様々な喪失を経験する多くの人にとっては,医師,心理療法家,ソーシャルワーカー,聖職者などが,スーパービジョンなどプロとしてのトレーニングを受けて,しっかりとした理論的裏づけと経験に基づいた支援をしてくれることを期待しています。しかし,それが期待できるのは一部の人に限られ,資格を持った多くの専門家が,遺族への対応については,プロとしてのトレーニングを全く積んでいないとうのが実情です。
らためて注意を喚起しておきますが,医師またはその他の医療従事者が,あなたの悲嘆に対処するために,性急に抗うつ薬を処方することには用心して下さい。
あなたの愛する人の死は,あなた自身の方法で悼みましょう。一定の決まったやり方があるわけではありません。これがより良い処方です。
泣いてもかまわないし,泣かなくてもかまいません。あなたの反応は,亡くなった人とあなたとの関係,あなたの性格,人からのサポートの有無などによっても,変わることがあります。どんな逆境にあってもどこかに希望があるなどと,諦めることをすすめる人たちのことは無視しましょう。ある人には慰めになることであっても,他の人にはそうでないことがあります。解ってくれる友達や家族がいるはずです。そして,あなたの経験を分かち合いましょう。もし,耳を傾けてくれる人や頼りになる人がいなければ,病院やホスピスや地域組織を通して,支援グループを探しましょう。おそれずに専門家の援助を求めましょう。その時は,その人のトレーニング歴,認定資格,そして悲嘆と喪失と死別の経験についても尋ねておきましょう。
人は,亡くなった人への愛の深さに応じて嘆きます。
人は愛を失うと,不健康なやり方や自分に役に立たないやり方で,悲嘆反応をしてしまうことがあります。だからと言って,愛と悲嘆を精神疾患にしてしまってはいけません。
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この文書は,アメリカの精神医学協会精神疾患の診断と統計に関するマニュアル(DSM-5) の公表に呼応する形で,これを憂慮する下記の専門家グループによって作成されました。
T. Attig,PhD,ボーリンググリーン州立大学哲学名誉教授
I. B. Corless,RN,PhD,FAAN,マサチューセッツ総合病院保健専門職研究所教授
K. R. Gilbert, PhD, インディアナ大学公衆衛生大学院副学部長
D. G .Larson,PhD,サンタクララ大学カウンセリング心理学部教授
M. McKissock,シドニー代替医学研究・臨床サービス・死別ケアセンター所長
D. Roth,ドイツ ベルギッシュPuetz-Roth葬儀と悲嘆の仲間常任理事
D. Schuurman, EdD,FT,ポートランドDougy子供と家族の悲嘆のためのセンター常任理事
P. R. Silverman, PhD,マサチューセッツ州ブランダイス大学女性学研究センター
J. W. Worden, PhD,ABPP,心理学者
(要訳:マインドファースト通信編集長 花岡正憲)