老人保健施設職員研修
「職員のストレス対策」
NPO法人 マインドファースト理事・事務局長 三好千秋
マインドファーストでは,技術援助事業として,講師派遣を行っています。1月8日に介護労働安定センターからの依頼で,老人保健施設へ「職員のストレス対策」のテーマで職員研修を行ってきました。その時の内容についてお知らせします。
ストレス対策の基本を4つあげました。(1)ストレスということを理解し,受け入れる。(2)自分の症状を自覚する。(3)自分にあったやり方を実行する。(4)日頃からストレスに備える。
まず,ストレッサーにはどのようなものがあるのか,自分でその状況をコントロールできないストレッサーは脅威が大きいといえます。
ストレス時には不眠,食欲不振,頭痛,肩こり,生理不順,いらいら,ゆううつ,不安,無力感,拒食,過食,アルコールへの依存など,様々な症状や生活の変化がおこります。自分の状態を客観的に判断して気づくことから対策が始まります。
次にストレス対処には,大きく分けると問題そのものに対処するということ,問題を変えることは難しいが自分の感情について対処するという2通りが考えられます。
問題そのものを解決する時には,あらゆる手段を使ってみる必要があります。専門家の力や他人の力をかりることも有効です。やっかいなのは,自分の感情にどう対処するかということで,自分の考え方(認知)の仕方を点検し,自分の捉え方の癖にまず,気がつくことが重要です。次のような捉え方をするとしんどいものです。
“根拠のない思い込みをする”“悪いことばかりに注目する”“物事を自分にひきつけすぎる”“白黒思考”“完璧主義”など,「・・・・でなければいけない」より「・・・であればよいがそうでないこともある」というグレーな判断ができれば気持ちが楽です。
認知を変えるために,ものごとを一歩しりぞいて冷静に考えたり,“どうにかなる”“妥協する“つらいことも出来事をそれはそれでよい経験だと捉えることができるようになれば上級者です。自分でやってみるのは難しいこともありますので,カウンセリングの中で話し合うことも一つの方法です。
その他,感情の対処法には自分の周りの人たちに話をきいてもらうこと,さらに共感してもらえるとサポートになりますので,日頃から,家族,友だちなど人との関係が良好であれば,いざという時にも頼りになるものです。
私たちが生きていく中では様々なことが起こります。人生はストレッサーの連続ですし,それが人生ではないでしょうか。ストレスを乗り越えることで成長するきっかけにもなり,ストレッサーは悪いばかりではありません。いくつになっても,自分の乗り越えられそうなストレッサーに挑戦していきたいものです。