2012年度香川県自殺対策連絡協議会参加報告
マインドファースト事務局長 三好千秋
9月4日,H24年度の香川県自殺対策連絡協議会が開催された。H10年より年間の自殺者数が全国で一挙に8000人余りが増加し3万人を超えた。平成18年には国を挙げて,自殺対策基本法が施行され,今年5年ぶりに自殺総合対策大網が見直しされた。“誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す”のスローガンのもと,課題として地域レベルの実践的な取り組みを中心とする自殺対策への転換が挙げられた。基本認識として,“自殺はその多くが追い込まれた末の死”“自殺はその多くが防ぐことのできる社会的な問題”“自殺を考えている人は何らかのサインを発していることが多い”である。
当面の重点施策としては,“自殺の実態を明らかにする,国民一人ひとりの気づきと見守りを促す,早期対応の中心的役割を果たす人材を育成する,心の健康づくりを進める,適切な精神科医療をうけられるようにする,社会的な取り組みで自殺を防ぐ,自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐ,遺された人への支援を充実する,民間団体との連携を強化する。”の9項目が挙げられている。特に若年層への取り組みの重要性を自殺未遂者について大きく記述された。その他,インターネットを活用した情報の集約,提供の強化,弁護士,司法書士,薬剤師等の様々な分野でのゲートキーパーの養成,いじめ問題への対処,児童生徒に対する,困難・ストレスに直面したときの対処についての指導,認知行動療法の普及,適切な薬物療法の普及,救急医療において精神科等によるケアが受けられる体制つくり,職場におけるメンタルヘルスに関する研修,大規模災害における心のケア,生活再建等の推進が強調された。
年間自殺者数を当面20%減少させることが目標として挙げられている。
推進体制としては,“国,地方公共団体,民間団体等が連携・協働するための仕組みや,施策の実施状況を検証し,効果等を評価するための仕組みを設ける。”
2011年は全国の年間自殺者数は2万8千人で3万人を切った。一方,香川県では2011年総数では過去最高の239人,前年より23人増であった。男性169人(16人増)女性70人(8人増)となり,2008年より年々,増加の傾向である。人口10万人当たりの自殺者数は,2011年全国が22.9,香川県は24.3で,全国ワースト13位となった。男性は50代,60代が多く,70代が10人もの増加があった。女性は40代60代が多く,20代,40代が増加が目立つ。
香川県の自殺の主な理由は,男女ともに健康問題が多く,男性は前年より健康問題を理由としての自殺が減少,男女問題,経済生活問題が増加している。女性は経済問題の理由が減少し,家庭問題,男女問題を理由とする自殺が増えている。
県内の各団体H24年度の取り組み報告では,香川県教育委員会がいじめの現状と対策について,比較的多くの時間が費やされていた。香川県のいじめの認知件数はここ5年減少傾向にあり,「24時間いじめ相談電話の設置」「いじめゼロ子どもサミット」の実行委員会を児童生徒が自主的に行っているとの報告であった。
県内の自殺対策緊急強化基金事業は,現在5市2町,4団体が行っており,今後3団体が増えるとの報告であった。NPO法人の報告はグリーフワークかがわとマインドファーストの2団体で,マインドファーストとしては,10月よりスタートする電話相談事業,人材育成としてのファミリーカウンセラー養成講座,啓発事業としてファクトシートの作成,配布,自殺者遺族の会,対面型相談事業の5事業について報告した。高松市保健センターでは自殺未遂者の相談支援を,県精神保健福祉センターでは,救急搬送された自殺未遂者の訪問ケアを行っているとのことであった。 香川大学医学部が,サポーター養成講座,サポーターを養成するコーディネーター養成講座,コーディネーターを養成するインストラクター養成講座という3段階の養成講座を行っているとのことであった。また,大学では香川県民のメンタルヘルスの実態調査を行ったということで,近くHP上で公開されるとのことであった。←




→香川県では依然として,自殺者が多く,県民がさらに知恵を絞り行動することが求められていると感じられる会議であった。
第86回理事会報告
