2010年度地域自殺対策緊急強化基金事業 マインドファースト 3事業への取り組み
マインドファーストは,昨年来,地域自殺対策緊急強化基金事業補助金交付について,香川県当局と協議を重ねてきましたが,6月11日の県当局との最終的協議を踏まえ,2010年度は,3事業について取り組みを進めることを確認し,正式に交付申請を行なうことになりました。以下が,その事業概要です。
対面型相談支援事業:自殺の背景要因となる心の健康に関する相談を行なうとともに,自殺予防をはじめ地域で心の危機という視点で相談援助等の実務(プラクティス)を行う人たちと連携を図る中で,心の危機にある人に対してアウトリーチを含めた,タイムリーで適切な相談支援事業を行う。
普及啓発事業:自殺問題については,誤解や偏見がなお根強いため,地域社会の人々の自殺と自殺予防に関するリテラシー(知識)を高めることにより,自殺問題と自殺予防のニードが身近なものとして意識化されることを図る。また,自殺を考えている人と家族や関係者に対しては,当事者意識を喚起することにより,早期に相談援助に向けての行動を起こす可能性を高め,自殺予防につなげる。また,自殺者遺族にあっては,早期に相談援助を求めて行動を起こすとともに,コーピングスキルやソーシャルスキルを発展させ,心理社会的困難と自尊感情の回復につなげて行く。こうしたことを目的として,2種類のファクトシートを作成し,関係者に配布する。
強化モデル事業:自殺する人が多いにもかかわらず,世間の古い慣習から,自殺した人の家族や関係者が差別され,孤立してしまうことが少なくない。そのため,家族や関係者に,精神的ないし身体的健康問題が生じたり,日常生活や社会生活を送ることが困難になったりすることがある。自殺で大切な人を亡くした人たちのグループミーティング を定期的に行い,悲しみや嘆きの感情が長引き,必要な支援が得られず心理社会的に孤立しがちな遺族を支える。
第47回理事会報告
日時:2010年6月14日(月)午後6時30分〜9時00分
場所:高松市男女共同参画センター 第1会議室
議事の経過の概要
事務連絡および報告:省略
第1号議案 定例会に関する事項:当事者活動の端緒となることを期待して定例会を開催したいとの提案があり,7月から毎月第3日曜日,16時〜17時,高松市男女共同参画センターにおいて開催することで了承された。スタッフは2名で担当。広報手段の詳細は,相談員会議で打合せを行なうことになった。
第2号議案 オンラインストレージに関する事項:理事間でのやりとりをする文書ファイルの共有化のために,オンラインストレージ導入の可否について審議を行った。オンラインストレージとメーリングリストそれぞれのメリット及びデメリットについて解説があり,審議の結果,日常的にはメーリングリストを使用,月ごとにストレージにデータを移動し保管することで了承された。
第3号議案 フォークス21メールフォームに関する事項:現在フォークス21の連絡窓口が電話のみであるため,幅広い情報収集を目的として,フォークス21の事業に関する問い合わせ専用のメールフォームを開放してはどうかと提案があった。審議の結果,名称を「事業に関するご意見箱(仮称)」とし,開放することで了承された。
第4号議案 香川県地域自殺対策緊急強化基金事業に関する事項:香川県地域自殺対策緊急強化基金事業について,6月11日,香川県担当者との間で協議が持たれ,今年度は,対面型相談支援事業,普及啓発事業及び強化モデル事業の3事業に取り組むことを確認するとともに,事業スケジュールを提示し,経費面での細かな詰めの協議を行なったとの報告があった。特に対面型相談事業については,新規事業であるため,事業実施にあたっては,実績評価や情報開示等の問題について,今後とも県側との協議が必要となる課題であることが確認された。
第5号議案 相談室の物件に関する事項:対面型相談事業のための相談室物件の紹介があった。高松市内において,月・水・金曜日以外が使用可能な物件があり,当面火曜日と日曜日を賃借する方向で話を進めて行くことになった。
第6号議案 他NPO法人からの講師派遣依頼に関する事項:先方のワーカー6名を対象にしたグループスーパービジョンを行うため,7月から毎月1回向こう1年間,当法人から講師1名を派遣するための契約を締結することが了承された。
第7号議案 フォークス21サポートセンター長の人選に関する事項:フォークス21の管理運営責任者として,フォークス21センター長の人選をすることなった。審議の結果,当面,理事長が代行することで了承された。
第8号議案 医療機関との連携に関する事項:当議案については,相談員会議で詳細を協議することで了承された。
第9号議案 その他:ファミリーカウンセラー認定作業のスケジュール調整の提案があった。
お知らせ 7TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON EARLY PSYCHOSIS
2010年11月29日から12月1日まで,オランダ,アムステルダムにおいて,国際初期精神病協会(IEAP)主催の第7回初期精神病国際会議が開催されます。この会議は,IEAPが,1996年以来,精神病に対する従来の人々の考え方や取り組みに挑戦してきたもので,今日まで精神病者とその家族の生き方を大きく変える上で,飛躍的な進歩がありました。今回は「初期精神病:ライフタイムからみた展望」をテーマに掲げ,特に精神病状態への早期介入と通常の統合失調症へのケアとの関連性について,実践報告や新たな技術開発について意見交換が行なわれます。www.iepa.org.au/2010
 編集後記:5月からはじまったファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースも残すところ1回となりました。昨今,なにかと学校,職場,地域社会の責任が問われることが多い中で,社会の基本単位である家族の役割が忘れられがちです。個人の情緒的安定と成長を支え,精神及び行動の障害を予防するという視点から,あらためて家族本来の機能を捉えなおすことが求められているように思います。(H)