香川県自殺対策連絡協議会のマインドファ−ストの役割
マインドファースト理事 内海康則
昨年のマインドファースト通信No51(2009年8月)でご紹介いたしました「香川県自殺対策連絡協議会」が9月2日に香川県庁で行われ,マインドファーストは今年度も出席をいたしました。近年マスコミで大きく報道されていますが,平成10年から日本の自殺者が12年連続3万人を超え大きな社会的な問題となり,この社会的な問題に歯止めをかけるために,都道府県はより強化な自殺対策に取り組んでいます。
厚生労働省の資料では,平成21年中の全国の自殺者数は30,649人に対して香川県は205人です。自殺死亡率は全国値が24.4に対して香川県は20.7と低い数値ですが,昨年度と比較をすると全体的に自殺者および自殺死亡率ともに増加の傾向にあります。現在私たちが取り組んでいる自殺予防対策は短時間で効果があらわれるものではなく,長期的な展望に立ち根気強く行うことで結果を引き出していくものだと考えられます。
今回の協議会で発表された各団体の取り組みの内容は昨年度から実施している取り組みを中心に展開している団体,または従来の取り組みに加え新たな事業を加え活動している団体がありました。基本的には各団体の持っている特性を生かし多くは啓発活動を中心に講演会・セミナーの開催,研修会などを経て人材の養成を行い,中には今年度から研究プロジェクトを結成しメンタルヘルスの向上を目的としたリーダーを養成する団体がありました。
そこでマインドファーストの取り組みについてご紹介をいたします。平成21年度は,自殺で大切な人を亡くした方のためのグループミーティング「サバイビング」を実施して,遺族同士の気持ちの分かち合い,遺族のケアを中心に携わりました。平成22年度は前年度の事業に加え地域の自殺対策を強化するために「地域自殺対策緊急強化基金」の交付を受け,新たに相談支援事業と普及啓発事業の2つの事業を展開することになりました。相談支援事業については,対面型でマインドファーストの認定ファミリーカウンセラーが個別に相談もしくは面談に応じます。普及啓発事業は,自殺予防のファクトシートを製作して行政機関のメンタルヘルス関係部署,企業,病院,教育機関,報道関係等に配布をし,組織を介して広く地域の人々に関心を高めることを目的にしています。
マインドファーストの自殺予防対策の取り組みは「香川県自殺対策連絡協議会」の一部に過ぎませんが,各々の団体の取り組みを一つの施策として集約して香川県内に発信することが人々の関心を高め,利用する人々の選択肢を広げ意義のあるものになると思います。
注:2009年の日本の総自殺者数は,厚生労働省統計で30649人,警察庁統計で32845人と,厚生労働省と警察庁で数字が異なる。
第50回理事会報告
日時:2010年9月13日(月)午後7時00分〜9時00分
場所:高松市男女共同参画センター 第1会議室
議事の経過の概要
事務連絡および報告に関する事項:省略
第1号議案 ファミリーカウンセラー資格認定作業に関する事項:9月12日(日),第1回資格認定面接を実施。第2回資格認定面接は19日(日)に行う。ファミリーカウンセラー資格認定後のタイムスケジュールについて確認が行なわれた。
第2号議案 グループホームを運営するNPO法人のホームワーカーに対するスーパービジョン(SV)に関する事項:依頼元NPO法人理事長から,当法人から派遣しているSV担当者に対して,SV対象者に関する評価をされたいとの申し入れがあった。SVは1年間の委託契約を結び,本年7月に始まったばかりである。人材育成には一定の時間を要し,また,SV対象者の参加意欲を引き出すには,委託元法人側からの働きかけも欠かせない。当面,所与の条件でSVを継続し,適当な時期に両者間でSV事業の相互評価の場を持つことが望ましい。こうした当法人側の見解をもって,理事長が委託元理事長に連絡をとることで了承された。
第3号議案 町社協からの講師派遣依頼に関する事項: 対象者から考えると,身近なわかりやすいものをテーマにするのが良いだろうとの意見が出,情報提供を行うという意味から,MFが行っている事業の紹介を通して,色々な社会資源があることを知ってもらう内容とする。具体的には,大テーマを「家族」とし,「サバイビング」「おどりば」「CSC」「フォークス21」などの活動を取り上げ学習会を持つ。
第4号議案 香川県地域自殺対策緊急強化基金事業に関する事項:9月12日,県内208箇所の関係機関に対して,対面型相談支援事業並び強化モデル事業のブロシュールの発送作業を完了した。また,基金事業については,県レベルで今年度予算の未執行分があることから,香川県健康福祉総務課へ今年度予算の補正が可能であるかどうかを打診することで了承された。
第5号議案 その他:省略
県下の関係機関208か所へ発送
香川県地域自殺対策緊急強化基金事業のブロシュール
2010年度,マインドファーストは,香川県地域自殺対策緊急強化基金事業補助金の助成を受けて3つの事業を行ないます。9月12日,県下の関係機関宛に,そのうちの2事業,対面型支援事業並びに強化モデル事業のブロシュールの発送を行ないました。発送箇所数は208,発送合計部数は各事業それぞれ3,328でした。
 編集後記:10月1日からたばこが値上げされます。今回は,喫煙率を下げたいという厚生労働省が,税収の落ち込みを恐れる財務省を押し切った形です。先日,レストランで禁煙席を求めたところ,健康増進法は強制ではありませんので,という店主の答えが返ってきました。たばこを吸わない人は受動喫煙を我慢して下さい,でなければ他の店へ行って下さいと言わんばかりの勢いでした。健康に害があるたばこを買わないだけでなく,もっともな主張をする一部のユーザーに優しくない店の商品は買わないことも大切だと思います。(H)