講師派遣
小豆総合事務所主催
平成24年度自殺予防講演
認定ファミリーカウンセラー 浅海明子
2013年3月11日(月),小豆島町イマージュセンターにて平成24年度自殺予防講演会が開催され,講師として参加いたしました。参加者は介護職,看護師,民生児童委員等約40名でした。はじめに小豆島病院副院長の大城智睦先生より『人生の先達,高齢者のこころの健康を考える』とのテーマで主に認知症に関するご講演があり,その後私が『相談現場からみた高齢者自殺の現状,その対策』と題して講演を行いました。
講演内容としては,これまでの臨床経験からの高齢者の方の事例をいくつかお話しし,高齢者の自殺対策として大事なことを2つに絞ってお伝えしていきました。それは“気づく”と“つなげる”です。まず“気づく”ためとして,高齢者の自殺の現状と高齢者のうつ病についてお話した後,“つなげる”ために死にたい思いを抱えた方への近づき方と専門機関へのつなぎ方についてお話ししました。事前に担当の方から「マインドファーストの活動もぜひ紹介してください」とお話しいただいていたこともあり,専門機関へのつなぎ方の際にマインドファーストの相談事業について詳しく紹介させていただきました。そして最後に冒頭で提示した事例への具体的な対応方法についてお話して終わりました。続いての質疑応答では参加者からいくつか質問が寄せられ,中には「『なんで死んだらダメなの?』と言う人にどう対応したらいいでしょうか」との質問があり,無理に答えようとするより一緒に悩むことの重要性についてお伝えさせていただきました。
講演後数日して小豆総合事務所の方から「参加者から『有益だった』とメールをもらいました」,「現場ですぐに生かせる内容だった」等ご感想をいただき,ありがたく感じております。これまで私は医療機関で勤務していた期間が長く,悩みを抱えた方は待っていれば来てくださるという形でしかお会いしていませんでした。しかし少しずつ地域での支援活動を行う機会が増えてくると,悩みを抱えた方が病院へかかるまでの大変さとそれに関わっておられる地域の保健師さんや福祉職の方,民生委員の方々のご努力を改めて思い知るようになりました。今回も参加者の方のご質問内容等からその大変さが伺われ,相談を担当する者として,少しでも安心してつないでいただく専門機関の一つとしてあり続けられるよう役割を果たしていきたいと強く思いました。今後ますます精進していきたいと思います。貴重な機会をいただきましてどうもありがとうございました。
2013年度通常総会開催のお知らせ
下記の通り,2013年度通常総会を開催いたします。ご多忙とは存じますが,会員の方は,万障お繰り合わせの上ご出席いただきますようご案内申し上げます。


1.日 時:2013年5月27日(月)19時00分〜20時30分
2.場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
香川県高松市錦町一丁目20番11号
3.議 題:
 1)2012年度事業報告
 2)2012年度収支決算報告
 3)監査報告
 4)2013年度事業計画案
 5)2013年度収支予算案
 6)定款の変更
 7)役員改選
 8)その他

この件についてのお問い合わせは,下記事務局へお願いいたします。
特定非営利活動法人マインドファースト事務局
090-2828-7021(三好)
第94回理事会報告
日 時:2013年5月7日(火)19時00分〜21時00分
場 所:オフィス本町
事務連絡並びに報告に関する事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 「平成18年(ワ)第293号損害賠償事件」に関する事項:原告側は控訴文を現在作成しており,当法人鑑定意見書作成ワーキンググループの理事に意見を求める連絡があった。今後は,ワーキンググループを代表して担当理事が窓口となり,やりとりをすることについての承認が得られた。
第2号議案 2013年度香川県地域自殺対策緊急強化基金事業に関する事項:県の担当者より強化モデル事業の「おどりば」については,承認は難しいとの回答があった。その他の5事業については,4月1日付けで内示を行なうが,金額については現在検討中で,追って当会に聞きとり を行う予定であるとのことであった。当法人事業担当者からは,金額決定後は概算払いを申請し,支払いを執行してもらいたいとの要望があった。←




→また,事業の円滑な実施と予算執行のために,県担当者からの聞き取りの際に,あらためてNPO法人の活動の特徴について,理解を求めることが承認された。
第3号議案 2013年度総会に関する事項:2013年度総会資料の原稿が事務局より示され,以下の点について確認と見直しの上,総会資料を完成させ,今週中に発送することが承認された。2013年度予算案については,共同募金からの助成金額46万円に対して,該当事業支出総額が64万円見込まれることが確認された。また,2012年度収支決算書の人材育成事業で発生した収入は,寄付金扱いとすること,収支決算書の差額の欄については,2012年度決算額と2013年度予算額の差を記載し,収支決算書を完成させることが承認された。

