大切な人がうつ病になったら
−うつ病の人の家族や友人になにができるか−
WFMH啓発パケット(2010)
うつ病とその家族のための2010年度ガイドラインが,WFMH(世界精神保健連盟)から示されました。今回は,その中から,うつ病の人にとって大切なライフラインともいえる家族や友人の役割の項を要約して以下にご紹介いたします。
あなたに何ができるか:うつ病の程度にもよりますが,できることはいろいろあります。
語りかけ,耳を傾ける:あなたの愛する人とうつ病について話をすることが大切です。どのような気持でいるのか尋ねてみましょう。無理強いするのは良くありませんが,気軽に,またオープンに,こうした会話ができることで,当人はあなたがいつでも助けてくれると思えるようになります。気分が沈んでいるとき,何が一番助けになるかを聞くことも大きな救いになります。当人がなにか話したいことがあるときは,いつでも話を聞くことができるということを伝えておくことが大切です。
「うつ病」を理解する:病気の症状や経過や治療など,うつ病について理解を深めておきましょう。病気のとき当人はどのように感じているのかよく分かるようになります。また,回復に向かうときは,どのような過程をたどるのかを知っておくことも役立ちます。
治療を援助する:うつ病の人を支援する上で重要なことは,服薬,受診,それ以外の必要なサポートを受けるなど,健康の回復過程を維持するための共同作業です。忘れずに薬をのんでもらうとか,受診や相談のための予約をとることを手伝うとか,改善が見られないときは別の医療機関や支援をすすめてみるといったことがあげられます。
適切なヘルスケアサービスについてアドバイスする:うつ病でない人にとっても,多くの社会資源に関する情報の中から,どれが利用でき,どれが適切なのかを見極めるのは難しいことです。あなたの大切な人が,どの相談医療機関へ行けば有効な支援を得られるか,援助することは非常に大切です。
自殺の注意信号に気づく:うつ病の人は,自殺を図る傾向が高いことを知っておきましょう。自殺や死にたい気持ちをほのめかすどんな言葉も,まじめに受けとめることです。まさか本当に自分を傷つけることはないと思っても,当人が苦しんでいることは事実だからです。
日常生活を支える:うつ病の人は日々の基本的生活が困難になっています。さほど重篤でなくとも,うつ病になると,普段の簡単な課題をこなすことが,億劫で,難しくなります。こうした時期は,ソファーから起き上がったり,シャワーを浴びたり,食事をしたり,新鮮な空気を取り入れることにも,なんらかの援助が必要になります。買物や部屋の掃除や集金の支払にも手助けを必要とすることがあります。
子どもの世話を援助する:うつ病の人に子どもがいるときは,子どもの世話をするために援助が必要です。学校の送迎,宿題の手助け,地域活動への参加,読み聞かせ,食事や基本的欲求の充足などがあげられます。
日々の規則的活動の支援:うつ病になる前にやっていた活動を続けるようにすすめてみましょう。テニスをやっていた人であれば,ついて行くからプレーをしてみないかと提案してみても良いでしょう。毎週2人で映画に行っていたのなら,それも続けてみましょう。職場復帰についても手伝えることはあります。ただ,当人にその気がないときは無理強いをしないで,現状の生活を維持することも大切です。
あなた自身のサポートを大切に:大切な人のうつ病を支えることは,やりがいがあることですが,なかなか骨が折れることでもあります。一人で抱え込まず,他のうつ病の家族や地域のサポートグループと連携を取って行きましょう。
うつ病についてさらに理解を深める:うつ病の人がなぜそうした言動をとるのか知っておきましょう。これは人と病気を区別するために大切なことです。当人があなたに対してとる言動が,あなたという人物に向けられたものではないことが分かるはずです。
自分を第一に考える:気がとがめるかもしれませんが,自分の家族の面倒を見るためには,まず自分自身の楽しみの時間を持つことが大切です。
気晴らしをする:家族から離れてリラックスできる時間を持ちましょう。スポーツ,友だちとの付きあい,音楽鑑賞,散歩などが考えられます。
誰かに自分の気持ちを聞いてもらう:うつ病の人とともに暮らし,世話をしていると,あなた自身他の人とは違うのではないかと孤独感を覚えるようになります。特に同じような境遇の人に話をすることは大きな助けになります。(Depression: What You Know Can Help You, Helping Someone You know Depression, 2010 WFMHから要訳 花岡正憲)
第44回理事会報告
日時:2010年4月12日(月)午後6時30分〜9時00分
場所:高松市男女共同参画センター 第1会議室
議事の経過の概要
事務連絡および報告:省略
第1号議案 2010年度ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースに関する事項:4月9日の募集締切前に定員を越える申し込みがあり,受講申込者の確定作業が行われた。
第2号議案 2010年度事業計画及び総会の準備に関する事項: 2009年度収支決算報告並びに2010年度収支予算案作成に必要な基礎資料を次回理事会までに準備することで了承された。
 編集後記: このところの寒さは「北極振動」によるものと知りました。4月から暖房が止まった会議室で,2010年度総会と5月9日からスタートするファミリーカウンセラー養成講座に向けて,季節はずれの寒さに耐えながら準備に追われる日々です。(H)