現段階のニードへ対応するために:復興・復旧活動の中での環境変化に伴い,注意深いアセスメントが必要である。津波等の恐れが少なくなるにつれ,避難所生活を送っていた被災者の多くが自分の家へ帰って行く。PTSDなどメンタルヘルス問題のリスクがあったり,すでに問題が起きていたりするにもかかわらず,避難所生活をしなくなることで,MHPSSを受けられなくなることがある。例えば,ある市では,震災以来,自殺者が顕著に増加したという非公式の報告があり,避難所の外に住む40歳代から50歳代の人に最も高かったと言われている。(もっとも,避難所生活を送る人の間にも自殺は起きている)このように,あらゆる被災者のニードにかなうように,丁寧なMHPSSを実施することが求められる。
仮設住宅への入居がはじまるにつれ,政府は,自治体に呼びかけて,震災前の地域共同体(local community)を維持し,「孤独死」を防ぐことに取り組んでいる。これは阪神淡路大震災の経験によるものである。阪神淡路大震災では,くじ引きで仮設住宅入居を決めたため,地域の絆を破壊し,235人が孤独死したとされる。しかし,今回も仮設住宅入居希望者数が,入居可能数をはるかに越えたため,くじ引きを行なわざるを得なかったことも事実である。
支援者には,継続性と一貫性を持って被災者の生活とコミュニティの再建に共に取り組む「覚悟」というものが必要だと思います。今回の原発事故は,安全神話の中で,事実に関する情報が少なくなっていたことによる人災の側面が大きいと言われています。「心のケア(Kokoro no kea)」も神話にしないために,未曾有の災害の中で,被災者が生活者として体験する事実を一つひとつ大切にすることが求められていると言えるでしょう。
(要訳 マインドファースト通信編集長 花岡正憲)
日時:2011年4月18日(月)午後6時30分〜9時00分
場所:高松市男女共同参画センター 第1会議室
議事の経過の概要
事務連絡および報告に関する事項:2011年度香川県地域自殺対策緊急強化基金事業補助金事業(以下「基金事業」)について,県から補助金額の内示があった。その他省略。
第1号議案 2010年度事業報告ならびに収支決算書に関する事項:2010年度事業報告(案)について記載事項の確認が行なわれた。2010年度収支決算(案)について,事務局が説明に必要な情報を持ちあわせていなかったため継続審議となった。
第2号議案 2011年度事業計画と予算編成について:2011年度の予算,事業計画は2010年度収支の確定後,集中審議をとり行う。
日時:2011年4月27日(水)午後6時30分〜9時00分
第1号議案 新年度予算の集中審議:本議案の審議に先立ち,第58回理事会において継続審議の2010年度収支決算(案)について,不明な点があるため,近日中に理事会を再度招集し,担当理事に説明を求めることとした。
2011年度予算関連では,基金事業の一つ対面型相談支援事業については,7回目以降の相談は,フォークス21の有料相談で対応可能であること,また,第5号議案の審議事項の一つであるサバイビングの参加費については,少なくとも基金事業実施期間中は無料化にすることが妥当であることから,一般財源からの拠出額を減額することで承認された。これ以外の2011年度予算案については,新規事業も含め概算額が示されたが,集中審議にはいたらなかった。
第2号議案以下第4号議案までと第5号議案の一部は審議未了となった。
|
|
|
|
編集後記:土砂で覆われた農地,おびただしい瓦礫の吹き溜まり,押し流された家々が点在する荒野,累々と横たわる車と道路に乗り上げた漁船,そして,建屋が吹き飛んだ福島第一原子力発電所。震災から2か月半,グーグル・アースは,いまも東北地方沿岸部の破壊の凄まじさを写し出しています。私たちのコミュニティは,今大きな危機の中にあります。5月22日,マインドファーストでは,家族の危機に問題意識を持った人たち15名で,2011年度ファミリーカウンセラー養成講座・基礎コースがスタートしました。(H) |
|
|
|
|