介護労働安定センターの依頼を受け,10月27日に認知症高齢者グループホームにおいて『従業員のストレス軽減について』というテーマで講話をしました。夜間にもかかわらず15名の参加がありました。
認知症高齢者グループホームとは,『小規模な生活の場(5〜9人の少人数を単位とした共同居住形態)において,食事の支度,掃除,洗濯等を利用者が共同で行い,一日中,家庭的で落ち着いた環境の中で生活を送ることにより,認知症の進行を穏やかにし,家庭の負担の軽減に資するものである』と定義され,認知症による様々な機能低下を補い,安心と意欲を生みだす生活空間とケアサービスを総合的に提供する場であるとされています。今回は,そのような職場で働いておられる介護者のストレス対策についての学習会でした。
講話の前半では,人の健康についての振り返りを導入部分におき,身体的健康に関する腰痛・肩こり・高血圧・めまい・歯周病など主訴の多いものについてその予防法も含めてお話しました。病気には個人の努力だけでは防げないものもありますが,日常生活のなかで予防できるものは予防していくという健康観が必要です。特に若年層の方にはご自分の健康をよりよい状態にしていく健康習慣を身につけて欲しいと思います。
次に精神的健康とはどのような状態か,ライフステージにみる精神保健,家族の発達課題について触れました。このなかでは,人を対象とする介護者は自分自身が抱えておられる課題について認識していただくことをねらいとしました。
後半部分で介護従事者の不満とストレスの原因を(1)労働条件(2)従事業務の量と質(3)利用者との関係(4)勤務先や上司との関係(5)同僚との関係の5つの側面からグループ討議しました。受講者自身が介護現場で感じておられるストレス内容では,(1)仕事の内容の割に賃金が低い(2)夜勤時に何か起こるのではと不安(3)入居者への対応について(4)同僚との関係(5)身体の疲れなどがあげられました。これらは財団法人介護労働安定センター「介護労働者のストレスに関する調査報告書」と同様傾向であり,国レベルでの早急な対策が期待されます。
人の生活においては毎日新しいストレスが起こります。それらのストレスを積み重ねていくのか,毎日少しずつでも解消していくのかによりストレスの感じ方に大きな違いがでてきます。自分自身の心のクセを知り早めの対策を心がけることがストレス対策に有効でしょう。(本文は,2009年10月27日介護労働安定センターの依頼によって行なわれた