日 時:2012年9月10日(月)19時00分〜21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡並びに報告に関する事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 ピアサポートラインのチラシ及びPRカードの広報・発送に関する事項:チラシについては,ピアサポートの意義についての記載を行なう。相談時間は1回30分・一日1回の相談とすることを明記する。事務局の住所,電話番号は削除する。発送先を選定し,9月26日15時より本町にて発送の作業を行うことで了承された。
第2号議案 ファミリーカウンセラー認定面接に関する事項:理事長より面接日時が示され,認定員の面接割り当てについて,理事長がメーリングにて認定委員の日程調整を行い,任命することで了承された。
第3号議案 CSCブロシュールに関する事項:業者より,本日完成の連絡があった。サバイビングのPRカードができ次第,同時に発送及び広報を行なうことで了承された。
第4号議案 相談員活動規定に関する事項:第85回理事会で決定した同文書をメーリングで理事に送ることで了承された。
第5号議案 フォークス21運営委員会運営規定及びフォークス21運営委員会要項に関する事項:見直しの必要があり,改廃も含め継続して次回の理事会で検討する。また,合わせてファミリーカウンセラー会議運営規定の策定を検討することで了承された。
第6号議案 相談事業の活動報告の様式に関する事項:理事長が示した様式が承認され,サバイビング,おどりば,ピアワークス,CSC,フォークス21の報告を毎月理事長に提出することで了承された。ファミリーカウンセラー会議では少なくとも口頭での報告とすることで了承された。
第7号議案 ピアワークスのスタッフ変更に関する事項:ピアワークスの管理運営を会員に任せても良いのではないかとの意見が出たが,現状では,ピアワークスはマインドファーストの管理下で行なわれているため,スタッフはファミリーカウンセラーが継続することで承認された。
第8号議案 2013年度自殺対策関連公的助成事業に関する事項:担当理事より,現在いじめ自殺の問題でスクールカウンセラーの増員などの方針を国が打ち出しているが,マインドファーストが教育委員会等と協働で出来ることがないかの検討をす
るためにも,情報収集をする必要についての提案があり,その方向で動くこが承認された。また,来年度の香川県地域自殺対策緊急強化基金事業については県の担当者から情報を得ることが承認された。
第9号議案 今年度香川県地域自殺対策緊急強化基金事業に関する事項:事務局より,経費と相談件数の報告書が提示された。
寝不足は悪夢の原因?
日曜日に朝寝をすると,月曜日は一日眠たく,仕事がきつくなる。うたた寝もせずに,8時間働ける何か良い方法はあるのだろうか。週末の朝寝は,少し後ろめたさもあるが,楽しみでもある。それに,週末の朝に,普段よりも1〜2時間長く寝ると,ウィークデイの寝不足が解消できるのではないかとは,誰もが考えることではある。しかし,最近の研究によれば,朝寝坊で,エネルギー水準を回復することはできず,かえって朝の寝起きが悪くなり逆効果であることが明らかになっている。体内時計が狂ってしまい,月曜日は,普段よりも疲れを感じやすくなると言う。
「寝不足のつけ」は,遅く床について,さらに遅く起きるのではなく,普段起きる時刻の8時間前に床につくことでしか埋め合わせができないことが,テキサス・サウスウエスタン大学の研究で明らかになっている。体内時計は,24時間サイクルで動いているため,睡眠パターンが変化すると,完全にリセットされてしまう。日曜日の夜は,なかなか寝つかれず,それだけ翌日の月曜日は起き辛くなる。もとの睡眠パターンにもどるまでに2〜3日はかかると言う。
金曜日と土曜日は,どうしても夜更かしをしたくなり,土曜日と日曜日は,朝寝をしたい。こうして,体内時計が,2時間近く遅れてしまい,月曜日の朝は意識もうろう状態になる。長く寝るとそれだけ睡眠効果は薄れてしまう。本来の回復のため必要な睡眠,すなわち最もリラックスした状態のレム睡眠がなくなり,長い時間を使って,浅く眠るだけになってしまうと言う。
(この項次号へつづく)(theage.com.au “Life&Style” 2012年9月20日号から要訳)
 編集後記:本稿担当者の悪夢。〜領土問題で近隣諸国との緊張発生〜ナショナリズムを煽る政治手法の復活〜覇権主義の台頭〜外交交渉の破綻〜国際的孤立〜内政の行き詰まり〜国連からの脱退〜戦争〜食料及びエネルギー事情の悪化〜花屋の廃業とメンタルケア従事者の失職〜。戦争に大儀があるとする国は,兵士に対してメンタルケアをしながら戦わせ,戦死者には花を手向けるでしょうが,そもそも戦争には大儀はありませんから,戦争となれば,早晩,お花畑も「心の理論」(先月号参照)も,枯れて行く運命をたどるでしょう。こんな悪夢が正夢にならないことを願っております。(H)