が了承された。
第3号議案 心の健康オープンセミナーに関すること:青木理事より以下の報告があった。第1回は1月25日青木節子講師,参加者27名,第2回は2月9日,松田依子講師,
参加者23名であった。第3回は3月16日花岡正憲講師が行う。第3回目は定員を30名にしているので,残り5,6名ほど参加できる枠がある。セミナー終了後アンケートを取りまとめ集計し,結果を理事会で共有する。ファミリーカウンセラーへの集計結果の開示については,慎重を期すべきであるとの意見も出た。講師の資料作成代として実費(コピー代のみ)を支給することにしているが,今後は必要経費の上限を決めておいて講師から請求書を提出することとする。いずれも今後の検討課題とすることで了承された。
第4号議案 テーマ募金に関すること: 2/10現在25名の募金者があり,募金額は156,850円である。例年と同じく今年も出足は遅い。理事はじめ会員一同のより一層の努力が必要であることを確認した。青木理事からは以下の報告があった。一般社団法人篠原欣子記念財団より共同募金会に1,063,830円の寄付があり,当法人が寄付金の使途に該当しているため助成金を受けることになり,177,305円の振り込みがあった。礼状や領収書は不要だが,上半期(9月末)の事業報告書に活動の様子が分かる写真を添付して提出することが求められている。以上が了承された。
第5号議案 香川県地域自殺対策強化事業に関すること(添付資料有):①ファクトシート「思春期に見られる気になる心の健康問題(ARMS:精神病発症危機状態)拙速な薬物療法入院を回避するために」は発注済である。初校が届けば回覧する。②ブロシュールなど発送:リストの封筒(310)の準備をAIYAシステムに依頼する。③発送作業日は,2/23(日)11:00~12:00とし,ファミリーカウンセラーやピアサポーターにメーリングリストで理事長が呼びかける。以上が了承された。
第6号議案 理事・ファミリーカウンセラー・ピアサポーター合同会議に関すること:2月23日13:30~15:00丸亀町レッツカルチャールームにおいて合同会議を開催する。合同会議の趣旨は顔合わせと意見交換である。各事業の担当者はプレゼンをする。合同会議にはAIYAシステム藤澤さんにも案内し出席していただく。13:00会場設営とし,現時点では11名の出席予定であるが20名出席を準備する。鍵は青木理事が担当する。以上が了承された。
第7号議案 マインドファート通信への報告に関すること:外部研修会や会議に参加した場合は報告としてマインド通信への原稿を投稿することで了承された。
第8号議案 マインドファースト通信の編集に関すること:マインドファースト通信は現在まで紙面構成で行ってきたが今後はWeb画面への対応を含め,編集方法の見直しについて検討する必要があるとの意見が出た。今後の継続審議とすることで了承された。
第9号議案 「おどりば」の来年度の体制に関すること:現担当者の森本理事が,今年度で理事及びおどりば主担当を辞任する。「おどりば」は,月2回(第1土曜日,第3土曜日)開催してきたが,4月からは月1回(第1土曜日)実施することにする。スタッフ2人体制を維持するために補充1名に関しては合同会議で募る。
編集後記: 以前,こんな西部劇を見たことがあります。アメリカ西部で放牧を営み平穏な日々を送っている牧場主一家のもとへ,ある日,近隣の強欲な牧場主が手下を連れて現れます。そして,牛の移動のさいの通行料と水源使用料を支払えと理不尽な要求を突きつけます。それがいやなら牧草地を明け渡せと脅迫します。これに牧場主が応じないと分かると,ならず者一家の牧場主は,執拗に立ち退きを迫ったり,嫌がらせを繰り返したりするようになります。対抗措置を取ろうにも,相手は保安官を抱き込んでいるため,牧場主は,次第に追いつめられて行きます。こうした善良で孤立無援の牧場主のもとに,俗世間と関係を断ったガンマンが現れて,一緒に戦いを挑み,敵を撃退する。そんなあらすじだったように記憶しています。「今だけ,金だけ,自分だけ」の強欲な高齢者が,市民の平穏な生活を脅かす。昔見た西部劇は,今世界で起きていることの原光景のようです。2002年1月,アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュは,テロ支援国家を非難する目的で,イラン,イラク,北朝鮮を指して「悪の枢軸」という言葉を使いました。その同じ国の主が,今は,高関税,領土や運河の支配権,鉱物資源やレアアースの利権の主張など,経済テロを仕掛けていると見ることもできます。こうした中で,国際連合という保安官には期待できず,略奪者を追い払ってくれる「七人の侍」G7も機能せず,新種のテロとの戦い方に苦慮しているのが現状でしょう。西部劇の話は,広大なアメリカ大陸のどこかで,外部の人たちの目に触れることなく起きていたことですが,今起きていることは,世界史の表舞台で起きていることです。ネット社会の今日,一人一人がWatchdog(番犬,監視人)となり,抗議の声をあげて行くこと,それがなりふり構わぬ威嚇を退ける一番の近道のように思います。(H.)