第95回理事会報告
日 時:2013年5月13日(月)19時00分〜21時00分
場 所:高松市男女共同参画センター 第7会議室
事務連絡並びに報告に関する事項:省略
議事の経過の概要及び議決の結果
第1号議案 2013年度総会準備に関する事項:総会当日の役割分担を行ない,議長を島津,書記を三好,司会を藤澤,事業報告並びに事業計画説明を柾,決算報告並びに予算案説明を三好,定款の変更及び役員変更に関する説明を島津が担当することが承認された。また,議事の終了後に出席した会員の声を聞く時間を設けること,会場にファクトシート,冊子,ブロシュール,PRカードを設置することが承認された。
第2号議案 2013年度ファミリーカウンセラー養成講座に関する事項:現在,申し込みが定員に達していないため,「しめきりを延期」の訂正字句をちらしとホームページに加筆し,募集の継続を行なうこと,さらに,グリーフワークかがわ,子どもの虐待防止ネットワークかがわ,グループホームネット香川のホームページにリンクを依頼することが承認された。
第3号議案 認定NPO法人の申請に関する事項:事務局より,23年度と24年度の直近2か年の事業実績が,パブリックサポートテストをクリアすることができるかについて提示があり,引き続き審議することが承認された。
第4号議案 共同募金助成事業に関する事項:(1)共同募金助成事業である「メンタルヘルスユーザーのためのピア・パソコン教室」の定員は8名で現在6名の申込みがある。定員に達していないため,広報として高松市保健センター,香川県精神保健福祉センター,高松市障害福祉課,香川県障害福祉課にちらしを持参して配布依頼することが承認された。(2)担当理事から,当会の備品であるパソコンを講義準備のためピア・パソコン教室の講師に貸し出してはどうかという提案があった。パソコンの貸し出しは行わず,講義準備のためには,事前講師会を開催すること,また,理事長名で講師宛講師依頼文を出すことが承認された。(3)パソコン教室のため,オフィス本町にインターネット回線ADSL設置の契約を行うことが承認された。
第5号議案 活動費規定の改正の関する事項:相談支援事業の一環としてファミリーカウンセラーが医療機関訪問や会議等への参加により発生する旅費の支給については,活動費規定の見直しを含め,今後の審議とすることが承認された。
アンジーが乳がん手術?
米国の女優アンジェリーナ・ジョリーが,がん予防のために乳房切除手術を受けた。
1990年代半ば以降,乳がん感受性遺伝子に関する多数の研究により,BRCA1及びBRCA2として知られるDNA修復遺伝子に変異がある女性は,乳がんにかかるリスクが高くなるということが確認された。こうした事実を知った女性は,余命予後の微妙な数字の違いに悩むようになる。アンジーが乳房を摘出した事情は,単純ではない。「遺伝子診断」で,将来「乳がんになる確率が高い」ことが分かり,「予防的に」,「健康な」乳房を「両側」とも切除したということだ。遺伝子診断の結果を知って,発症リスクを減らすために,侵襲性の高い治療を受け入れるか,定期的にマンモグラフィー検診を受けるかなど,意思決定に悩む女性に対しては,専門的なカウンセリングが行なわれる。7,8年前に,ニューヨーク市スローンケタリング記念がんセンターで,乳がん手術を受けた後,遺伝子診断で再発リスクが高いことが分り,残りの健常な乳房と卵巣の予防的摘出術を受けた女性の体験が紹介されたことがあるが,わが国ではマイナーな雑誌で取り上げられただけで,大きなニュースにはならなかった。予防的手術のことは,日本では一般には,まだ知られていない。
こうした中で,今回の報道に接し,「アンジーが乳がんの手術を受けた」と理解している人たちが,身近なところで少なからずいたことは,あらためて人の情報処理能力という観点から,啓発における課題を考える機会にもなった。一般に,人々は,原因と結果の関係が複雑であることを敬遠し,単純であることを歓迎するということ。さらに,自分の既存の知識や経験の範囲で情報を処理しがちで,大きな認識の変化を求められるものは,にわかには受け入れがたいということである。新聞紙上では,「アンジーが乳房切除」の大見出しには目が留まるが,「予防のため」といった小見出しや本文は,読み飛ばしてしまうのであろう。
第一報では,アンジーが乳がんの手術を受けたと思い込んだ人たちも,このニュースが繰り返し報じられる中で,アンジーの事情が次第に見えてくる。それでも,ひとたびアンジーが乳がん手術を受けたと思い込んでしまうと,また同じあのニュースをやっていると,受け流してしまう人も少なくないはずだ。思い込みが,新しい情報収集の障害になることがある。
啓発とは,awareness(新たな気づき)をとおして,認識を変えていくことである。ある課題に関して,まだ気づいていない事実があるかも知れないという問題意識を当人が持つことが欠かせない。アンジーは,予防的切除を受けたからとはいえ,リスクがゼロになるわけではなく,また,術後の身体的精神的影響と向き合っていくという別の戦いも待っている。新たな気づきは,行動の変容を求められ,それだけ悩みも深くなる。それでも,多くの人が自らの啓発に関心があるのは,この世の楽園探しではなく,絶えざる挑戦の中で生きることを望んでいるからであろう。
(マインドファースト通信編集長 花岡正憲)
 編集後記:米国精神医学会診断の手引きをめぐっては,患者のためか,精神科医のためか,それとも製薬メーカーのためか,これまで議論が絶えないところです。その改定版(DSM-V)から,アスペルガー症候群の分類が消えることになりました。支援を受けられなくなると懸念を述べる関係者もいますが,発達障害診断をめぐっては,混乱も少なくありません。「過剰診断」「正常の医療化」の弊害も早くから指摘されています。このことは,マインドファースト通信86の「子どものメンタルヘルスチェックに警告」でも取り上げたところです。いずれにしても,今回の改定で,本来の子どもの発達支援はいかにあるべきか,関係者の意識が変わることを期待したいものです。(H)