講師派遣 香川高等専門学校詫間キャンパス
       学生相談室講演会
認定ファミリーカウンセラー 浅海明子

2013年2月12日(火)15時から約1時間,香川高等専門学校詫間キャンパス学生相談室講演会に『若者を自殺から守るために』というテーマで講演させていただきました。
「学校職員対象だからといっても専門的な内容ではなく易しい内容のものを」とご希望いただいたこともあり,具体的で分かりやすい講演をこころがけました。講演では,まず冒頭で自傷行為をしているA男の事例を提示し,A男への実際的な対応を考えていただくためのヒントという意味でその後の話を進めていきました。
まずは「関わるための知識」として若者の自殺の現状,心が傷ついた時どうなるか,死にたい思いにどう近づくか,等について講義を行い,次に「関われる限界について」として青年期に好発する精神疾患や距離の取り方の困難事例についてお話しました。そして専門機関との連携や保護者との連絡方法などについても取り上げ,最後に“実際に自分ならどう対応するか”について考えていただきました。具体的には,「どんなタイミングで声をかけるか」,「どう話を切り出すか」,「自殺の危険度はどのくらいありそうか」といった項目を提示しながらお考えいただき,数名の先生方に直接ご意見をお聞きしました。その際に「やっぱり死にたいとかいうことについては直接的に聞きにくい。普段の様子を聞きながら徐々に話を進めていく感じですかね」という率直な感想をいただくことができました。私からは,専門家と生徒をつなぐ役割の大切さなども重ねてお話ししました。
講義終了後に個別に数名の先生方からご質問をいただき,日頃から熱意をもって生徒に対応されているご様子がうかがえました。中には,生徒からの難しい相談を一人で抱えておられるご様子の先生から「カウンセリングを勧めても絶対に行こうとしない生徒にどう対応したらいいですか?」とカウンセラー側にとっても非常に勉強になるご質問をいただきました。改めてカウンセラーもより一層社会,地域とつながっていく必要があることを実感しました。
自殺対策の一つとして,「どう孤立化を防ぐか」という問題があり,それには何重にも支援の網目を張りめぐらすのも一つの方法だと思います。その意味で,今回のような講演活動での出会いを今後も大事にしていきたいです。講演終了後,「よろしければ第二弾もぜひお願いします」とのお言葉をいただいたので実現するとうれしく思います。
第92回理事会報告
日 時:2013年3月11日(月)19時00分〜21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡並びに報告に関する事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 認定NPO法人の申請に関する事項:PSTの基準限度額の考え方について,担当理事より説明があり,申請にむけて引き続き検討することが承認された。
第2号議案 2012年度香川県地域自殺対策緊急強化基金事業に関する事項:事務局より,暫定の決算が示され,賃金,旅費について追加修正することが承認された。報告書の様式が変更になるということであり,最終的な提出期限についても県の担当課へ確認する予定である。
第3号議案 2013年度自殺対策関連事業に関する事項:事業計画書を3月12日に県の担当課に提出した。2013年度の新たなフォーマットがメールで送られてくるとのことで,再度提出する予定である。
第4号議案 2012年度総会の準備に関する事項:事務局より,決算見込み書が提示され,繰越金が100万円前後の見込みであるとの報告があった。2013年度の予算を4月の理事会にて引き続き審議することが承認された。事業報告および事業計画案が提出され,修正したものをメーリングで確認することが承認された。新規事業案として提出されていたCSCの個人スーパービジョンについては,人材育成事業のファミリーカウンセラーのスーパービジョンの中で対応するものとして承認された。会員が活動できる事業については,引き続き検討することが承認された。
第5号議案 定款の変更に関する事項:定款第5条(1)2)のメンタルヘルス相談事業をメンタルヘルス相談支援事業に変更すると同時に事務局住所の変更について検討したが,将来的に事務所を所有することを考慮し,事務局住所は変更しないこととした。変更は5条(1)2)のみとする。
第6号議案 ファミリーカウンセラーの事業担当に関する事項:ファミリーカウンセラー会議にて担当希望を募り,更にメーリングをとおして呼びかけており,来年度の活動についての意思が不明なファミリーカウンセラーには,理事長から連絡をとって意思確認を行うことが承認された。
 編集後記:一人暮らしの高齢者が自宅で亡くなっているのが見つかることを孤独死と呼んで,これを防ぐための取り組みが地域で広がりつつあります。しかし,孤独の中で亡くなることが,いかにもはた迷惑であるかのような地域活動になったのでは,一人暮らしの人々は生きづらくなるでしょう。「孤独」とは,他者がいないことによる寂しさだけでなくその自由を歓迎する意味もあります。保健対策や自殺予防という観点からも,本来は,一人暮らしの人にとって役に立つ情報,経済的支援,保健福祉サービスなどへのアクセスからの「孤立」を防ぐ取り組みであるべきだと考えます。(H)